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Clubhouse・買い物・新習慣…コロナの影響でZ世代の生活はどう変わった?

コロナ禍で自粛期間が長引くこと早一年。1月に突如現れて話題を呼んだClubhouse。顔を出さなくても気楽に人とのコミュニケーションを楽しめる音声SNSであるClubhouseは、若手経営者や芸能人から火がつきはじめ、その後、大学生など一般にも広く浸透していきました。では、実際にはどのくらいの人がClubhouseを利用し、どのように楽しんでいるのでしょうか。

今回はClubhouseの利用状況とともに、コロナ禍での彼らの生活の変化に迫ります。

【インタビュー】
<対象>
Boys Beautyアンバサダー6名(21~24歳)
【アンケート】
<対象>
全国の15~34歳までの男女2153名
<調査実施期間>
2021年2月24日~26日
<調査方法>
インターネット調査

Z世代の「Clubhouse」利用実態


・Q1 Clubhouse(クラブハウス)を利用した経験がありますか?

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「興味がなくてやってない。ゲームが好きなので、その時間があればスマホゲームをします」
「『ラジオのような』と言われるけど、その印象はあまりない。好きな俳優が話し始めたら聴くけど、LINEのゆるいバージョンで繋がりが広がるツールって感じ」

・Q2 設問1で「はい」と答えた人にお伺いします。どのように楽しんでいますか?当てはまるものを全てお選びください。

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「基本的には聴くのが専門だけど、芸能人と話せるのは楽しい。kemioとか丸山礼ちゃんが好きで、いつも聴いてたら話せた」
「結構ログインはしてるけど、誰かに向けてトークはあんまりしない。『友だちと2人で会話してるから、どうぞ勝手に入ってきてください』みたいな感じでやってます」
「芸人さんや会社のお偉いさん、その繋がりの偉い人たちの話を聴いてる」

・Q3 設問1で「はい」と答えた人にお伺いします。今後も継続して利用する意向はありますか?

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出入り自由、タイムテーブルもほとんど無いようなものなので、開いた時に興味があったら入室してみる、くらいのライトな感覚で使用しているようです。インタビューでもアンケートでも、新しいからまずはやってみた、という温度感で、「開いてないと落ち着かない!どんどん周りも巻き込みたい!」といったような熱狂は感じられませんでした。熱狂までは生まなかったが故に、今はもう下火になっている印象です。

 Clubhouseが彼らを惹き付けた理由は、大きく2つあると考えています。1つ目は誰かと話したい、という欲求を気楽に満たせるツールという点。家で、一人で過ごす時間が多いいま、人と話す良いきっかけになったのです。2つ目は、新たな出会いの可能性を広げてくれる点。電話ほどパーソナルではないが配信ほどオープンでもない、というほど良いゆるさがあり、スピーカーとリスナーの行き来が自由なルームの中で、友人の友人、や、共通の話題がある範囲で繋がりが広がるのが魅力になっています。コロナ禍で人との出会いが減る中、新しい人と出会える貴重な場なのです。

 続いては、まもなく1年を迎える自粛期間で彼らの生活はどう変化したのかを深掘りしていきます。今回はおうち時間と買い物における変化についてリサーチをしてみました。

【インタビュー】
Boys Beautyアンバサダー6名(21~24歳)
【アンケート】
<調査対象>
全国の15~34歳までの男女424名
<調査実施期間>
2021年2月24日~26日
<調査方法>
インターネット調査

Z世代コロナ禍のおうち時間の過ごし方


・Q1 「おうち時間の充実」のために何か新しく習慣になったことはありますか。

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Q2 設問1で「はい」と答えた人にお伺いします。何が習慣になりましたか?当てはまるものを全てお選びください。

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「元々マンガが好きで、新しく3作品、23巻くらい買った。本屋さんに行って、『呪術廻戦』をルンルンで買って帰りました。一回目の緊急事態宣言のときは、Amazonプライムで動画を観るのが新しい習慣でしたが、それも慣れちゃった」
「特に生活習慣は変えてないけど、最近は断捨離とか掃除を頑張ろうって思ってる。あと、ネットショッピングの回数が増えたかな。インスタの広告とかで見て、『可愛いなぁ』『安くなってるなぁ』って。広告からそのまま飛んで買う回数は増えました」
「めっちゃ変えた。前は布団なんてなんでもいいわって思ってたけど、ベッド買ってみたり、部屋の模様替えをしたり、家から出たくない!」
「一ミリも変わってない……。気力が無い」
「部屋の掃除が週一になった。元々掃除は嫌いだったけど、いまは好きになりました。ハンガーラックと靴箱を買って自分の部屋に置くとか、部屋の改造をしました。クローゼットの中の服もかなり捨てた」
「ちょうど引っ越しの予定があるので、断捨離しました。普段外に出なくなった分、身の回りの着ない物・使わない物が多いなって気づいて。外に出る機会が減ったから、着る服が定着して、たまにはこれ着ようっていう思考が薄れてきた」


Q3 コロナ禍で店頭に行く機会は増えましたか?減りましたか?

