見出し画像

【漢方医学】心と体を漢方で整える

「漢方薬って中国の薬?」

「漢方はすぐ効かないよね。」

「風邪の引きはじめには葛根湯!」

あなたは漢方対してどんなイメージがありますか?

漢方の元になる漢方医学とは、古代中国から日本へ伝来した考え方。
現在では「漢方」として私たちの生活に親しまれています。

この記事では、漢方薬局の薬剤師が漢方医学に関して詳しく解説します。


漢方医学とは

漢方医学の起源は、古代中国。
5-6世紀頃、中国から朝鮮半島と経由し、日本へと伝来しました。
この章では以下の内容について紹介します。

  1. 漢方医学の歴史と由来

  2. 現在の漢方医学

  3. 漢方の定義

ひとつずつ見ていきましょう。

①漢方医学の歴史と由来

漢方医学は5-6世紀に日本に伝わりました。
日本の風土や気候、日本人の体質にあわせて独自の発展を遂げ、現在の「漢方医学」が成立。
室町時代後半からは特に大きく発展・体系化され、現在へと継承されています。
そして鎖国体制下の江戸時代、オランダとは学問の交流が盛んだった日本は、オランダから伝わってきた医学を「蘭方」(オランダ「阿蘭陀」から)と呼んでいました。
「漢方」という名称は、この「蘭方」と区別するためにつけられたものです。
漢方は古い概念ですが、漢方という言葉は比較的新しいということになります。

②現在の漢方医学

明治時代になると、ヨーロッパの学問が一気に日本に入ってきます。
医学ではドイツ医学の普及が主流で、明治政府はドイツ医学を学んだ者のみ医師とする法律を施行。
明治政府によって作られた法律により漢方医学は一時衰退しますが、その有用性から徐々に見直されます。
昭和30年代には医療用漢方エキス製剤が作られ、保険適応となり、広く臨床で使われるようになりました。
2011年の新聞報道によれば、「現在漢方薬を処方したことのある医師は9割。漢方を飲んだことのあるひとは8割近く」という、大きな市場として成長しています。
中国での伝統的な医学である「中医学」、韓国で発展した「韓医学」と同じく、中国起源で共通する部分はあるものの、漢方はまさしく『日本独自の医学』なのです。

③漢方の定義

「漢方」は、広義では鍼や指圧。
「漢方の療法」は、以下の内容を含みます。

  • 漢方薬

  • 指圧

  • 薬膳

  • 鍼灸

  • 養生 など

「漢方薬」は、植物の根や種子、果、鉱物など天然の原料を元に作られる生薬をベースに2種類以上組み合わせて作られます。
例えば有名な「葛根湯」は、以下の生薬の組み合わせです。

  • 葛根

  • 麻黄

  • 桂皮

  • 芍薬

  • 甘草

  • 大棗

  • 生姜

「薬膳」は、本草学(漢方医学の考え方に基づき性質や効能を論じる)の知識を工夫して、体質や精神状態を重視したもの。
分析方法が発達し、食品ごとの栄養価をベースとした現代の栄養学とは、別の角度からのアプローチで『心と体の健康』を維持する考え方です。
「養生」は、読んで字のごとく「生命を養う」という意味で、最近では予防医学的な考え方が強くなっています。
病気の症状があらわれてきていない「未病」という状態のうちから、不調や乱れたバランスを整え、からだを治すという考え方です。
具体的には、食事や生活習慣の見直し、運動や気を整えることなどが挙げられます。
つまり食事量は腹八分目を心がけ、規則正しい生活習慣と適度な運動が大切です。

漢方医学の考え方と特徴

漢方医学は西洋医学と異なった考え方です。

この章では、漢方医学独特の考え方や特徴を解説します。
 

心身一如(しんじんいちにょ)

漢方医学の特徴に「心身一如」という考え方があります。

西洋医学は、デカルト以来、要素還元的考え方(「心と体は別のモノ」である)に基づいて発達してきました。

西洋医学に対し漢方医学は、心と体はお互いに強く影響し合う「心身一如」という考え方に基づいた治療体系となっています。

さらに詳しく言うと、「心身一如」は人と自然を統一体とし、それぞれの細胞そして組織が互いに影響を及ぼしているという考え方を主にしたものです。
心と体のバランスを整え、人間がもともと持っている自然治癒力を生かすことを基本としているのです。

