装具のマニアック知識【ベルト編①】
こんにちは、義肢装具士のみうらです。
片麻痺患者さんのとって装具の仕様で意外と重要なのがベルトの仕様です。
なぜなら「装具を自分で装着できるかどうか」は、「ベルトを自分で締められるかどうか」が重要なポイントとなります。
装具を新しくしたら、ベルトの仕様が微妙に違ってすごく着けにくくなってしまった…、という経験がある方は多いのではないでしょうか。
逆に言うと、装具を自分で装着できないと思っていたけど、ベルトの仕様を変えることで自分で装着できるようになる場合もあります。
では、さっそくベルトの仕様を見ていきましょう!
ベルト先の形状
ベルト先の形状は製作会社によって様々です。
よく見かけるのは下の3パターンです。
この3パターンに共通することは、ベルト先端がベルト本体よりも細くなっていることです。
どんなベルトでもそうですが、ベルト先端が直角に落とされていたら通す側のカンに入れづらいですよね。
たまにベルトが長くて「自分で切った!」という方がいるのですが、もし自分で切る場合も、なるべく先端が少し細くなることを意識して切ると良いでしょう。
ベルト先のペロペロ
タイトルはおかしいですが、ベルトの革先に薄いベルクロ部分がはみ出している(?)ようなデザインをよく見かけます。
このペロペロの部分、使っているとヨレてきたり、丸まってきたりして逆に入れづらいんですが…という意見があるかと思います。
でも、このペロペロの部分には以下のような意味があります。
①ズボンや靴下の厚みによってベルト長さの微調整が可能
ズボンの上に装具を履く方は季節によってベルトの厚みが変わるので、ピッタリではなく調整幅が欲しいという方もいます。
事前にどの程度余裕が欲しいかがわかれば良いのですが、服の厚みや浮腫みは装着してみないと分からないので、少し長めにペロペロ部分を出しておくことが多いです。
②先端が薄い方がカンに通しやすい
ベルト先端の形状と同じでベルトの先端が少しでも細く、薄い方がカンに通しやすいです。
ただ、あまりこのペロペロが長すぎると、ふにゃふにゃして逆に入れづらいですよね。
私の感覚としては、革先に1cmぐらいペロペロがはみ出しているのが一番入れやすいのではないかと思っています。
③保険的な意味合い…
ベルトの長さというのは製作者からすると意外と難しくて「足のむくみ具合」「衣服」「使用者の好み」によって最適なベルトの長さは変わってきます。
そして、ベルトの長さはその場でパパっと調整できるものではなく、ベルトが1cm長い、短いという理由で、持ち帰ってベルトを縫い直すとなると、お互いにとっても残念…
だから、その場でハサミでカットできるペロペロ部分を作っておくことが、納品時の保険となるのです。
結論、このペロペロ部分の利点は「その場でハサミで切れる」ということに尽きます。
なので、納品の時に義肢装具士が使用者と相談して適切な長さにカットしておくことが大事です。
また、使用者側がこのペロペロ部分はハサミでカットできることを知っていれば、先端がよれてきたらカットしたり、必要なかったら革だけ残して切ってしまうことも可能です。
ベルトに関しては、まだまだ語り足りないので次回に続きを書きます!
ちょっとマニアックな知識ですが、ご興味があれば次回もご覧ください。
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