《洗脳》された? 知らず口ずさむ「ごめんね素直じゃなくて~♪♪」(エッセイ*再勉生活)
会社勤めをしていた30代後半の頃、オフィスから実験室への廊下を歩いていて、ふと気付き、愕然としたことがありました。
ごめんね 素直じゃなくて~♪♪
夢の中なら 言える~♪♪
思考回路は ショート寸前~♪♪
今すぐ 会いたいよ~♪♪
なんと! 歩きながら、知らないうちにTVアニメ「美少女戦士セーラームーン」のテーマ「ムーンライト伝説」を口ずさんでいたのです!
「……おっとっと」
幸い辺りに怪しい人影はなく、私を追い落とそうとする社内敵対勢力に《傍受》されてはいないようでした。
当時私の家に住みついていた小学生姉妹が、毎週毎週熱心に「セーラームーン」を見るためでしょう、いつの間にか私の脳にこの曲が《刷り込まれて》いたのに違いありません。
「……いかんいかん」
どこで尾鰭がついて、
「Pochiさん、会社の廊下でセーラームーンを熱唱していましたよ」
「いや、休日にはあのコスプレで街を歩いているらしい」
など、妙な噂が広まらないとも限りません。
そんなことになっては、
「月に代わってお仕置き」をされてしまう!
しかし、── 実験室からオフィスへの帰り道、ふと気付くと、また ──
星座の 瞬き数え~♪♪
占う恋の 行方~♪♪
同じ地球に 生まれたの~♪♪
ミラクル ロマンス~♪♪
「うーむ、これは……マズイな」
《セーラームーン主題歌中毒》のような症状に陥っている!
……何か大きな《陰謀》に巻き込まれているのかもしれない。
このままでは、会社オフィスにセーラームーンの下敷きやらペンケースやらを買いそろえるはめになってしまう!
そんなある日、(たぶん小学校4年?)長女が、アメリカ再勉時代の友だちから来た手紙を見せてくれました。
***
……わたしたちが いま むちゅうなのは セーラームーンだよ。
にほんでも セーラームーン やってるの?……(in English)
***
「ねえ、セーラームーンって、日本が真似してるの?」
アメリカが本家だと言わんばかりの手紙に、娘は少々心配そうでした。
「この子、アメリカにいた時に、『Ninja』って、日本にもいるの?って聞いてきた子だろ?」
「そうそう、『ニンジャ・タートル』が流行ってたもんね。ハロウィンで男の子たちがみーんな、ニンジャ・タートルの格好してた!」
ニンジャは日本発、『ニンジャ・タートル』はアメリカ発、『セーラームーン』は日本発、間違いない、と言うと、娘は少し安心したようで、アメリカの友人に返事を書き始めました。
それにしても、── と当時、私は思ったものです。
『セーラームーン』が世界中で放映されているのならば、私のように、
《仕事場でいつの間にか「ムーンライト伝説」口ずさみ》症候群
に罹患しているオトナが、全世界で増加しているのではないだろうか?── と。
── 今ですか?
さすがにもう、「ムーンライト伝説」を口ずさむことは(めったに)ありません。
ただ、「パブロフの犬」のように、ある特定の環境下で口ずさんでしまう歌がいくつかあります。
たとえば、
・海岸沿いの道を車や自転車で走っている時:
「岬めぐり」
・酒飲みながら野球中継を目にした時:
「燃えよドラゴンズ(1974年版!)」
これらの「条件反射」はまだ理解できますが、中には「パブロフの犬」でさえ、
「え!」
と絶句し首を傾げる、不思議な「状況」と「曲」の組み合わせがあります。
おそらく、何か「個人的な原体験」があるのでしょう……。
それにしても、《Japanimation》って、すごい!