体におこっている症状を、漢方医学では「証(しょう)」といい、この証を判断するために「どの部分が、どのような原因で不調を起こしているか」を、さまざまな手法で探ります。
 

漢方はバランス重視

漢方医学では、人の体は「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の3つの要素(概念)で構成されていると考えられています。

心身の調子を知るうえで大切なのは、この3つの本来のバランス。
これらの要素で人体の生命活動は維持され、互いに3つが影響しあっています。

「気・血・水」が多過ぎたり少な過ぎたり、また循環が停滞したりして発生したバランスの崩れが、様々な症状を引き起こす原因です。

「気・血・水」それぞれに異常が起きた時は以下の症状が現れると考えられます。

「気」の異常

  • イライラ

  • 気分の高ぶり

  • 元気や気力の不足

  • 疲労感

  • 不眠など

「血」の異常

  • 血の流れが滞った「お血」

  • 月経不順

  • 貧血 など

「水」の異常

  • 水分や体液の偏在によるむくみ

  • 下痢

  • 体の重さ

 

気血水は自然の摂理

ここでいう「気血水」は、空気や血液、体液といった、モノ(物質的な存在)とは違い、主観や概念であることをふまえると、理解いただきやすいかもしれません。

例えば、実際の体の状態とは別に「気が沈む」「気が立つ」「頭に血がのぼる」といった表現があります。

主観的に実感できる現象によってイメージしやすいのではないでしょうか。

水は流れ、温まると蒸発する 重いものは下へ行き、軽いものは上へ上昇する。
そんな自然の摂理をもとに心身のバランスを調節し、その人にとって本来の「ちょうどいい」状態に戻していくのが「漢方」なのです。

大切なのは、その人が本来もっている体のバランス。
漢方薬は、その人の訴える症状やひとつの症状だけで考えず、主観的な今の体の状態も含めて選ばれるものでもあります。
 

陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)

古代中国で生まれた哲学に、五行説というものがあります。
古代中国で生まれた、宇宙に存在する全てのものを「火・水・木・金・土」の5種類の要素としてそれぞれ捉える自然哲学のことです。

この5つの要素は互いに影響し合い、親子のような関係性であったり、勝ち負けの関係であったりします。
その生滅盛衰によって天地万物が変化し、循環するという考えが根底に存在。

五行説に基づいて、漢方医学では人体の内臓器官の様々な働きを「五臓六腑(ごぞうろっぷ)」というものに当てはめて考えています。

  • 五臓:肝・心・脾・肺・腎

  • 六腑:胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

これは現代の解剖学上の内臓器官と名称が近いですが、漢方医学では物質としての臓器というより、その働きや、働くことで起こる心身のいろいろな現象も含めた概念になります。

五臓六腑は、より広い意味をもち、抽象的なその働きや機能も含んだ呼び方です。

「肝がすわる」「肝をひやす」などの表現がイメージしやすいかも知れません。

そして陰陽説は、全てのものを「陰」と「陽」の2つの性質に分けたもので、漢方医学では体の状態やバランスを把握するために必要な考え方とされています。

この「陰」と「陽」は、相手がいることで成り立ち、互いに存在するという理論で、互いにバランスを取るように作用しています。

人体においても、陰と陽は以下を示します。

  • 陰:安静、睡眠など

  • 陽:日中の活動や運動、消費など

生命を維持するために陰陽がバランスよく調和した状態が健康です。
陰陽のバランスが崩れていることが、病気の一因になるとも考えられています。

未病(みびょう)とは

「未病」とは、最近よく聞く言葉です。
予防医学の意味として使用することも多くあります。

この章では「未病」について解説します。

順にみていきましょう。

未病とは病気に向かう状態

日本未病学会によると未病とは以下のように定義されます。

「未病」という言葉は日本ではまだ聞き慣れない言葉かもしれません。
この言葉は2000年前の後漢の時代、中国最古の医学書とされる「黄帝内経」にはじめて見られるもの。
このなかで、「未病」とは「病気に向かう状態」を指し、この未病の時期を捉えて治すことの出来る人が、医療者として最高人(聖人)であると記されています。

