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AIに1クリックで4択クイズを作らせ、学習効率を上げる


文章を読むとき、皆さんはどのように理解を深めていますか?

私の場合、ただ漫然と読んでしまうことがよくあります😅。一見理解したつもりでも、読了後にはほとんど頭に残っていない...。

これは「表面的な理解」に留まっているためです。

なぜ表面的理解になってしまうのか

こうした現象は、「浅い読解」または「表層的理解」と呼ばれる一般的な学習上の課題です。テキストを機械的に目で追うだけの受動的な読書状態に陥り、内容を深く考えずに読み進めてしまう状態を指します。

この現象では、ワーキングメモリで情報を一時的に処理するだけで長期記憶への転送が行われないため、読んでいる瞬間は分かった気になりますが、実際には内容が定着していません。また、自分の理解度を正確に把握できていないというメタ認知の欠如も特徴で、「分かったつもり」という錯覚に陥りやすい状態です。

この課題を克服するためには、クイズ形式での自己テストや要点の言語化・文章化、内容についての質問生成、定期的な振り返りと復習といった能動的な学習アプローチが効果的です。

参考までに、以下は学術的研究について ChatGPT へ問い合わせた結果です。

Roediger & Karpicke (2006) の研究(Test-enhanced learning: Taking memory tests improves long-term retention)では、単に学習を繰り返すよりも、テストを受けることで長期的な記憶定着が向上することが実証されています。特に、フィードバックを伴うテストは、誤った理解の修正にも効果的であることが示されています。

Karpicke & Blunt (2011) の研究(Retrieval practice produces more learning than elaborative studying with concept mapping)では、情報の能動的な検索(テストなど)が、単純な再読よりも効果的な学習方法であることが示唆されています。多肢選択問題を解く過程で、関連知識を検索・照合する作業が記憶強化に寄与するとされています。

さらに、Butler & Roediger (2008) の研究(Feedback enhances the positive effects and reduces the negative effects of multiple-choice testing)では、多肢選択テストが学習者の理解度の自己評価(メタ認知)を向上させることが報告されています。即時フィードバックにより、誤った理解を早期に修正できる利点があります。

より深い理解に向けて:「1ボタンで4択クイズにする」

この課題を解決する良い方法を見つけました。それは、ChatGPTを使って4択クイズを作成し、解くというものです。

4択クイズの例

実際に私は昨年、音楽著作権管理者養成講座を受講した際にこの方法を試してみました。最後の試験が選択式だったこともあり、ChatGPTに教材内容から4択クイズを作成してもらい、繰り返し解いていったのです。その甲斐もあり、98点(=1問だけ間違い)で合格することができました。

この方法には、以下のような利点があることがわかりました:

  1. 思考のアンカー効果

    • クイズに答えるために文章を何度も読み直す

    • 重要なポイントを意識的に探すようになる

  2. ゲーミフィケーション効果

    • クイズ形式にすることで学習が楽しくなる

    • 正解・不正解の即時フィードバックが得られる

  3. 記憶の定着

    • 繰り返し解くことで長期記憶に残りやすい

    • 問題を解く過程で能動的な学習が促される

このように、単なる読書から一歩進んで、クイズ形式で学習することで、より深い理解と記憶の定着が期待できます。

また、いちいち文章をコピペしたり、プロンプトを入力するのが面倒なので、Stream Deck を使って1ボタン押すだけで出題されるようにしました。

Stream Deck。左の3つのボタンが ChatGPT 用で、左下が4択クイズ出題ボタン

使い方

思いついたらすぐにクイズにしたいので、使い方をとてもシンプルにしています。

1. 理解を深めたい文章を選択する

リベラル・アーツ - Wikipedia より

2. Stream Deckの「4択クイズ」ボタンを押す

3. ChatGPT がクイズを出題する

4. 回答する

各回答をつなげても大丈夫です。


5. ChatGPTに答え合わせをしてもらう

誤回答には解説もしてくれます。

この出題作業を効率化するために、Stream Deckというボタン型デバイスを活用しています。文章を選択して1つのボタンを押すだけで、自動的にChatGPTがクイズを作成してくれる環境を整えました。

構成

この学習方法を行うための構成は以下のとおりです。

  1. ChatGPTアプリ

    • デスクトップアプリを使うことで、より素早くクイズを作成できます

    • ブラウザでも代用可能です

  2. Stream Deck

    • Stream Deckは、様々な操作をボタン一つで実行するためのハードウェアです

    • ボタンにマルチアクションを割り当て、下記のように設定します

Stream Deckでプロンプトを設定する場合は、改行の扱いに注意が必要です。

  • テキスト内の改行がリターンキーとして認識される問題を回避

  • 1行での記載を基本とし、必要な箇所はホットキー(Shift + リターンキー)で改行

ChatGPTで4択クイズを作る際のプロンプト設定

ChatGPTで4択クイズを作る際のプロンプトと設定のポイントを紹介します。

以下のプロンプトを使うことで、効果的な4択クイズを作成できます:

私ではない人が書いた下記の文章について、その内容への理解を深めるために、用語や思想、概念、コンセプトなど抽象性を高めた内容を取り出した4択クイズを10つ作ってください。特徴的な数字や用語・概念については、穴埋め問題も入れてください。出題順序は概ね文章の進行に従ってください。選択肢は1〜4とし、答えは出さないでください。私が答えるので、その後に答え合わせをし、正答率を出してください。誤回答については、詳しく解説してください。

4択クイズ出題プロンプト

1行で書いているのは、上に書いたように改行がリターンキーとして認識されてしまうためです。「\n」などの改行コードを入れてもだめでした。ご存じの方いましたら教えて下さい🙇

プロンプトのポイント

  1. 抽象的な内容に焦点を当てる

    • 用語や思想、概念、コンセプトなど、抽象性の高い内容をクイズ化

    • 「筆者はどこに行きましたか?」のような表面的な質問を避ける

  2. 重要な数値データの確認

    • 市場サイズなどの具体的な数字は穴埋め問題として出題

    • 重要な用語や概念も同様に穴埋めで出題

  3. 回答のしやすさを考慮

    • 選択肢はA〜Dではなく1〜4の数字を使用

    • 回答の入力負荷を軽減

  4. フィードバックの重視

    • 答え合わせ機能を含める

    • 正答率の表示で学習進捗を確認

4択クイズを出してみる

これらの設定により、効率的に4択クイズを作成し、学習効果を高めることができます。

自分のブログをクイズにする

まずは自分のブログをクイズにしてみました。

【4択クイズ(合計10問)】
以下の問題は、提示された文章の内容をベースに、用語や思想・概念、抽象性を高めた内容を取り出して作成しました。選択肢は1〜4で示し、答えはここでは明かしません。文章をよく読みつつ挑戦してください。

問1:下記文章において「オーセンティックリーダーシップ」とは、どのような特徴を持つリーダーシップを指しているか。
1. 強力なカリスマ性を伴い、トップダウン型でメンバーを統率するリーダーシップ
2. 自分らしい価値観・目的を重視し、自分の内的ビジョンに基づくリーダーシップ
3. 組織の既存方針を忠実に守る保守的リーダーシップ
4. 部下のモチベーションを金銭的報酬だけで高めるインセンティブ重視リーダーシップ

問2:文中に出てくる「Can/Want/Needs チャート」が示す3要素のうち、内的要因に分類されるものはどれか。
1. Can のみ
2. Want のみ
3. Can と Want
4. Needs と Want

問3:「最低限の実用的スキル」を指すために本文中で用いられた概念はどれか。
1. Minimum Viable Product
2. Minimum Viable Skill
3. Minimum Vital Step
4. Minimum Value Score

問4(穴埋め):次の文章の(   )に最も適切に入るキーワードを選びなさい。
「徐々に近づくというより、ある時に突然、運命のようなものが舞い降りる印象です。電気伝導のパーコレーションモデルのように、ある臨界の(   )を超えた瞬間にA-B地点の間に導電回路が形成されるイメージです。」
1. 温度
2. 分散度
3. 充填率
4. 周波数

問5:テキスト中で「率ではなく、大きさ・回数で測られる」と説明されているのは、どのような概念に関する話か。
1. 成功
2. 失敗
3. 学習曲線
4. 需要予測

問6:「計画的偶発性」(Planned Happenstance)の考え方について、本文の説明に最も近いものはどれか。
1. キャリア形成はすべて事前の目標設定と計画通りに進むという理論
2. 良いキャリアは偶然の出来事や出会いによって築かれるが、本人の好奇心や柔軟性が重要とする理論
3. リーダーシップはカリスマ的資質が不可欠とする理論
4. 誰でも同じプロセスでキャリアを形成できるとする均一理論

問7(穴埋め):次の文章の(   )に当てはまるキーワードを選びなさい。
「Can/Want は内的要因、(   ) は外的要因であり、コントロールしにくい。」
1. Needs
2. Must
3. Do
4. Goal

問8:本文中で「Pain(痛み)」という単語が言い換えられている文脈としてもっとも近いものはどれか。
1. 「過去の失敗経験」を指し、再発防止するための学習要素
2. 人々の抱える課題やニーズを意味し、それを解決する起業や事業を指向
3. 内面のモチベーションを高めるための心理的報酬
4. 企業組織内で発生する人間関係の葛藤を示すメタファー

