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今すぐ使いたくなる!ペルソナ設定のコツ【決定版】

+tech laboでは様々なビジネス開発への挑戦の中で、ビジネスやサービスを開発するノウハウも実践と共に貯まってきました。ビジネス開発のフレームワークはあまたありますが、その中で実際に私たちも「使っている」ものでかつ「使える」ものを紹介していきます。今回は、ビジネス開発でもマーケでもしょっちゅう出てくる、「ペルソナ」

基本のキすぎて「実はとりあえずでやってる…」という方のために、改めて良さをお伝えしつつ、『今すぐ使えるイケてるテンプレート』もご紹介しちゃいます!

ペルソナって何だっけ?何がいいの?

マーケティング担当に限らずビジネスの作戦会議でたびたび登場するペルソナ。どんなものなのか、というのはなんとなく理解されている方も多いでしょう。ペルソナは「サービスを使ってくれそうな典型的なユーザー像」のことです。

しかし実際にペルソナを自分で描いてみようと手を付けると、こんなことが頭をよぎります。
「どこまで細かく描けばいいの?」
「ターゲットはこの人だけじゃないんだけど…?」
「テンプレが色々あってどれを使えばいいのか」
「『エピソード』ってなんなん?」
「そもそも何のために描いてんだっけ?」
「ペルソナって何語?」

ペルソナ作りになんとなく腰が入らないという方は「そもそもペルソナを書くと何がいいんだっけ?」というメリットが腑に落ちていないのではないでしょうか。

ここの納得感なしにペルソナを書こうとしてもしんどいし、目的を見失った中で描いても効果的なペルソナを書くことはできません。本稿では、まずはここの「ペルソナの効果」を明らかにし、腹落ちさせていきましょう。

冒頭でも触れましたがペルソナとは「サービスを使ってくれそうな典型的なユーザー像」です。いわゆる「ターゲット」の中の具体的な一人ということになります。

さて、大勢いるはずの潜在ユーザーの中で具体的な一人を想定しておくと何がいいのでしょうか?

チームで議論する時の主語が揃う【ペルソナの効果①】

これが私が一番実感する所です。
人の主観はそれぞれだし、頭の中の内容を余さず他人に伝えることも不可能ですね。
そこでペルソナの登場です。
このペルソナさんを関係者共通の「主人公」として据えておくと、サービスに関する議論、特にサービスで提供したいUXを考える時の議論を、「自分はこう思う」ではなく「ユーザーならこう思うのではないか」といったように客観的なものに頭を切り替える事ができます。主観的な意見は否定しようがありませんが、客観的な仮説は建設的な議論のマトになりますよね。

このように、ペルソナを設定することでチーム全員に共通の主語ができるようになり、前提が異なることによるコミュニケーションの齟齬や、答えのない主観がぶつかり合う状態(感想戦)を避けることができます。

ユーザー目線で考える時の足しになる【ペルソナの効果②】

ペルソナ設定に関する教科書を見ると「ユーザー目線で考えることでユーザー理解が深まる」ということが書いてあります。その通りです。
そうは言っても人間なかなか「他人目線になる」なんてできるもんじゃありません。
「『この人ならこう思うだろう!』って思ってるのがそもそも自分だし」となります。
その通りです。

なのでそんなに高尚なものではなく、サービスのUXやカスタマージャーニーなどを考える時に「その足しになる」くらいの期待値でいきましょう。

私自身、ペルソナ目線のつもりでサービスのことを考えながら「ムム!?自分はXXだと思ってたけどペルソナさんの視点で考えると実は○○ではないか!?(エウレーカ!!)」とわかりやすく視点の違う閃きを得ることは、あんまりないです。

しかし逆に、ペルソナを設定せずに「ユーザーから見るとどうかな」と考えようとしても、主語のイメージが無いので考えようがありません。ペルソナよりもざっくりしたターゲットを主語にしても、例えば[30代/男性/独身/都内在住]がどう思うのか、なんてこれまたざっくりしすぎていて、これを元に考え出されたUXやジャーニーだって同様にざっくりするに違いありません。[35歳独身で外資系消費財メーカー大手の東京本社に勤めるプロジェクトマネジャー半田雄二さん]くらい具体的にしていくべきです。


当たり前ですが、サービスのUXはとことんユーザー目線で考え抜くべき。よりチーム全員の納得感があり、深い議論の末に成り立ったUXにするためにも、その主人公であるペルソナ設定が重要であることがわかります。

これがペルソナを描く目的です。

この二つの効果を考えると、ペルソナの描き方や描き具合も自ずとわかりやすくなります。
次回は、実際にペルソナを描く時のポイントを押さえていきます。

ムダに細かくて、イイ。【ペルソナ設定のポイント①】

まず浮かびがちな疑問として「どこまで細かく書けばいいの?」という部分。これは、前述の二つの効果を考えると、具体的であればあるほどズレも少なくなるし妄想も捗ります。

例えば、「本格スマホRPG」のペルソナを考えるとして、「30代独身の男性で高所得者層の会社員」よりも「35歳独身で外資系消費財メーカー大手の東京本社に勤めるプロジェクトマネジャー半田雄二さん」とした方が、全員で同じ人物を頭の中に想像しやすいし、人となりも妄想しやすいですよね。

さらに「ゲーム好きで夜な夜なオンラインFPSをやりすぎて寝不足になりがち」
さらに「スマホゲームは『子供の遊びだ』と周囲には言ってるがこっそりパズドラにハマった事がある」
さらに「友達との約束には遅刻しがちだけど他人の遅刻にはやたら厳しい」

