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わたしと妊娠

結婚したら子どもはすぐにできると思っていた。しかし、現実は違った。

友人の妊娠報告、本来ならば嬉しいはずなのに、心の奥底では嫉妬していた。月のものが来るたびにこっそり涙した。
職場の年上の女性たちは無邪気に子どもはまだ?と聞いてくる。はじめは曖昧な笑いで誤魔化していたが、それも辛くなってきた。
そのうち子どもの話題がのぼらなくなり、それはそれで悲しかった。


病院に行き、たくさんの検査をした。夫は初めは自然に任せようと言っていたものの、やはり歳のこともあるので、病院通いに徐々に協力してくれるようになった。結局原因は不明だった。
タイミング法、人口受精とステップアップした。でも妊娠しなかった。そして体外受精にチャレンジした。
毎日病院に通えなかったので、自分で注射をした。痛かった。涙が出てきた。でも、やりきった。卵の採取も怖かったけど頑張った。

受精卵をお腹に戻した。
判定が出る前、一人で通りにある桜並木を見上げていた。
不妊治療に終わりはない。お金がたくさんかかるのも事実だ。
もしとれた受精卵が全て着床しなかったら、私はどうしたいだろうか。
その時に、ふっと、夫と二人で暮らしていくのも悪くないなと思った。
判定は陽性だった。
それから一人目が無事に産まれて、その時の受精卵でその後もう一人授かることができた。
ただ、ただ、運がよかったとしか思えない。


今も不妊で苦しんでいる人がたくさんいる。
子どもを産むことが当たり前だなんて、絶対に私は言わない。言えない。
たまたま私は母になれただけなのだ。なんにも偉くない。
ただ、授かった命は本当に大切に育てようと思う。私にとって最大の奇跡であるから。

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