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マルタで引き続き一期一会を噛み締める日々

最近起きたとある出来事(後述)がきっかけで強く実感したことがある。それは人生は一期一会の積み重ねのもとに続いていて、海外生活を続けるとより一層強く実感する機会が多いことだ。

前回の投稿後、私は懲りずにニュージーランド編を書くべきか、一人旅忘備録がてらイギリス編を書くべきか、はたまた現在住国であるマルタ編を書こうか悩み、書きたいことばかりで埋もれそうになっていたのだが、そんな中起きたある出来事は、私にこの生活で何度でも遭遇する一期一会について書けということなのだろうと思うことにし、筆を取った次第である。

こんな風景もいずれは過去になるんだろうなと思いながら撮った

名も知らぬヒーロー、焼き鳥ポリスマン

私が一期一会を意識するようになったきっかけは、家族と訪れたイタリア旅行の際に起きた、ちょっとした珍事件である。
私達は日中に観光を満喫した後、せっかくだから現地のスーパーに行ってみようと言い、夕方のショッピングモールへ繰り出した。

我が家では海外旅行の度、必ず現地のスーパーマーケットに足を運ぶ。その地で暮らす人々の日常が垣間見えるスーパー巡りは実に興味深く、日本とは異なる着眼点・アイデアから生まれた商品を眺めているだけで好奇心がくすぐられるのだ。
その日もスーパーでお土産を購入し、帰りはタクシーを使おうとモールの外へ。
すると目の前に車が停まっており、運転手は窓を開けて誰かを待っている様子が伺えた。
タクシーかなと思い声をかけたが、彼は笑顔で首を振る。わかりづらい説明だったかなと焦ったが、よく見るとなんと彼は警察官であった。本当に申し訳ないことをした。

彼に謝り、タクシーを探しているのだけど、この辺りに乗り場はありますかと聞いたところ、その場で無線を使いタクシーを呼んでくれ、『こんな見ず知らずの怪しい東洋人に対して、何でこんなに優しくしてくれるんだ…!?』と、当時職場の人間関係にナーバスになっていた私は頭を殴られたような衝撃を覚えた。
彼は無線のやり取りを終え、『数分で来てくれるよ!』と、相変わらず笑顔を絶やさず教えてくれた。

こんなにも無償の優しさと微笑みをくれる彼に、何かお礼ができないだろうかと思った矢先、私は父が日本から持ってきたダイソーの食品サンプルキーホルダーを鞄に忍ばせていたことを思い出し、とっさに『父さん!焼き鳥焼き鳥!』と伝え、ハッとした父は鞄から焼き鳥キーホルダーを取り出した。
余談だが私は海外旅行や海外生活の際には必ず食品サンプルキーホルダーを持参し、現地で親切にしてくれた名も知らぬ方々にプレゼントするよう心掛けているのだ。

これはイギリス時代に持参した食品サンプルマグネット。渡英前近所のファンシー雑貨屋が閉店セールをしていたので、爆買いしたのだが、友達や上司にプレゼントしてあっという間に0に。

父から焼き鳥キーホルダーを受け取り、私は彼に拙い英語で『これは日本からのお土産です。あなたの親切に感謝しています。本当にありがとう』と伝えたところ、焼き鳥ポリスマンは喜んで受け取ってくれ、笑顔で車を降りて一緒にタクシーを待ってくれた。
どさくさまぎれにせっかくだからと写真も撮ってもらい、その日は無事に宿に戻ることができた。
一期一会について深く考えさせられるいいきっかけとなったエピソードである。

その時の写真。めちゃくちゃ良い写真なので来年の年賀状にしようと提案したが、母にすごいスピードで却下された。(父は、『みんなあぁーよかったぁって表情しててすごく良い顔してるんだよなあ』とまんざらでもなかった)

マルタ生活に受け継がれし焼き鳥スピリット

マルタに持参した食品サンプルの一部。嬉しいことにもう全部友達にプレゼントしちゃいました。

その後紆余曲折を経て何故かマルタに流れ着いたわけだが、イギリスでの経験から、マルタにはダイソーが無さそうだからと食品サンプルを多めに持参し、せっかくなので日本の絵葉書やちょっとしたメッセージカードなども一緒にスーツケースに忍ばせ、渡せる機会をうかがっていた。

ハンガリー人の友達が誕生日パーティーに用意してくれたマフィン。事前に好きな色を聞いてくれ、その色の食紅を使って作ってくれた。

私はマルタに来てから、ある共通の趣味をみんなで楽しむコミュニティに参加するようになり、自分しか日本人がいない中、定期的に集まりに顔を出しては楽しい時間を過ごしている。
そうして仲良くなった友人達が誕生日を迎えたり、家に招待してもらう度、食品サンプルや日本のポストカード、そしてアジアンマートで購入した日本のお菓子等を用意して、メッセージは必ず彼らの母国語と英語で書いてプレゼントをしているが、皆すごく喜んでくれ、たくさんのお礼とハグをくれる。

仲良くなったイタリア人の友達が誕生日にプレゼントしてくれた、故郷のナポリのキーホルダーと日本の絵葉書。キーホルダーは不運を断ち切るという言い伝えがあるらしい。

留学生が教えてくれた優しさ

このコミュニティは留学生も遊びに来てくれるのだが、彼らは留学終了後各々の国へと帰国するため、メンバーの入れ替わりはやや激しい。そのため過去何度か留学生の子達に『今日で来れるの最後なんだ!ありがとね!』と言われ、何の用意もできず歯痒い思いをしたこともあった。この経験から、いつでもちょっとしたプレゼントをさっと渡せるよう、食品サンプルキーホルダーは懐に忍ばせておこうと決めた。

先日友人達が開催してくれた私の誕生日パーティーに来てくれたフランス人の友達も留学生で、彼女達には先週に『もうすぐフランスに帰るから、メッセージをかいてね!』と、マッキーとマルタのトートバッグを渡されたため、この時に彼女達にはちゃんとプレゼントを用意しようと思い、仕事終わりにアジアンマートで日本のお菓子を買い、1人には最後の1つとなった食品サンプルキーホルダーを、もう1人には日本の絵葉書を用意した。もちろんメッセージはフランス語と英語でしたためた。
昨晩の集まりでそっと渡したら、2人とも涙目になりそっとハグとたくさんのお礼の言葉をくれた。

その後の深夜の帰り道、幾分くすぐったい気持ちを抱えながら1人歩いていたその時に、人生は一期一会の積み重ねのもとに続いていること、そしてこの生活環境だとそれをより一層強く実感する機会が多くなることに改めて気付かされた。

次来る留学生や、まだ見ぬ友人達にも、たくさんの優しさを持って接していきたい

今回も読んでいただきありがとうございます

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