動画視聴時代の新たな視聴体験の実現へ ~プラス触覚で動画配信はもっと楽しくなる~
こんにちは。+tech laboの小山です。今回は、私たちが進めている「触覚」に関するプロジェクトの一つをご紹介します。
小山 貢弘
2007年、電通テック入社。様々な業種の小売・流通業のプロモーション・マーケティング業務に従事。小売マーケティングのスペシャリストとして外部講師なども担当。+tech labo主任研究員として「ニューリテール」「感覚化」をキーワードに研究を重ねる。
新型コロナウイルスは我々の生活からエンターテイメント観覧やスポーツ観戦等のリアルな体験機会を奪ってしまいました。少しずつ緩和されてきてはいますが、コロナ以前の状態に戻るにはまだまだ長い時間がかかりそうです。
そこで、エンターテイメントやスポーツを配信等の動画を通じて観ることになるのですが、やはりリアルよりは迫力が欠けていたり、気分が上がらなかったりすることはないでしょうか?
かくいう私もそのひとり。もともと音楽ライブに行くのが大好きだったのですが、新型コロナウイルス感染症の流行以降はそれも叶わず…。音楽ライブの動画配信を観ているものの、あまり魅力が感じられません。
Pangaea/PIXTA
残念ながら上の画像のようにはなかなかなりません…。
リアルに音楽ライブを観覧するというのは、アーティストを目で見て、音楽を耳で聴くという単純なことではありません。ベースやドラムの迫力、ボーカルの声量などをカラダ全体で感じているのです。つまり、リアルな音楽ライブでは、視覚・聴覚のみならず、カラダ全体の振動、すなわち「触覚」を感じているといえます。
一方で動画配信の場合は、あくまで視覚・聴覚の刺激しか感じることができません。ここがリアルに比べて動画配信が、迫力に欠けると感じたり、気分が上がらなかったりする理由ではないかと考えられます。
Withコロナの時代、エンターテイメントやスポーツはしばらく動画配信を中心に楽しむことになると予測されます。
そんな動画配信をライブ会場やスタジアムでの体験により近づけることはできないか…。
そんな思いで、私たちは、あるプロジェクトを進めています。視覚・聴覚の情報のみの動画配信に、「触覚」の情報を加えるというもので、全く新しい動画視聴体験を模索しています。
上の画像の女性が座っている青と黄色のクッションの中には、動画配信の音声を振動に変換する装置が仕込まれています。例えば、お家でアクション映画を観るときにこのクッションを使えば、目と耳で動画を楽しむのと同時に、アクションの迫力を振動でも感じることができ、より迫力のある映像体験を楽しむことができるようになります。
実際に私も音楽ライブの動画で試してみたところ、ベースやドラムの音がズンズンと伝わってきて、ライブ会場でしか体感できないような「音をカラダで感じる」という体験をすることができました。
つまり、擬似的にではありますが、家にいながらにして、リアルな会場で感じる、視覚・聴覚+「触覚」を体感できるのです。
現在、このような視聴体験の質をより高いものにして提供できるようにするために、「触覚」研究の第一人者であり、「触覚」(ハプティクス)を「医療、ロボティクス、ゲーム」等の限られた分野だけではなく、広く社会に活用させていくことを目指している慶應義塾大学南澤孝太教授(https://www.kmd.keio.ac.jp/ja/faculty/kouta-minamizawa)にアドバイスを受けながらデバイスの制作・改良、より体験価値の高いコンテンツの探求等を行っています。
より快適に「触覚」を感じることができるデバイスの素材を喧々諤々話し合ったり、様々なコンテンツを実際に試しながらその体感から「触覚」にふさわしいコンテンツを探し求めたりしながら、実証実験を目指して鋭意活動中です。
Withコロナの時代、動画配信の需要はますます高まっていることと思います。
新しい動画視聴体験に是非とも取り組みたい!そんな気軽なご相談でも結構ですので、一緒に活動してみたいと思われる企業・団体の方は、お気軽にお問い合わせください。