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葛根湯は風邪・肩こり・乳腺炎におすすめの漢方薬

「なんだか背中がぞくぞくするけれど、風邪のひきはじめかな?」
「最近、デスクワークばかりで肩がこる」
「赤ちゃんに授乳中だけど、乳腺炎で熱が出てつらい」

こんな症状にお悩みの方は、葛根湯(カッコントウ)を試してみるのはいかがでしょうか。
葛根湯は風邪薬のイメージがありますが、そのほかにも肩こりや初期の乳腺炎をやわらげる作用があります。
また、漢方薬は効き始めるのに時間がかかると思われがちですが、葛根湯は急性期の炎症に効果的です。

今回の記事では、以下について解説します。

  • 風邪・肩こり・乳腺炎の原因や症状について

  • 西洋医学での治療法

  • 葛根湯で風邪・肩こり・乳腺炎をやわらげる

  • 葛根湯を飲むときの注意点

葛根湯の特徴を知って、症状が出たときは参考にしてみてくださいね。


葛根湯が効果的な3つのシーン

葛根湯は急性の炎症性の症状によく効きますが、特におすすめしたいのが以下の3つです。

  1. 風邪のひきはじめ

  2. 肩こり

  3. 乳腺炎

それぞれの原因や症状について、くわしく見ていきましょう。

1.風邪のひきはじめ

風邪はのどや鼻などに起こる感染症で、主な原因はウイルスです。
鼻水、のどの痛み、咳、発熱、頭痛、関節痛などさまざまな症状が現れます。

特に、悪寒がある風邪のひきはじめには葛根湯がよく効くと言われています。

2.多くの人が悩まされている肩こり

厚生労働省による国民生活基礎調査では、体に何らかの不調を感じる人の症状として男性の2位、女性の1位に肩こりがランクインしました。[1]

たとえば、あなたも次のような行動に心当たりはありませんか?

  • パソコンやスマートホンで同じ姿勢を取り続ける

  • つい猫背になってしまう

  • 冷房で体を冷やしがち など

肩こりは、主に僧帽筋という肩の大きな筋肉に起こる症状です。
首や肩の重たい感じ、こわばり、不快感、痛みなどを感じます。

肩こりが悪化すると、人によっては頭痛や吐き気をもよおすこともあります。

肩のこりを感じたら、悪化する前にストレッチでこまめに筋肉をほぐしましょう。
デスクワークによる慢性的な疲れをやわらげるためのストレッチ法については、こちらの記事で解説しています。
【疲労回復】疲れが溜まったときこそストレッチがオススメ

3.授乳ママのつらい乳腺炎

授乳中のママが抱える悩みの1つが、母乳の通り道である乳管に炎症が起こる乳腺炎です。

乳腺炎には、うっ滞性(うったいせい)乳腺炎と化膿性(かのうせい)乳腺炎の2種類があります。

乳腺炎になると痛みや熱が現れるため、授乳や育児で疲れているママにとっては、早く治したいつらい症状です。

風邪・肩こり・乳腺炎の西洋医学での治療法

西洋医学での治療の基本は、症状をおさえる対症療法です。
風邪、肩こり、乳腺炎の3つの場面で、よく処方される薬についてご紹介します。

【風邪】症状にあわせて薬を組み合わせる

風邪は、基本的には自然治癒します。
しかし症状がつらいときはお薬を服用することを検討しましょう。

風邪の症状をおさえる薬は次のとおりです。
おさえたい症状が多いほど、薬の種類が増えてしまうのが難点です。

以前は病院を受診すると、抗生物質がよく処方されていました。
しかし近年では、薬剤耐性菌を増やさないために不必要な抗生物質の処方は行わないよう勧められています。[2]

あらかじめ複数の症状をおさえる成分が配合された薬を、総合風邪薬と呼びます。
ドラッグストアや薬局では、多くの種類の総合風邪薬が販売されているので、自分に合った薬の選択が大切です。

緑内障や前立腺肥大症、薬にアレルギーがある人は総合風邪薬に含まれる成分で持病の悪化も考えられるため、必ず薬剤師にご相談ください。

また、鼻水や咳止めは眠気の副作用が出ることもあるので、車の運転や危険な作業は控えましょう。
眠気により集中力が落ちるため、中には仕事や勉強に影響がでてしまう人もいます。

