『古美術研究』 てくてく通信+🎈 #88
こんにちは、英会話Oneのただともこです。読む瞑想マガジンへようこそ。
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あなたの毎日の底に静かで気持ちのいい音楽が流れますように。
古美研
だいぶ暖かくなったのですが、朝晩が冷え込みます。着るものがむつかしい季節ですね。お客様も春物のコートでいらっしゃるようになり、とても楽しい色を見せていただいています。最近はおにぎりをもってピクニックに行きます。皆さんの春はどんなですか?
今日は国の力の話。
私は普段あまり芸大の話をしませんが、それは私にとって芸大が結構過酷だったからです。授業はとてもハイクオリティで楽しかったし、素晴らしいことを学んだと思うのですが、何せそこにいる人たちと全くそりが合いませんでした。先日元同級生とやり取りして「うわぁー」という体験し、「よく考えると大学時代みんなこんな反応だったわ」ということを思い出し、卒業してよかったなぁと思います。
その後、アートのフィールドでできた友達はみんな高卒だったり、違う大学を出た人ばかりでした。美術を目指している人に行くべき大学を問われたら、目的によりますが、芸大はあまり勧めないと思います。
それでも、ひとつ、これはすごいと思っていることがあります。それが、古美術研修旅行という名の2週間の奈良と京都の寺と仏像と神社を巡る旅です。これは、必修科目で、この旅行に行って単位を取らないと芸大は卒業できません。なんて過酷なんでしょう!
古美術研修旅行というのは、主に奈良駅から徒歩5分くらいある芸大の宿舎に泊まりながら、東大寺をはじめ、奈良京都にある寺や神社を日に3つ4つくらいずつ回りながら、日本の美術の歴史を学ぶ授業です。私はたぶん大学2年の時に行きました。芸大の美術学部全員(234人)と音楽学部楽理科(23人)の総勢257人がこれを毎年受けています。
行くにあたって、私はトピックになる絵を決められ、それについて、プレゼンをしました。吉祥天女図でした。半年くらいかけて、一人ひとつずつ作品を研究し、プレゼンします。それをまとめて、旅行冊子を作って出かけます。(他の科はここまではしないかもしれません)
大体、普段飲み会でもほとんど夜を一緒に過ごさない人たちと2週間先生を含めて共同生活をするだけでも、めまいがするほどめんどくさいものなのですが、それに加え、東大寺を早朝に特別参拝するためにみんなで早起きしたり、バスに乗って高野山や比叡山に行ったりするので、もう結構なストレスです。でもみんな、休日も奈良博に行ったり、自転車でいろんなお寺を回ったり、精力的でした。
おおむね、有名だと言われるお寺や神社には行きました。国宝や重文をたくさん見たし、毎日4回くらいお経を唱えながら仏像を拝見する前にお祈りをしたせいか、最後のほうは、お寺の蔵をお坊さんが「これは何十年か開いてないんですよね。興味ありますか?じゃぁ開けますか?」と言って、開けてもらったり、本当に貴重な体験をたくさんしました。
私たちは美術が好きなマニアな団体なので、寺や神格をみるたびに「かわいい~!」「かっこいい~」を連呼するという不思議な集団でした。本当にそうしか思わないし、それ以上に表す言葉ないわけです。中でも、倒れる前の室生寺はものすごくきれいだったことを覚えています。もう一回行きたいなぁと思います。
これの何がすごいのかというと、少なくとも、芸大のプログラムを作った人たちは、これを全員に必修と課して見せることはこれからの世の中を作るのにとても大事だと思ったわけです。そして、先生たちだってこの旅に泊まりながら同行するわけです。大変です。でも、今日にいたるまで止めてないのです。
今、私が絵を描いたり、日本の文化を説明したり、世界の文化を説明したりするとき、遠い深い私の心の底には、この時の体験が静かに息づいています。どれほど日本が洗練された文化を創り出してきたか。それを大事にしてきて、今も残しているか。木だけでできた建物がどんなに柔らかく温かく気持ちのいい空間を作るのか。化学染料ではない絹本にかかれた絵が1000年後にはどんな色をしているか、この目で見て来たのです。この身体で体験しました。それは、ロックやポップやインスタントフードとは対極にあるものです。
生活する時、何かを創り出す時、料理をする時、そこに流れる体験が強く「美しいとは何か。文化とは何か。」解をもって、答えてくれます。それは言葉で何千回説明されても、スライドを何万枚見ても、全く腑に落ちないことだったと思います。
これを毎年257人の人が体験しているわけです。その人たちがどんな職業に就こうとも、この体験は必ず日本を世界を豊かにしてくれると私は声を大にして言えます。なんて静かで地味で豊かな体験だろうと思います。これは、芸大にしかできない何かです。すごいと思います。
日本の教育制度には、私だって疑問があることがいっぱいあります。どうして他人が決めた時間に決められた場所に何時間もじっと座っていなければいけないのか、私だって不思議です。でも、明治時代に作られた芸大のカリキュラムには、これからの日本を創るためにそして、欧米に負けない日本を創るために、とても工夫した人たちがいることが少なくとも、これを見ると判ります。そして、その恩恵に私も預かりました。ありがたいことだなと思います。これがあったので、私は芸大に行ってよかったです。
皆さんの学校体験はどんなものがありますか?教育はどんなものがありますか?私と同じように、とてもよかったなという体験がだれにでもひとつはあるだろうと思います。ぜひ、教室でお話ししてください。楽しみにしています。
ちょっとしたおすすめ
タイマーと目覚まし時計、腕時計
スマホがだいぶ便利になりました。
でも、使い過ぎは生活を
かえってむつかしくします。
私は時計が好きなので、
上記の3つの時計を
スマホとは別に使っています。
まずは目覚まし時計を別にするだけで
寝室にスマホを持ち込まなくてよくなります。
これだけでだいぶ生活は変わります。
タイマーも腕時計も
使うととっても楽しいし、
別の質の時間を手に取れますよ。
お勧めです。
編集後記
お休みの準備が着々と進んでいます。ブログを16本連続で書いて、読み返して、直してという作業を何回もしています。これで3ヶ月くらいは持つはず。でも、写真を撮らないとなどと思っています。着実にOneは成長しています。きっとお休みしてのびのびした私のほうがお客様も増えるんだろうなと思っています。これができるようになって、本当に良かったです。支えてくださる皆様に心から感謝します。
(初出:2021.4.24)
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