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姑をたてるダメ嫁

最近、夫の実家に行くときに、何か惣菜を作って持っていくようになった。
義父のための白粥も忘れずに。

義父を介護する義母が、最近すっかり台所に立つ余裕がなくなったからだ。

でも、プライド高めの義母は、私の作ったものなど認められない。
実際何をしても、私ならこうするとか、E子(義姉)はこうやってやるよとか、かなり負けず嫌いだった。

それに気づいて以来ウン十年、アホ嫁一直線でやってきた。
まあ、仕事や他で頑張ればいいから、ここでは足りない嫁でいればいいかと。

しかし義姉が他界して、状況が変わった。
亡くなった姉は永久に、よく出来る子のままなんだけれど、支えるのはやはり生きてる嫁の私しかいなくなった。
子を先に亡くすことは痛ましく、その穴を埋めることは私には無理だった。

そして、義父が身体を悪くし、在宅看護が始まった。

食べてもらわなくてもいいから、母の好きそうな煮物や五目ごはんなどを、少しずつ持っていくようになった。

そしてなんと、昨日初めて、まさかの!

「こないだの筑前煮か、あれ美味かったわ」と義母が。

え?今なんて言いました? と耳を疑った。

褒められたのが嬉しいんじゃない。
いつも自分の料理を自慢する義母が、人の作ったものを美味しいと言っている。

半年ほど前、義父が初めて「ありがとうな」と言った時と同じくらいの驚きだ。

義母は、昨日のしめじご飯も美味しいと言い、さらに味付けに何を使ってるのかまで聞いた。
ほんだし多めなだけ、とは言わなかったけど。

きっと義母なりの感謝の表現なのだろうと理解している。

それとも「私が教育した甲斐あって、できない嫁もようやく料理ができるようになったわ」なんて、他所で言ってませんか〜?

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御手洗 育/暮らしのエッセイスト
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