
天国への階段 (7)
心の底ではいつも「運動しなければ」とか「身体を動かさなければ」など考えている。
一時期、アスリートでもないのにフィジカルトレーナーの下に通い身体を鍛えていた。
しかしながら何事も継続は難しい。一度、間が開くとなかなか再開は難しいものである。
ジョギングなんかもしていたが、冬の寒さを言い訳に勝手に「冬眠」と決めフェードアウトしていくのがいつもの事である。
あと、私の中で1番面倒な事が
仕事から帰ってきて何か運動をするために着替え、また家を出る。というのが最大級に億劫に感じるのである。
朝すれば。
と思うものの、思うだけで実行に移した事はない。
では、1番効率よくコストがかからずに「身体を動かす」「運動をする」事ができるのか。
と考えた結果「移動時間」に注目した。
単純に言うと生活の中にある上下の移動を全て「階段移動」にしたのである。
ルールとしては
目的地が10階以内にある場合は全て階段
10階以上の時は差し引いた階から目的地まで階段。
である。
今、その生活を始めて一ヵ月ほど経つ。
その初日に目的地は9階にあった。
生意気な私の頭と心は「まぁ9階ぐらいは楽だろ」と思うのだ。
テンポよく階段を上がりはじめて4階あたりを過ぎた頃にふくらはぎと太ももに物凄く乳酸が溜まっていく事が感じられはじめる。
「キツイ、、、しかしまだまだ」
怠けた身体に鞭を打ち登り続けた5階から呼吸がもたなくなる。
ゼーハーゼーハー息切れ。
ドラムのような激しい心拍数。
目の前が白くなっていく、、、。
情け無い。
それでも手すりにつかまりつつなんとか、9階まで登りきった時のすがすがしさは富士山登頂に匹敵する。(富士山に登ったことはないが)
暫く9階の踊り場で動く事が出来なかった。
階段という魔物。
生活の中にこんな身体を酷使する化け物がいたとは。
と同時にこの果てしなく続く日々を階段に捧げる覚悟もできた。
矢沢永吉の名言
「近道する奴は近道に潰される」
にあるように
私の中では
「エレベーターを使う奴はエレベーターに潰される」
と胸に刻んだ。
一ヵ月経過して、初日に比べると大分呼吸が持つようになった。9階や10階程度登り切ると3分ぐらいその場から動けなかったが今は大きく5回ほど深呼吸すればなんとかなるようになった。
目に見えるほどふくらはぎ辺りの筋肉が隆起しはじめている。
やはりゴルフをやる身としては下半身の安定が必要であると感じるので一石二鳥。
この生活を半年、1年、その後と続けた身体の変化が今から楽しみでならない。
良き変化があるであろう。
登り続けることは地獄のようキツイが
考え方を変えればそれは天国への階段なのだ。
私は今日も階段を登る。
という、今回のお話。