辞める前提で
少し前に入塾していただけた保護者の方は、入塾の際にしきりに「退塾の仕方」を聞いてこられた。
辞める意思はいつまでに言えばいいのか、もしそれよりも遅くなったらどうすればよいのか、辞める理由は何か相当なものがないとダメなのか。
そんなことを言われるお客さんは今までいなかったので、私は少し面食らったけれども、うちにあるルールをきちんと説明したら納得してくれた。
「しかしなんで入塾前に辞める前提?」と思って、帰られてからいろいろ考えてみた。
最初は、全然信頼されている感じがしないからすぐ辞めちゃうかもなぁとか思っていたけど、でも深く掘ると『まぁわからない思考じゃないよね』と思い始めた。
無料体験授業を設定しているとはいえ、その1回ですべてがわかるわけもなく、いざ始めたら相性が合わなくてどうしよう、なんてことがあるかもしれない。
「相談してくださいね、先生は変えられますからね」とお客さんに伝えているので、相談してくれたらいいじゃんと私の立場からは思う。
でも、相談するのってめんどくさい。私も導入している映像授業に多少の不満があっても相談しないし。
辞めたくなったとき、相談せずに辞めてしまえるならそれが一番いい。でも、辞めると言うのもまためんどくさい。だったら、最初から入らない方がマシ、と思う方向もありえるよなぁ。
「まだ始めていない」段階で、「ある程度長期間」の契約をするのは、多くの場合怖い。もう考える余地なく、入塾するしかない!みたいに切羽詰まってない限り、『焦ってないしもう少し吟味するか』となるなと思った。
合わないと感じたときに、もしくは入塾の前提(入試対策とか定期試験対策とか)が変わったときに、スパッと塾を変えられるほうが、入塾ハードルが低いことがわかった。
なるほど、そう考える家庭があっても全然不思議じゃないよな。
サブスクでも、「1か月お試し、1か月経たなくて辞めていってもいいですよ、ボタン一つで辞められますよ」は、確かに入りやすい。
良ければ続ければいいし、辞めたければ辞めればいい。
学習塾は会員制ビジネス、サブスクリプションビジネスなのだから、入りやすさも大事。サービスの内容がそこまでわからない段階で大金を払うのだから。
長年学習塾の業界にいて、退塾は嫌なので、話題として避けていたところはあるけど、こういうのって一つの「誠意」なのかもなと思った。
最初に話をしてくれるなんて、そのくらい信頼されていることということなのかもと、ポジティブな気持ちで考えることとする。
パンフレットにも退塾の仕方書いておいた方がいいなぁ。
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