引用:日本未病学会 未病とは

また最近では、「未病」への関心が高まり、辞書に「未病」が追加されています。
以下は、スーパー大辞林での「未病」の定義です。

病気ではないが、健康でもない状態。
自覚症状はないが検査結果に異常がある場合と、自覚症状はあるが検査結果に異常がない場合に大別される。
骨粗鬆症、肥満など。

引用:スーパー大辞林
  • 自覚症状はないが、検査で異常が見られる西洋医学的未病

  • 自覚症状はあるが、検査では異常がない東洋医学的未病

というようにも区別ができます。
病気ではないけれど健康ともいえない、「だるい」「疲れやすい」「冷える」といった不調等も未病です。
思い当たるという人も多いのではないでしょうか。
「未病」は、重要性が認識され始めた予防医学ともリンクしています。
予防医学とは「病気になってしまってから治療を始めるより、病気になりにくい心身をつくることで病を予防し健康を維持する」という考え方が根本です。
 

未病と不定愁訴(ふていしゅうそ)

よく「不定愁訴」という言葉を聞きます。
「体力がなくなった」「頭が重い」「イライラする」「疲労感が取れない」「しっかり眠れない」などの症状はあるものの、検査しても原因の病気がみつからない症状のことです。
病気ではないけれども、症状がある状態であり、未病として扱われることも多くあります。
例えば、更年期障害。
更年期にみられる不定愁訴症状群のことです。
一般的に女性に多く見られます。
女性は更年期になると、卵巣機能が低下して性ホルモンの分泌が減少。
女性ホルモンの現象により、自律神経の失調状態をまねいてしまうからです。
結果、不定愁訴が起こりやすくなるといわれます。
 

未病を知るには「健康診断」でのチェックも大切

未病の段階では、健康な状態と病気の間で少しずつ体の状況が変化しています。
体からのSOSに自分自身が気づいておらず、検診等の結果で初めて問題が判明する場合もあります。
さまざまな検査技術が発達する今、健康診断などは、自覚症状がない未病を発見できるチャンスでもあります。
必ず年に一度は受診し、今の体の状態を確認するようにしましょう。
結果を受け健康な状態を目指すには、自分の体調や生活習慣にも目を向けるのも重要です。
未病の段階で食事・運動などの生活習慣を見直せば、病気になってしまってから見直すよりも、健康な状態への早期回復が期待できます。
 

「未病対策」は健康寿命をのばすための大切な習慣づけ

未病である時点から、自分の生活習慣を見直して病気を予防し、病いや不調をできるだけ遠ざけることを目指しましょう。
未病の対策によって病気の発症を遠ざけることは、支障のある日常生活を短くし、健康で過ごせる期間、健康寿命をのばすことにつながります。
まさに未病対策は、健康寿命の延伸につながる大切な視点といえるでしょう。

西洋医学と漢方医学

西洋医学と漢方医学の考え方や効果などは、全く反対なのでしょうか。

ここでは、西洋医学と漢方医学を比較し解説します。

西洋医学と漢方医学の違い

西洋医学では「病気そのもの」が治療のターゲット。
対し、漢方医学は「病気を持つ人」その全体をみて治療する考え方です。

それぞれの治療方針は、以下の傾向はあります。

  • 漢方医学:人それぞれの体質や心身の状態などに合わせ、自然治癒力も利用しての治療

  • 西洋医学:病気の原因となっている器官などに合わせ、ピンポイントな治療

他にも西洋薬と漢方薬には考え方の違いがあります。

漢方医学の考えである「五臓」は、それぞれ5つが物質的なはたらきをするだけでなく、精神的な機能とも関連しています。

近年では西洋医学でも、精神的な要素は心身に影響を及ぼし、ストレスとなり健康を害することが重要視されるようになりました。

正常な検査値であるから健康とされるのではなく、主観的にも客観的にも異常や違和感がない状態こそが、健康といえるでしょう。

どのような症状や人におすすめ?

西洋薬と漢方薬はどのような症状の人におすすめなのでしょうか。

漢方医学の基本的な考え方は不調を「心身のバランスが崩れた状態」ととらえます。

検査をしても異常が見つからない場合や、婦人病のような症状、悩みなどに対し、心と体の両面からアプローチし、バランスを整えて対処することができます。
 

西洋医学と漢方医学は対立関係?

