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装具のマニアック知識【ベルト編②】
こんにちは、義肢装具士のみうらです。
今回は前回に引き続きベルトの仕様について解説していこうと思います。
前回はベルト本体について書いたのですが、今回はベルトを通す「カン」を取り上げます。
「カン」とはこの部分です。
装具によく使われるカンは、正確には「角カン」と呼ばれる四角のカンです。
通常、この角カンにベルトを通して折り返すことで装着します。
しかし、片麻痺の患者さんはこのカンにベルトを通すという作業が、困難な場合があります。
そんなときに便利なカンをいくつか紹介しておきます。
【イージーリング】
脳卒中の装具でずいぶん普及してきたのが、この「イージーリング(クイックリング)」です。
ベルトを上からスルッと入れて締めることが出来るので、カンの先端をベルトを入れることが出来ない方でも簡単に締めることが出来ます。
視覚に障害がある方にも有効です。
はずすときは、普通の角カンと一緒で引き抜けばオッケーです。ただし、普通の角カンよりも引き抜くときにベルトが傷みやすいのが欠点です。
イージーリングを使うときは、あまり勢いよくベルトを引き抜かないように注意が必要ですね。
【バネカン】
装具によく使われるカンで意外と知られていないのが、このバネカンです。
カンの固定する側に板バネがついていて、カンが常にピンと立ち上がった状態になります。
ベルトを通すときに、普通のカンのようにクルクル動かないので、片手でもベルトを通しやすいです。
バネカンは革を巻いて取り付けてしまうと、普通のカンと判別しにくいので、修理の際には注意が必要です。
【カンなし】
カンの種類ではないのですが、 ベルトの固定方法として カンは使わずにマジックベルトをペタッとくっつける方法もあります。
もっとも着脱が簡単なベルトの仕様で、オルトップの下腿ベルトもこの仕様です。
カンを使って折り返して固定する通常のベルトと比べて「締め込めない」「固定力が弱い」「消耗が早い」といったデメリットがあります。
そのため、一番締め込みと固定力が必要な、足関節のベルトには使えません。
以上が、短下肢装具によく使われる「カン」の仕様です。
ほかにもバックル式のものや
私が片麻痺患者さんに短下肢装具を作る際は、まずはデメリットの少ない「バネカン」を使用することが多いです。
もしバネカンで着脱が難しかったら「イージーリング」を試してみて、それでも難しかったら「カンなし」の仕様を試します。
ちょっとしたベルトの工夫で自己装着が出来るようになったり、装着の手間が減ることがあります。
日常で使う装具だからこそ、ベルトの仕様にはこだわって決めたいですね(^^)