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「いっかいやすみ」執筆背景 その1 (村上式部)

※07/12-14に上演中の「いっかいやすみ」のネタバレを多分に含んだ記事になります。観劇後、読まれることをオススメします。
上演情報はこちらのリンクから↓
https://pockiri-crayons.com/next.html




ポッキリくれよんズ第8回公演「いっかいやすみ」ご覧になった皆さん、ありがとうございました。脚本担当の村上式部です。
「いっかいやすみ」という作品の脚本を書くにあたって、どういうふうに考えていったのか、どうやって書いていったのか、つらつらと書いていこうかなと思います。
作者目線で書いていくので、なるほどなーと思うところや、幻滅しちゃうところもあるかもですが、割とざっくばらんに書いてみるので、それも込みでお楽しみください。


なぜ、『いっかいやすみ』なのか。

前回公演『希望にしては安すぎる』は"仕事"をテーマにした、かなりリアルな話だったのですが、そこから”休み”だったり、"バカンス"だったり、を描くと振り幅があっていいんじゃないかなと。あと前々回公演と前回公演と、リアリティ濃度が高い芝居になっていたので、もう少しフィクション性のある芝居を書いてみたいなと思い、このテーマにしてみました。
前々回公演「クロニクル」、前回公演「希望にしては安すぎる」がかなり自分に近い環境を舞台にしていたのですが、そこから離れたいなと。二つともかなり自分ごと化し易かったのですが、その分、正直、執筆してる時がめちゃくちゃ辛くて。。もう書くことが嫌になりそうなところまでいってたんで、自分のモチベーション上げるためにも、”休み”ってテーマは、自分からは離れたテーマなので書けるかもと直感で思いました。
あと最後に後押ししたのは、前回公演の小屋入り時に僕らの現場よく手伝ってくれる劇団美辞女のしますえ茶髪くんが「式部さん、”休み”とかテーマにした芝居、書けないでしょ?」みたいなことを何も知らない状態で言ったので、あ、これはこのテーマで書けという天のお告げだなと思って、これでいこうと決めました。

なぜ、シェア別荘を舞台にしたのか。

いつも脚本書く前に、僕がなんとなくのプロットや人物表を作って、もう一人の主宰のとらちゃん(石橋)と相談するのですが、今回はかなりそこが難儀しました。
最近のポッキリは、”身につまされる”っていうのを大きなテーマにしてるのですが、なかなかこの大きなテーマと、舞台の設定が結びつかない。
最初は、ホテルのロビーとかを舞台に設定していたのですが、そこで話してる人たちが、自分たちの生活なり人生観なりを暴かれていく/開示していく設定がどうも思いつかない。そういうことができないとなかなか見ている人が自分ごと化してくれないんじゃないかなと。
なにか事件をおこそうと思っても、その事件のことが主題になってしまうので、ミステリーだったり、サスペンスだったり、そういう芝居になってしまうんじゃないかなと。あれ、それ僕たちがやりたいことだったけ?と。
プロットも三、四周くらいして、もうバカンスとかじゃなくて、ある街の「一回休もう」といって休憩入るシーンだけで作る芝居とかいいんんじゃないかなとか(これはこれで面白そうだからいつかやりたい)、もはや、”休み”ってテーマじゃないんじゃないかなとか、いろいろ脇道それながらも、やはり”旅行”だったり、”バカンス”だったり、そういうちょっと非現実な部分、特別な場所を舞台にしたいなと。そういうところで生々しい話をする芝居にしたいなと。
そんななか、企画打ち合わせで、とらちゃんがホテルじゃなくて、「別荘」とかはどう?と。そこから、ただの別荘じゃなくて、シェア別荘サービスだったら、そこまでお金持ち過ぎないし、宿泊体験って設定にすれば、いろんな価値観の人をいれられるかもなと。というわけで舞台設定を決めていきました。

キャラクターはどうやって決めていったのか?

今回の登場人物はみんな少しずつ、自分を重ねているところがあります。

知宏さんと直美さんは初期段階から描こうと決めていた二人です。知宏さんみたいな、仕事もプライベートも完璧で、けど、その完璧っていうところが唯一の欠点みたいな人物を描いてみたいなと。知宏さんの全部、自分で解決しようとする、自己完結するところは、作者である僕自身と少し重ねているところですね。まあ知宏さんほど、仕事ができるわけじゃないし、稼ぎもないですけど。

その一見うまくいってる夫婦との対比で、付き合ったばかりのカップルを置けば、いろんな点で、価値観の相違を設定できるなと。付き合った年数がアドバンテージにもなるし、ディスアドバンテージにもなるなと。という流れで、相田さん美咲さんペアを設定しました。美咲さんの方が年収高いって設定も知宏さん夫婦の対比になるといいなと思って決めました。男だから〜、女だから〜、カップルとは〜、とかって話も僕が普段から考えたり、言われたりする部分ですね。

木村さんや牧さんは、僕が仕事で営業っぽいこともやるようになったので、そこらへんの思いとかも入れています。バレない嘘は嘘じゃないんです、は同業他社でめちゃくちゃ売れてる人がしれっと言ってました。怖いですね。

敏男さんは実は、映画「PERFECT DAYS」の主人公から発想したんですけど、まったく違う人物になりましたね。。。敏男さんの亡くなった妻云々かんぬんの話は、そういう感動や、愛情の押し売りみたいなのに思うところがあって、入れました。敏男さんは進んで一人で生きていくことを選んだのかなって個人的には思っています。けど自分で選んだ道だとしても寂しさ感じることってあるんじゃないかなと。

葉子さんも、初期段階から入れたいなと思っていた人物です。『希望にしては安すぎる』にも職場バックレる人が出ていたのですが、前回は残された職場側から描いたので、今度は逆にバックレた人側から描きたいと思い。
とらちゃんから、バックレる人がよく出てくるねとツッコまれ始めたので、次回からはもう出しません。なんか逃走願望みたいなものがあるんですよね。

そして、ここまで書いて、いま、2stが始まりそうなので、続きは後日書きます。すみません。



その2のテーマ
↓↓↓

・結末を決めてから書くべきか問題

・役者さんに渡す余白、お客さんに渡す余白


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