『万感のおもい』
仕事帰りに隣町の図書館に行った。
この図書館はいろんなタイプの席があり、その時の都合で選べるのがいい。
スターバックスコーヒーがあるので、飲食OKの席もある。
某大手書店が参入の予定だったが、市民投票や審議会を経て、今の公設民営になった経緯がある。
今回は返しに行くだけのつもりだったが、「初めての短歌、俳句」や「昭和特集」など興味を引く面陳に、つい手に取ってしまう。
『昭和の結婚』(河出書房新社)など、その気もなかった本まで借りてきた。
この本、写真がたくさんあって、見てるだけで面白い。
そして、Amazonのリストを見ながら、読みたい本を検索する。
万城目学さんの『万感のおもい』。
該当の棚に行ってみると、他の本はあるのにこれだけがない。
書棚に返却本を戻している女性職員に尋ねてみる。
プリントされた情報をもとに探してくださったのだが、やはりみつからない。
貸出可になっているが、もしかして…と奥の部屋にある返却本もあたってくださった。
あまりご面倒をかけるのもと思い、次回で結構ですと言って、また館内の本を見ることにした。
そろそろ帰ろうかなと階段の方へ向かおうとすると、先ほどの女性に声をかけられた。
手には『万感のおもい』。
「装丁が変わってるもので、別の場所にありました」と手渡してくださった。
なんて親切な。
本のタイトルと同じ、万感の思いがめぐる。
帰宅後、早速この本から読み始めた。
万城目学さんは、鴨川ホルモー以来、気になりつつ読んだことがない。
小説は知らないが、エッセイの文章は端正でとても読みやすい。
心の動きが静かに伝わってくる。
こんな風に書けたらなぁと思う。
でもこれは、万城目さんですから。
タイトル、書き始めと結び、組み立て、誰かの話をするとき、書き方のお手本のようだ。
万城目さんですからね!
たまにあることなんだけれど、図書館で借りて読んで(読みきれず)、いつも読んでいたいから買ってしまうってことが。
この『万感のおもい』もそんな一冊かもしれない。