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【本棚】犬好きがぐっとくる絵本を3冊
我が家の愛犬ポチのお話
ポチは、迷い犬でした。今はもう30歳を過ぎている次男が小学4年生の時、小学校の周りをウロウロしている犬が一匹。どこをどうさまよってきたのか、体は汚れ、やせこけた一匹の犬に、子どもたちは、給食のパンをあげたりして世話?をしていたようです。いよいよをもって保健所に連れて行かなければならないと聞いた息子は、何を思ったのか「うちに連れて行く!」と宣言。我家の一員になったのは、2000年7月のことでした。
本棚から、想いを寄せてセレクト
『ともだちがほしかったこいぬ』
ならよしとも・絵と文/マガジンハウス(1999)
大きすぎて誰にも気づいてもらえない寂しがりの仔いぬと、好奇心旺盛なちっちゃな女の子のお話。現代アーティストとして活躍する奈良美智さんのメッセージは「どこかで誰が、きみと出会うのを待っているよ。大事なのは、さがす気持ち!」モデルとなった「あおもり犬」は、青森県立美術館に常設展示されている巨大な犬の作品です。一度会いに行ってみてはいかが?
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『ずーっとずっとだいすきだよ』
ハンス・ウィルヘルム絵と文/評論社(1988)
ぼくとエルフィーは、一緒に大きくなりました。年月が経ちぼくの成長より、犬のエルフィーの老いのほうが早い。そしてやがてやってくる、永遠の別れ。相手が人間であろうと動物であろうと、身近な愛するものには常に「愛しているよ。だいすきだよ」と伝え続けなくては…。愛している気持ちを言葉にすることは、日々の暮らしを暖め、おたがいを幸せにする大切なことなのですから。
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『アンジュール』
ガブリエル・バンサン作/BL出版(1986)
ある日一匹の犬は、車の窓から投げ捨てられる。突然、野良になった犬は、地を嗅ぎながらさまよい歩く。野から浜辺へ、汀から道へ。やがて、ひとりの子どもと出会い…。そんなある犬の物語。文字が1つもなく、デッサンのみで表現されている画から犬の気持ちが伝わってくる秀逸な絵本です。我家の愛犬ポチも迷い犬でした。痩せこけて臆病な目をした犬を、息子が連れてきて我家の一員となった経験と重なり、胸が熱くなってしまいます。
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嬉しいときも寂しいときも、いつも傍に寄り添ってくれる愛すべき犬たち。
読みながら「うちの子」を思い浮かべてニヤニヤしたりホロリとしたり。
そんな犬好きが、ぐっとくる絵本3冊でした。
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