映画『熱烈』の台詞を深堀り〜字幕に収まらなかった笑える台詞集【台詞バレ】
映画『熱烈』では非常に現代的な中国語が使われており、それを活かしたギャグが台詞の中に多数含まれている。
しかし、おそらくそのまま訳すと「自然な日本語のニュアンスにしづらい」、「文字数が大幅に増えて二行に収まらなくなる」などの理由から、字幕に入り切らなかったネタがいくつかあった。それらを本noteで紹介したい。
⚠️超具体的に台詞とシーンに触れているため、すでに映画を観た人向け
糖糖
初めて"感嘆符!"の練習スペースに足を踏み入れた陳爍に、チリの娘の糖糖がチームメンバーのドラゴンを紹介する台詞である。
短気な面もあるドラゴンが、チリのために日頃から糖糖の機嫌を取っている姿を思い浮かべると微笑ましいが、それが本人にバレバレで、初対面の陳爍に暴露されてしまっていることから、小さな糖糖の方がドラゴンより一枚上手と言える。
陳爍&丁雷
ウルトラマンになってパワームーブで怪獣と戦っていた陳爍に丁雷が投げかけた質問。
スケールの大きい質問だが、それに即答する陳爍。ユニークなやり取りだ。
陳爍
屋上でパワームーブを練習中、怪我をされたら困るからやめろと丁雷に注意を受け、頷いた陳爍。
しかし、どうせ自分がいなくなったらまた練習を再開するんだろうという丁雷の指摘にもまた頷いたため「うなずいた?」(それなら先ほど注意した時になぜ頷いたのか?)とツッコミを受け、上記のように返事した。
まったく練習をやめる気がなく、その場しのぎで頷いたのが見え見えな「リスペクトを示すために」は、私が観に行った中国の映画館では必ず笑いが起きる台詞となっていた。
丁雷が自宅のテレビでも観ていた『宮廷の諍い女』は、中国で社会現象を巻き起こした有名なドラマであるため、こちらも中国の映画館で笑いが起きていた。
陳爍にとって試練の時だが、彼がとても切実に「『宮廷の諍い女』!」と言うので面白さが増している。
丁雷
丁雷が自分の前でパワームーブをやってみるよう陳爍に促したが、陳爍はその場に立ちつくしたまま頷くだけで、なかなか踊り始めない。
その様子を見て、陳爍との交信が途絶えたと思ったのだろう。
いや原文の漢字同じなのに何でそうなった!?と思うかもしれない。
我は「私」、去は「行く」を意味するので、そのまま訳すと「私は行く」 になる。しかし、近年この二文字は驚いた時や信じられない時などに使われるようになり、"what the f***"的なスラングに近い意味合いを持つようになってしまった。
そのため、丁雷は、果たして陳爍がゴミ箱のプロモーションイベントに「行きます」と返事したのか、それともゴミ箱と一体化して踊ることに対して「なんてこった」と言ったのか、どちらの意味なんだ?と確認している。
なんと、中国最大検索エンジンBaiduでもこのような英語訳が出てきてしまう。
とても現代的なこの台詞を、中国語のニュアンスを保ちながら外国語にするのは難しく、どの国の字幕翻訳者も悩んだのではないかと想像する。
ちなみに、丁雷は他のシーンでも何度かこの二文字を呟いているので(字幕は表示されていなかった)、聞いてみると「なるほどこういうニュアンス」とピンと来るはずだ。
劉洪亮
ケビンのマネージャーの一言。
小红帽は赤ずきんという意味だ。
陳爍の赤いヘルメットのことを指してそう呼んだのだろうが、メルヘンチックな表現だ。
董二浪
陳爍が"感嘆符!"を代表してゴミ箱の格好で踊ることを事前に他のメンバーに説明しておらず、皆に謝ろうとした丁雷をすかさず制止するスポンサーの一言。
他にも自分のことを"董二浪 a.k.a. ウェーブ"と紹介するなど、彼が時々会話に織り交ぜてくる英単語が笑いを誘う。
エクスクラメーションマークでないのなら、
彼はクエスチョンマークなのか?
ピリオドなのか。
それともカンマなのか、、、
激怒しながら、突然抽象的な質問をするウェーブさんだ。
最後に、話が少しずれるが・・・
上記の台詞にある「资方」(スポンサー)という単語が中国で大ウケし、ファンが自分の住んでいる国や街を代表して「北京资方」「上海资方」などとスポンサーを名乗ったり、そのスポンサー名を印刷した旗を作ったりするムーブメントが生まれた。
2023年、タイの『熱烈』プレミアでは、ついに「泰国资方」(タイのスポンサー)という旗が登場し、主演・王一博さん、監督・大鹏さん、タイのアクション俳優Tony Jaaさんが3人で持った。
その名のとおりビッグウェーブを巻き起こした、みんな大好きウェーブさんだった。
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