夜の太陽、昼の星
太陽には太陽の、星には星の時間と場所がある。
夜の太陽は、星が輝くためにじっとしている。誰にも見られない場所で、そっと息をひそめながら、自分の時間がくるのを待っている。
昼の星は、太陽が輝いているために見られることがない。それにほっとしている者、悔しがっている者、様々きっといる。それでも、自分たちの時間がくると信じてじっと待っている。それは希望か絶望かはわからないけれど。
もし夜に太陽がいたら、そこは太陽の場所になってしまう。それはきっと太陽も星も望んでいない。
太陽には太陽の、星には星の時間と場所がある。
何人もそれを奪ってはいけない。いや、奪えることはない。
だから、夜の太陽も昼の星もすべて幻想。
それなのに、どうして、わたしたちはいつだかそれを願ってしまったのだろうか。
残酷な世界をつくりだすのは、いつだって誰かの願い。
それははじめきっと純粋な願いだったに違いない。だけれどそれは、純粋なあまり残酷さをはらんでいる。それに気が付かないまま、わたしたちは、今日も残酷な願いをまき散らしている。
夜に太陽を、昼に星を。
どうして我々は、そんなことを願わずにいられないのだろうか。残酷だとわかっていながら、それでも。
太陽には太陽の、星には星の時間と場所がある。
それでも夜に太陽を望む罪を、昼に星を望む悪を、どうして罰することができようか。