【寄らば大樹の陰】(新釈ことわざ辞典)記事版
「就職では『大企業でも陰不足』と考え、猛勉強の末に国家公務員になりひと安心、その後はずっと陰に隠れていました。稀に木陰からでようと思うことはありましたが、日焼けが怖くて……。退職後ですか? 大樹の陰に小さな木がたくさんあるのでその陰で……」
社会人生活をほとんど大樹の陰で過ごした人の独白ですが、彼らにはオキテがあり、定年を待たずして大樹から離れなければならないことが多いとか。でも、大樹の陰にいくつもの木があって、今度はそれらの木の下に移るだけなんだそうです。しかも、以前の職場ほど忙しくはなく、のんびりお昼寝もできるみたいです。
この辞書項目には、たいへん鋭いコメントをいただきました:
素晴らしい!
大樹の下ではたいへん熱心に植樹が行われており、それは『エコ』のためというより『エゴ』、それも必ずしも個人のエゴではなく、グループのエゴが動機のようです。
だから、ほら、植樹には必ず標札がかかっていますね:
•キツネさんチーム
•タヌキさんチーム
注意してくださいね、キツネさんチームが植えた木が大きくなった後、その陰に入れるのはキツネさんの仲間だけですからね。タヌキさんはタヌキチームの木の下にお願いしますよ。
この標札がとても重要で、だからこそチーム対抗のように植樹競争を行うわけだし、いわゆる『縦割り行政』の源も結局、ここにある。
国家公務員に優秀な人材が応募しなくなってきた問題が中央官庁を悩ませているそうです。
でも、リスクを取らない職場に優秀な人材など必要ないのでは? ── と思うのですが。
『大樹』を使った別のことわざもあります:
【大樹の下に美草無し】
いやいや、そうでもありません。
大樹の下に直接いる間は、
「オレたち、選挙で選ばれたんだぜ」
と威張っている虎さんや熊さんに叱られたりこき使われてばかりだから気がつかないのです。
大樹の下にある植樹した木の下に移ると、ほうら、『美草』かどうかはともかく、とっても柔らかい草で覆われていているでしょう?
そちらに移るまでの辛抱ですよ。
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