問9:文中の事例「Piascore社の起業」で登場する「Needs」を確信した出来事は、どのような状況を経て把握したと書かれているか。
1. 事前に市場調査を綿密に行い、投資家の承認を得た
2. Twitter (旧X) にアプリイメージを投稿したらバズり、3日間通知が鳴り止まなかった
3. 友人や家族が大企業でのアプリ導入を検討した
4. 国の補助金プログラムに応募した結果採択された

問10:下記文章が示す「オーセンティックリーダーシップ」の最終的な姿とは何か。
「つまるところ、オーセンティックリーダーシップとは、『自分の最高の居場所』を見つけ、その中で仲間とともに全力を尽くすことです。」

1. プロジェクトを効率化し、短期間で成果を出すこと
2. リーダー個人のブランド力を強化し、自己実現を最優先に考えること
3. 自分の価値観・目的に合致した環境で、仲間と協力して使命を果たすこと
4. 部下に厳しいノルマを課し、組織の利益を最優先に管理すること

以上が4択クイズ(10問)です。
特徴的数字や概念を取り入れ、穴埋め問題(問4、問7)も含めています。答えはここでは明かさず、あなたが回答した後に答え合わせと正答率を出してください。お楽しみください!

Wikipedia の記事をクイズにする

以下は文章の内容を深く理解するための4択クイズ10問です。抽象的な概念や特徴的な用語を基に構成しています。回答をお知らせください。その後に答え合わせを行い、正答率をお伝えします。

Q1: 「リベラル・アーツ」の起源として言及される「セブン・リベラル・アーツ(自由七科)」の由来はどの文化に関連していますか?
1. 古代エジプト
2. 古代ギリシア・ローマ
3. 中世ヨーロッパ
4. 近代アメリカ

Q2: 「リベラル・アーツ」のラテン語表現である「アルテス・リベラレス(artes liberales)」が最初に使われたのは誰によるものですか?
1. プラトン
2. キケロ
3. ソクラテス
4. アウグスティヌス

Q3: 次の空欄を埋めてください。
「リベラル・アーツ」は、古代ギリシア語で____と呼ばれる概念に対応します。
1. テクネー
2. ロゴス
3. パイデイア
4. エピステーメー

Q4: 「現代のリベラル・アーツ」において、AAC&Uが定義する重要な3要素の一つは何ですか?
1. 経済的成功の追求
2. 道徳心・市民性の育成
3. 技術スキルの習得
4. 芸術的表現の強化

Q5: 「リベラル・アーツ・カレッジ」の特徴として正しいものはどれですか?
1. 特定の専門分野に限定されている
2. 幅広い分野を学び、専攻を後から決めることが可能
3. 大規模なキャンパスで集団教育を行う
4. 職業教育に特化している

Q6: 「リベラル・アーツ」の教育理念がアメリカで根付いた背景として挙げられるのは何ですか?
1. 20世紀初頭の技術教育の普及
2. 市民統合のための「ジェネラル・エデュケーション」の試み
3. 中世ヨーロッパからの直系の継承
4. 古代ローマの法律制度の復活

Q7: 「リベラル・アーツ」の語源に関連する「テクネー」が示すのは何ですか?
1. 自然に反する行動
2. 本質についての理論的知識
3. 実用性を伴わない美術的活動
4. 手工芸や機械的スキル

Q8: 自由七科の「トリウィウム」に含まれない科目はどれですか?
1. 文法学
2. 修辞学
3. 論理学
4. 幾何学

Q9: 「リベラル・アーツ」が近代において直面した問題として文章で示されているのはどれですか?
1. 宗教教育との衝突
2. 実用性と自由性の両立の難しさ
3. 技術的スキルの欠如
4. 市民教育の軽視

Q10: 「リベラル・アーツ・カレッジ」で可能な「ダブルメジャー」の特徴は何ですか?
1. 卒業までに1つの専攻だけを選ぶ
2. 異なる2つの専攻を同時に学べる
3. すべての科目が指定されている
4. 職業訓練と学術研究を分離する

こうしたクイズの出題と回答を繰り返すことで、記憶として定着が促され、対象の学習意欲が上がるのを実感できます。

今後

  • 空き時間などに繰り返し学習できるようにしたい

  • 忘却曲線に合わせて、定期的に出題するようにしたい

  • 音声でやりとりできるようにしたい(ChatGPT の Advance mode にプロンプトを渡したい…)

  • n8n や Dify などのワークフローサービスと組み合わせて、記録をつけたり、正誤の傾向をAIに学習させたい

  • 同じ問題を、他の人でも回答できるようにしたい

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