このようにどんどん設定を肉付けすると、ペルソナの解像度がどんどん上がります。

こんな風に、ビジネス目線もたまに忘れて、マンガやゲームの登場人物のキャラ設定をするつもりでやってみてください。マンガの単行本の扉ページに出てくるような、アレです。
「これいる?笑」と自分で思うくらい、ニヤニヤしながら描くのがちょうどイイです。打ち合わせの時に誰かから「それいる!?ww」と言われれば勝ちです。


と、ここまで書いて気が付きましたが最初の疑問の「どこまで」に全然答えていませんでした…。これだと無限に細かく書く事になってしまいます。そこで、次です。

サービスに関係しそうな所だけで、イイ。【ペルソナ設定のポイント②】

正しい行動範囲がわからないと、結果一歩も動けないという状況に陥りがちですよね。何事もバーリトゥードよりルールがあった方が行動しやすいというものです。

という事で、まずは質的な範囲で言うと、サービスに関係しそうな所に絞って書くのでOKです。
前述の例で言えば、本格スマホRPGに関係しそうなことだけでOK。
例えば「ゲーム好きで夜な夜なオンラインFPSをやりすぎて寝不足になりがち」はど真ん中ですね。好きなゲームのためなら睡眠不足も厭わないくらいゲームに熱中してしまう人だ、という事が想像できます。
「スマホゲームは『子供の遊びだ』と周囲には言ってるがこっそりパズドラにハマった事がある」も同様。スマホゲームというジャンルそのものに誤解があるが楽しさも知ってはいる、そしてその事を他人に知られたくない、という事が想像できます。まったく、プライドの高い人ですね…。

「友達との約束には遅刻しがちだけど他人の遅刻にはやたら厳しい」は、あればあったで妄想の材料にはなりますが、まぁ無くてもイイです(笑)

このように、サービスに関係しそうなパーソナリティにだけフォーカスすればOKです。
次に、量的な範囲です。

テンプレを埋めるだけで、イイ。【ペルソナ設定のポイント③】

サービスに関係しそうな範囲の中でも無限に細かく書く事はできます。どのみち際限がないので、ここは割り切って「テンプレートの枠内に収まるくらいの分量」でOKとします。
埋めるための枠が見えてると途端に考えやすいですよね。
あんまり多くてもペルソナのキャラ設定が把握しきれないので、この枠内に収まる程度の文章量で十分です!

という事で、

そのまま活用できるテンプレートがこちらです。

ペルソナ4

前述の二つの効果を発揮するには十分な項目が揃っています。
もう、ペルソナテンプレートの決定版です。
そして何より「シンプルでおしゃれ」ですよね。
資料はなるべくカッコよくつくって「っぽく」見られたいですよね。

決定版と言いつつ、やりながら過不足を感じたら適宜項目は変えてOKです。
決定版って、時代や要望と共に変化するものですよね!

ちなみにペルソナ設定の中に「悩み(サービスがフォーカスする課題)」「ゴール(課題が解決された状態)」を入れるパターンもありますが、それは他のフレームワーク(バリュープロポジションキャンバスやジャーニー的なもの)で触れていく事なので、このテンプレートからは外しています。純粋なキャラ設定資料に仕立てましょう。

実際にこのテンプレでペルソナやってみた

参考までに、先ほどから登場している「本格スマホRPG」のペルソナを設定してみました。各項目の中身の書き方は、説明されるよりこちらの例を見てもらった方が手っ取り早いと思います。

半田雄二

この人だけを想定していいのか?【ペルソナ最大の疑問】

最後に、私自身も感じる大きな疑問について話して終わりにします。
ペルソナを書いていると「ターゲットはたくさんの人がいるのに、特定の一人を想定するような事をしていいのだろうか…この人専用のサービスになってしまわないだろうか…」と思う事があります。

これから何万人と使ってもらいたいのに一人を想定していていいのか。

これは正しい疑問で、実際頭に入れておくべき疑問だと思います。
この疑問を持たずに闇雲にペルソナにジャストミートするようなUXを考えていくと、それこそこの人専用のサービスが出来上がってしまいます。

大事なのは、ペルソナに与えた設定の一つ一つを文字通り受け取るのではなく、議論の種にするという事です。
議論の種にして、このペルソナに与えられたとある設定は他の人も感じるものか?たまたまこの人だけか?という感じで、議論の対象になればOKなのです。
例えば前述の「スマホゲームは『子供の遊びだ』と周囲には言ってるがこっそりパズドラにハマった事がある」は、本稿のオチを考えずに適当に考えた設定ですが(笑)、このキャラ付けによって「本格RPGと言うなら本格派のゲーマーからも支持を得たい。この人みたいに『所詮スマホゲーム』と思われないためにどうしたらいいか?」といった事を考える事ができます。

我ながら書いた時この考えはありませんでしたが、結果的に立派なフォーカスポイントが浮かび上がってきました。

このように、実は面白がって適当に考えたキャラ設定でも、後からイイ議論を呼ぶ事ができます。ペルソナ設定が「ムダに細かくて、イイ。」のも、こういうセレンディピティがあるからなんですね。
なので「この人だけを想像していいの?」については、「一人を起点に全体に関わる議論が見つかるから、イイ。」という事だと、私は考えています。


いかがでしょうか?
ペルソナ設定の大事さや勘所がなんとなく伝わったのではないでしょうか。
「なんとなく伝わった」と、私が考えた読者像のペルソナも言ってくれています。

皆さんも、何かのアイデアを深掘りする際には是非ご活用ください!

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原田 裕生
2009年電通テック入社。事業立ち上げ、戦略デザイン、ものづくり、ストリートダンス、飲み会の幹事に強みのある研究員。IoTプロダクト開発やジェネラルな経験を活かして、現在は事業構想から戦略実行をメインにプロジェクトを支援中。