治療や健康維持において、西洋医学と漢方医学は対立関係であるわけではないことを、理解して頂ければと考えています。

西洋治療の否定や漢方治療の絶対推奨ではありません。

西洋薬のほうが漢方薬よりマッチするケースも多々あります。

急性の重篤な症状や、心筋梗塞、くも膜下出血、肺炎などといった病気を治すのには現代の西洋医学は最適です。

おまたコレステロールのコントロールや血栓予防など、健康寿命を延ばしてくれる効果も西洋医学にはあります。

現代は、西洋医学 東洋医学(漢方)、それぞれの医学の特徴を活かしての健康維持が重要です。

現代医学は薬漬け?

現代の医学は、なぜ薬漬けと表現されるのでしょうか?

ポリファーマシーという考え方と漢方での治療の観点から解説します。

ポリファーマシー

近年、多剤服用や多剤併用を意味する「ポリファーマシー」が注目されています。
昔は「薬漬け」というような言い方をしていましたが、最近では上記のように呼ばれています。

ポリファーマシーとは「poly(複数)」+「pharmacy(調剤)」のことですが、単に複数の医薬品を使用している状態を指す言葉ではありません。
医薬品を複数使用していても、それが患者さんの治療や健康管理に必要な場合はポリファーマシーとはいえません。

しかし、例えば使用している医薬品が少なくても、

  • 医薬品同士の相互作用が疑われる場合

  • 同じ成分の医薬品が重複している場合

  • 使用する理由が明確ではない医薬品が含まれている場合 など

様々な要因によって「必要以上の医薬品を使用している状態」のことを「ポリファーマシー」は指しています。

ポリファーマシーの状態となる背景として、西洋薬のその症状に対して薬があてられるという「足し算の医療」の考え方があります。

頭痛には頭痛薬、不眠には睡眠薬、肩こりに筋弛緩薬、便秘には下剤、疲労にはビタミン剤、めまいには…など。
基本的に1つの症状に対し1つの薬が処方されるため、薬が増えていく傾向があるのです。

漢方薬での治療

一方で、漢方薬は複数の生薬の配合による多成分系のため、ひとつの薬が色々な症状に効果をもたらします

例えば、頭痛、イライラ、疲労感などの複数症状に対し、ひとつの漢方薬を使えばこれらの症状が一緒に改善することもあるのです。

この章では漢方の治療法である

  • 同病異治

  • 異病同治

について詳しく見ていきます。

同病異治

同病異治とは「同じ病気でも違う治療を行う」ことです。

例えば湿疹症状。
乾燥して悪化する人と、月経前に湿疹が悪化する人。
同じ湿疹でも悪化要因が異なれば、使う漢方薬や治療も異なります。

乾燥する場合は潤し、月経前には血の巡りを調整する漢方薬が効果的です。

異病同治

異病同治とは、違う病気でも同じ治療を行うこと。

例えば「冷え」。
頭痛や吐き気など、それぞれ症状は違えど、その原因が「冷え」だと考えられる場合は、出ている症状は違っていても、同じ漢方薬や治療を施します。

漢方とサプリメントのは何が違うの?

サプリメントは栄養素が単体、または複合されている錠剤やカプセル剤です。

漢方薬とサプリメントは、体調を整えるために服用されることが多く混同されがちですが、漢方薬が医薬品に対して、サプリメントは食品として扱われます。

この章では漢方薬とサプリメントの違いを解説します。
 

漢方薬とサプリメントの違い

以下に漢方薬とサプリメントの特徴の違いを表にまとめました。

サプリメントは足りない栄養補給するのに対し、漢方薬は体の不調を整えることが可能です。

漢方薬を服用した方がよい自覚症状を以下に示します。

  • 疲れやすい・だるい

  • メンタル面の不調

  • 月経不順・PMS/月経前症候群

  • 更年期の症状

  • 天候悪化時に調子が悪い

  • 頭痛

  • 花粉症

  • 肌荒れ

  • 風邪になりやすくなかなか治らない

  • 二日酔い

  • 肥満

  • 不眠 など

当てはまる方は、普段の生活にプラス漢方薬を試してみることをおすすめします。
 

サプリメントを選ぶ際の注意点

サプリメントを選ぶ際は、品質などをよくチェックしてから購入するようにしましょう。

どの栄養素のサプリを選べばわからない時は、以下の手順を参照してください。

  1. 普段の食事から摂取している栄養成分を把握する

  2. 栄養成分の量と推奨量/日から不足している量を検討し算出する

  3. 不足していると考えられる場合は通常の食品で補うか、または品質の確かなサプリを購入する

サプリメントに記載されているキャッチコピーに惑わされずに、製品の表示内容をしっかり確認してください。

身近な不調と漢方の考え方

漢方薬の効き方は、西洋医学の薬と比べて違うのでしょうか?

