ある種の推し活
私のコホート(学年)は、アーティスト畑の人が8~9割を占めており、心理学初心者が大半です(入学要件に対人援助の実務経験というのがあるので、ボランティアなどで実務に触れていて、質問の視点が面白い)。理論の授業では、力動論の概説があり、学期の中盤のプレゼンでも、ユングや象徴論による説明が大半を占めました。そりゃあ、『赤の書』(ユングの画集だと私は思っています)を見た後ですから、あのインパクトに圧倒されるのも無理はありません。とはいえ、精神分析を推している(なんなら割と課金している)私からすると、フロイトのゲーテ賞をとる文章(フロイトは不満だったようですが)や、私の最推し・ウィニコットの言葉遊びや、スクイグルの秀逸さも知ってほしいわけです。あわよくば、「この論文好き~」とか「この部分よくわからんけど気になる~」<わかるわかる>とか話したい。
そんな私はとりあえず留学生仲間に私なりの理解でこういう感じの理論だよ、とざっくり説明しつつ、ぜひ読んでと勧めるところから始めました。そのうちの一人のレポートの表紙にウィニコットの名前を見つけたときは小躍りしました。前はユングがいいと言っていた彼女は、「今はウィニコットがいいなって思ってる」とのことでした。私は彼女がウィニコットを好きになるのはわかっていましたよ。ふふふ。今後、別の理論家を好きになってもそれはそれで面白いから良いのです。
さらに、私は仲間を増やそうと、少し大きな活動をすることにしました。それは、レクチャーを企画することです。そうは言っても、講師の手配など面倒なことはせず、Freud Museum Londonが提供しているレクチャーに申し込んでみんなで勉強しようと誘って、マネージするだけのシンプルなものです。レクチャー料も割り勘したら安いですしね。今のところ私含めて9人が興味を持っていて、あと6人集まってくれたらいいなぁというところです。授業でフロイトはあまりやっていない(いきなり英国対象関係論だった)ので、フロイト入門と夢理論の二つを提案したのですが、夢理論人気だったので夢理論だけです。夢理論人気なのもユングの影響ですかね。個人的にはフロイトと科学も惹かれたのですが、様子を見てまたの機会に提案してみようと思います。今の感じだとこの企画自体が流れそうで、ちょっと悲しいです。