【肩こり】筋肉をほぐしてやわらげる

肩こりに対してよく処方されるのは、筋肉のこりをほぐす薬です。
筋肉のこりをほぐして血行を良くし、痛みやだるさをやわらげます。

筋肉のこりをほぐす薬と相性が良くない薬もあるので、もしほかに飲んでいる薬があれば、必ず医師や薬剤師に伝えましょう。

また、筋肉のこりをほぐす薬でも眠気が出ることがあるので、車の運転にはご注意ください。
そのほか、痛み止めやビタミン剤などが一緒に処方されることもあります。

ドラッグストアでは痛み止めの成分が入った貼り薬を購入できます。
ぴったり貼り付いてはがれにくいテープ剤や、肌にやさしいパップ剤などがありますので、使用するシーンや自分の肌に合った商品を選びましょう。

【乳腺炎】症状によっては抗生物質を服用

うっ滞性乳腺炎では、乳管内にたまっている母乳を赤ちゃんに吸ってもらうと症状がやわらぎます。

一方、化膿性乳腺炎では、症状によっては抗生物質や痛み止めが必要です。

薬の中には母乳の中に分泌されるものもあるので、自己判断で薬を服用せずに必ず医師に処方してもらいましょう。

風邪・肩こり・乳腺炎を葛根湯で改善

ひとつひとつの症状に合わせた薬が必要な西洋薬と異なり、漢方は1種類でいくつもの不調を改善します。
葛根湯も風邪や肩こり、乳腺炎を原因とした複数の症状をやわらげます。

7つの生薬からできている漢方・葛根湯

葛根湯(カッコントウ)は7つの生薬で構成されています。

  • 葛根(カッコン)

  • 大棗(タイソウ)

  • 麻黄(マオウ)

  • 甘草(カンゾウ)

  • 桂皮(ケイヒ)

  • 芍薬(シャクヤク)

  • 生姜(ショウキョウ)

処方を見ると、葛根湯はクズの根、ナツメの実、シナモン、ショウガなど身近な食品で作られた漢方だとわかります。

葛根湯は早めに飲むのがコツ

葛根湯の効能効果は次のとおりです。[3]

葛根湯は急性期の症状に特に効果があり、症状が出て1~2日のうちの服用が良いとされています。
背中がぞくぞくするなど、風邪のひきはじめに服用すると効果的です。

乳腺炎になりかけているときも早めに葛根湯を飲むと炎症を鎮め、症状をやわらげます。
授乳中に葛根湯を服用する際は、医師や薬剤師に相談しましょう。

葛根湯は体温をあげることで自然治癒力をアップさせ、抗ウイルス効果を示すと考えられています。[4]
また、服用すると血行が良くなるため、肩こりによる痛みや頭痛などの症状をやわらげます。

葛根湯を服用するときの注意点

葛根湯で注意してほしい副作用は偽アルドステロン症です。
葛根湯に含まれる甘草(カンゾウ)を摂取しすぎると、血圧を上げるホルモンであるアルドステロンとよく似たはたらきをします。

偽アルドステロン症になると、血圧が高くなり、むくみ、手足のだるさなどを感じることがあります。

また、葛根湯に含まれている麻黄(マオウ)は目を覚ます作用があります。
人によっては寝つきが悪くなる可能性もあるのでご注意ください。

副作用を防ぐためには、用法用量を守って服用し、長期の使用を控えましょう。
葛根湯以外の漢方を同時に服用するときは、医師や薬剤師への相談がおすすめです。

風邪・肩こり・乳腺炎は葛根湯で早めの対策がおすすめ

今回の記事では以下について解説しました。

  • 葛根湯は風邪のひきはじめ・肩こり・乳腺炎に効果的

  • 急性の炎症に特によく効くので早めの服用がおすすめ

  • 甘草による偽アルドステロン症や、麻黄による不眠に注意

漢方薬はゆっくり効くと思われがちですが、葛根湯のように急性期の症状をやわらげるものもあります。
また、眠気の副作用がないため、車の運転をする人や仕事に集中したい人には葛根湯がおすすめです。


【参照】

[1]厚生労働省 2015年国民生活基礎調査

[2]厚生労働省 一人ひとりの心がけが大切 抗生物質・抗菌薬の正しい使い方

[3]ツムラ葛根湯エキス顆粒 添付文書

[4]葛根湯製剤の作用機序の薬理学的検討 イヌによる体温上昇と免疫能活性について:村岡健一ら、和漢医薬学雑誌、20(1)2003年、p.30-37

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