病気の代表例として「風邪」をあげて解説します。
 

風邪の治療

風邪を一度も引いたことがない人はほとんどいないかと思います。
風邪の主な原因は、鼻やのどへのウイルスの感染。

原因微生物の約90% はウイルス、残りの約10%は細菌、マイコプラズマ、クラミジアなどウイルス以外による感染です。

風邪ウイルスの数は200種類以上といわれており、どのウイルスが原因で起こったのかを特定することは困難です。
また同じウイルスでもいくつもの型があり、それが年々変異します。

一度感染したウイルスに対抗する免疫ができたとしても、次々に新しいウイルスに感染するため、繰り返し風邪をひいてしまいます。

風邪によって病院を受診した際、抗生物質・抗菌薬を処方された経験がある方も多いのではないでしょうか。
基本的に、先のように風邪の原因はウイルスが90%のため、風邪そのものに抗生物質、抗菌薬は効きません。

また症状を抑える対症療法として、主な風邪の治療薬になることも多いです。

  • 咳止め

  • 抗ヒスタミン薬

  • 総合感冒薬

  • 解熱鎮痛剤

対症療法とは「熱がでたら熱冷まし」「頭痛の時は痛み止め」というように症状を抑える治療のことで、決して根本的に治している訳ではありません。

症状を抑えながら、自然治癒を待つ状態です。

日常生活に支障が出る、仕事を休めないなど、QOLに悪影響がでないように、症状を抑えます。
しかし、対処療法で使われる薬は時に、眠気やめまい、便秘や胃腸障害などの副作用も伴います。
 

漢方の風邪治療

風邪をひいたときに、よく使われる漢方薬である「葛根湯」や「小青竜湯」、「桂枝湯」などには、発熱・発汗作用がある生薬が含まれています。
人間の体の自然治癒力を高め、熱を上げて風邪を治す作用です。

漢方の風邪治療は若い人、高齢者、妊娠中の方など、体力や体格、からだの状態の違いをみて、それぞれに合った違う薬を使います。
風邪が治る過程で長引く咳や熱、食欲低下などの症状に対しても対応できるという点が特徴的です。

副作用は原料の多くが自然由来のもので比較的少ないとも言われていますが、体質にあった漢方薬を服用することが何よりも大切です。
一般的に漢方薬は、副作用は少ないといわれています。

漢方薬も医薬品ですので、使用上の注意をよく読み、服用は、用法用量を正しく守って行いましょう。
服用後に不快な症状があらわれた場合には、自己判断せずに、速やかに専門家に相談してください。
 

漢方薬は効果があらわれるのが遅い?

漢方薬の効果の表れ方は、人それぞれの体の状態や体質、服用の目的などさまざまな条件や要因により異なります。

急性の風邪や腹痛などは、服用後30分ほどで効果が表れることもあります。
しかし慢性的な疾患の場合には、1〜2週間で実感が出はじめる人もいれば、半年から1年で徐々に効果を感じられるケースもあります。

また、継続して服用することで体質改善でき、病気予防にもつながるケースもあります。

漢方医学を知って毎日を健康に!

漢方医学の考え方について解説しました。

予防医学につながる「未病」や、「気(き)」「血(けつ)」「水(すい)」の考え方は漢方医学の独特な考え方です。

漢方は、体質改善にもつながるため不定愁訴などがある場合におすすめです。

漢方医学の考え方を知って、健康な毎日を過ごしましょう。

【参照】

日本未病学会 未病とは

牧野利明,2015,いまさら聞けない生薬,漢方薬医薬経済社

緒方千秋 他,2018, 初めの一歩は絵で学ぶ 漢方医学 漢方の考え方や使い方のキホンがわかる, じほう

岩田健太郎 他, 2018, つまずきから学ぶ漢方薬 構造主義と番号順の漢方学習, 中外医学社

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?