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Q4 コロナ禍で、店頭やWeb上で「新しい商品/気になる商品を買ってみる」というような出会いの機会は減りましたか?増えましたか?

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「新しいものに手を出す回数はめっちゃ少なくなった。新しいもので買ったのはインテリアぐらい。無印が好きで、結局同じものをリピート買いすることが多い」
「食べ物も服も、前と変わらない。オンライン上でも着用イメージがあって、いまは動画が含まれていることも多いので、たとえば色とか、実物とのギャップはなくなった。ただ、生地感とサイズ感にこだわりたいので、店頭で実物を見たいというのが本音」
「そもそも買い物の回数が減った。でも衝動買いは変わってない。洋服が一番衝動買いする」
「あんまり変わってない。元々そんなに新しいものに関心がない。口コミ聞いて気になったら買うから」
「衝動買いが割とあったけど、お店に行くことが減って、それも減った」
「新しい商品に出会う回数は、圧倒的に減った。最近ちらっとサンシャイン池袋行った時に、やっぱりリアルで洋服見るのって良いなって思った」

 自粛が続いておうち時間が増えましたが、生活に変化が起きた人とそうではない人が大体半分くらいであるということが今回わかりました。おうち時間の過ごし方が変わった人の中でも、新たな趣味を見つけるというよりはコンテンツ消費の時間を増やした人が多いようです。コンテンツの供給元が多く、コンテンツ自体も膨大な数が溢れているいま、いかにSNS等他の媒体でターゲットにアプローチをして知ってもらえるか、ということが重要になってきています。Abema TVの恋リアシリーズやNetflixのオリジナルドラマシリーズは、それぞれネット配信番組×SNS、ネット配信番組×OOH、といった掛け合わせで認知度を上げて人気を集めている好例です。

買い物においては外出自粛で店頭に行く機会や購入頻度は下がったものの、こと洋服に関して実物を見るのが一番という考え方に変化がないことがわかりました。外出制限の緩和や大学の通常授業の再開が進むとともに、店頭には人がある程度戻ってくると思われます。

 Clubhouseは盛り上がりを見せてから下火になるまで約1ヶ月、と、かなりスピードが速かったですね。出てきた頃は新しい音声SNSとして「これからの新しい可能性を秘めたSNSかも!」と話題になりましたが、結局これという活用法が見出されないまま、芸能人の方々の離脱に比例して盛り下がっていった印象です。システム上、ルームのホストの権利譲渡・分配は出来るものの常に取り仕切る人が必要で日本人の譲り合いの人間性に合っていない、かつ、流行り始めた頃からしばらくは毎日定時にルーム開催、のような急激な盛り上がりをしてしまったが故にルームの開設自体が負担になっていった、というのが後退の原因だと推察しています。現在では、有識者の方々が事前告知のもとオープンセミナー的に活用することが主となっており、雑談部屋もかなり減っています。若者の活用もめっきり聞かなくなりました。

 今回のClubhouseの例を見てわかるとおり、流行り廃りの速さは若者の間に限ったことでなく、大人の間でも同様に起きています。むしろSNSの場合は、若者が広めるというよりは年齢問わずアーリーアダプター層(感度の高い人たち)が試して広まり、日常に下りてくるという広まり方をします。流行の中で生き残っていくサービスも廃れていくサービスもありますが、確かなことは流行の渦の中では何かしらの熱狂が起きているということです。その時代のその瞬間にどんなことに人々が熱狂しているのかを、流行の渦に飛び込むことで肌で感じることができます。Clubhouseが生んだ熱狂は”人との繋がり”でした。
 新しいSNSやサービスが出てきたら、「若者のもの」「意識高い系の人たちのもの」など思い込みでカテゴライズをして距離を置くのではなく、まずは自分で飛び込んで試してみてください!きっと、時代を紐解くヒントを見つけられるはずです。

堀

堀 かおり
2014年、電通テック入社。2018年5月より +tech labo の研究員となり、“Z 世代”を軸として開発業務を行っている。Z世代男子に向けてメンズ美容の情報を発信するInstagramアカウント「Boys Beauty」のプロデューサー。

https://plustechlabo.jp/