もの忘れがひどくなっていいこともある(家で★深読み)
「この女、だれだっけ?」
「えーっと、よ、吉……で始まるんだよね」
「吉、は間違いない」
「吉田、いや、吉根……京子、じゃないし……」
「吉…吉…吉高、だ、ね?」
「あ、そうそう、吉高由美子!」
「ユミコ……いや、なんか違うな……吉高…由里子、じゃない?」
「あ、そうそう、由里子! 間違いない!」
毎晩TVの前で繰り広げられる《誰だったっけ》合戦ですが、物忘れがひどくなって、いいこともあります。
ジジイの趣味のひとつに《詰将棋》があります(解く方)。
下の記事に書いたように、毎夜就寝前に脳裏に納め、《想像》の中で解く……いやいや、少なくとも解こうとします。
そのためには十分な量の《問題資源》が必要です。
月刊誌「将棋世界」に掲載された問題や、将棋連盟のウェブサイトの問題のうち、実力にあった7手から13手ぐらいのものを相手にするのですが、リソースはすぐに底を尽きます。
詰将棋問題集を次々と購入すればいいのですが、ここが「忘れん坊」の強み、── 半年前に解いた(あるいは解けずに解答を見た)問題ならばすっかり手順を忘れているため、新たな問題集に投資する必要はなく、「昔の問題」に新鮮な気持ちで1から取り組むことができるのです。
同じパターンで、数年前に見た、TVシリーズ「名探偵ポアロ」の再放送を、
「うーむ、この場面は憶えているな……たぶん、この女が……」
などとつぶやきつつも、70%ぐらいは記憶から欠落しているので、なんだかんだ再度楽しむことができます。
マイナスカードを集めるとプラスになるかのように語っているところが、我ながらあきれるところです。
もう少し「進行」して、この微妙なバランスが壊れる時が来るのが、怖くもあり、愉しみでもあり……。
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