看護師を経験し、すべての医療従事者に「心のコップを満たす習慣」を広めようと思った
みなさん、はじめまして。
Plusbaseは「働く人のこころを守るしくみ」をテーマに、
”命を守る人”を守る
看護師のこころを守るしくみ、Ns.be(ナースビー)を開発しています。
看護師の過重労働は今、重大な社会課題のひとつ。
急性期病棟看護師においては「看護職員の54%が抑うつ傾向にある」と言われているうえに、新型コロナウイルスの拡大により、医療従事者の心はさらにひっ迫しています。
Plusbaseを立ち上げた代表・Wim.サクラも看護師時代にうつ病を患い、一時臨床を離れざるを得なくなりました。その原体験から「同じように苦しむ看護師を1人でも減らしたい」と強く思うようになり、Ns.be(ナースビー)の着想に至っています。今は認定心理士として、臨床にも出ています。
今回は代表・サクラが看護師を志した後、医療従事者の心を守るためにPlusbaseを立ち上げるまでどんな道のりを歩いてきたのか、詳しくお話を聞きました。
【インタビュー、執筆:ほしゆき】
「日本の医療技術を世界にもっと広めたい」という思い
───医療に興味を持つようになったキッカケを教えてください。
医療に興味を持ち始めたのは、私のバックグラウンドが大きく関係しています。生まれは日本・名古屋なんですが、国籍はスリランカ。幼少期はイギリスやスリランカで海外生活をしていて、小学生以降はずっと日本で暮らしています。
両親には、平和で教育水準が高く、医療技術がすごく進んでいる日本で育ててもらったことをとても感謝しているんです。目一杯勉強して日本に恩返しがしたいし、スリランカはもちろん、異国でも日本で学んだことを活かして、人の役に立ちたいと思っていました。なので医療には昔から興味がありましたが、その気持ちが固まったのは中学生の時に見たドキュメンタリーがキッカケです。
───どんなドキュメンタリーですか?
アフリカで助産師をしている、日本人女性のドキュメンタリーでした。アフリカでは、5歳まで生きられるのが約5人に1人とも言われていて……どうにか日本の医療で、子どもたちの命を繋いでいこうと日々尽力している女性の姿に胸を打たれました。
そして、「私も国境なき医師団で助産師になろう」と決意したんです。日本の医療技術をもっと広めて、救える人を増やしたいと思いました。
配属された医療現場は、想像を絶する過酷さだった
───最初は、助産師を目指していたんですね。
そうなんです。だけど災害大国といわれる日本で暮らしていくなかで、少しずつ意識が変わっていきました。看護学生時代にも、熊本地震の被害を受けた地域を目の当たりにして……「災害医療で私にできることをしたい」と思ったんです。災害医療に従事している大学の先輩とも縁があり、卒業後は救命救急に就きたいという気持ちが固まりました。
当時はまさか、自分が鬱病で休職するなんて夢にも思ってなかったんですけどね……。同期からも「あなたはどんな現場でも絶対元気だよね」と言われていたし、もちろん過酷な現場であることは承知の上でしたが、それよりも力を尽くしたいという気持ちが強くて、メンタルの心配はしていなかったんです。
───当時心が壊れるほど追い込まれてしまったのは、どうしてだったのでしょう?
自分自身を責め続けてしまったことが、大きいのかなと思います。
あまりにも、生と死が身近すぎて……患者さんがなくなるたびに、「自分がもう少し早く気づいていれば」「自分があの時こうしていれば」と思わずにいられませんでした。新卒で希望の部署に配属してもらったんだから、弱音を吐いていられない、頑張らなくちゃと毎日必死でしたが、いつの間にか心も体も壊れてしまっていて。配属されてから1年目で鬱病と診断され、休職せざるを得なくなりました。こんなに弱かったら、もう現場には戻れない。看護師は続けられないのだと思い、本当にツラかったです。
看護師は、バーンアウト(燃え尽き症候群)してしまう人がとても多いんです。精神的な負担の大きい仕事により、活力に満ちていた人が急に無気力になってしまったり、労働意欲をなくしてしまったり。私自身も、そうでした。
自己理解を深めたいという思いが、
心理学との出会いにつながった
───医療現場を離れてからは、何を思って過ごしていましたか?
とにかく、「何故自分の心がこうなってしまったのかを知りたい」という気持ちがすごく強かったです。自分の何が悪かったのか、どうしたら心を守りながら働くことができたのかを、知りたかったんです。少し休んでから、通信の大学で心理学を学ぶことに決めました。
心理学を学んでいくうちに、自分自身のメンタルが弱いわけじゃない。ストレスや外的要因により、少し脳のプログラミングが乱れてしまっているだけなのだと知りました。
自分を責めてしまう心理状態を改善するために、脳の回線整理が必要だったんです。
───心理学の知識を得ることで、心にはどんな変化がありましたか?
心理学には本当に、とても救われました。
鬱病を患うほど追い込まれてしまった当時、自分の心と脳に何が起きていたのかを理解できるようになった。理解できたら対処もできるし、同じ状況になる前に対策もできる。
だからもう一度、医療現場に復帰しても大丈夫だと思えたんです。
責任感やストレスが、心と脳にどんな影響を与えているのかを理解し、適切にケアできる仕組みが医療現場には必要不可欠だと感じて、認定心理士の資格を取得し、また臨床の現場に出ることを決めました。
「看護師免許はチケットであり、ゴールではない」
医療現場では、本当に多くの人が心身ともにギリギリの状態で働いています。
特に看護学生や看護師1、2年目は生と死の近さに「自責の念」が強く働きすぎてしまう。覚えることも山ほどあって現場での立ち振る舞いに慣れるだけで精一杯。死に毎日触れながら、さらに職場内の人間関係などによるストレスが加われば、崩れてしまうのは当たり前です。
私と同じように、精神的な問題で潜在看護師になった方の多くは「もう現場には戻れない」「復帰できなければ自分には価値がない」という思いを抱えてしまっています。
でも、看護師免許があなたの人生のすべてじゃない。あくまでチケットのひとつでしかないのだから、現場復帰にしがみつかなくてもいい。
現役看護師はもちろんm潜在看護師の心をケアできるだけで、医療現場の環境は変わると私は信じています。
闇雲に自分を責めてしまう看護師が、ひとりでも減ること願って。
───このnoteや事業を通して、どんなことを伝えたいですか?
心のセルフケアを学んだ後、再度看護師として社会復帰しましたが、
医療現場で患者さんの命を護(まも)っている、そんな
『ナースの心を守る体制』
は、まだ整っていないのが現状です。
私たちに、まずできることのひとつとして、私たちの取り組みや、情報発信をするnoteを立ち上げようと思いました。
闇雲に自分を責めてしまう看護師が、ひとりでも減ることを願っています。
最後に
コロナ禍でさらに浮き彫りになった看護師を取り巻く問題。
世界的にも医療従事者の皆様に関心が高まっている今だからこそ、みなさんのご協力が必要です。
まず、私達にできる活動から、コロナで疲弊している看護師の方へボトムアップで始めますが、同時に"根本的"な医療業界の改善のため、みなさんの声を行政や組織の方々に発信し続け、一緒にムーブメントを起こしていきたいと思っています。ご協力お願いします!
一刻も早く、看護師をはじめとする全ての医療従事者のみなさんの心に寄り添えるサービスを届けられるよう尽力していきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
Writer:ほしゆき
Voice:Wim.サクラ
Instagram / Twitter / Facebook
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
現在の+base(※2021/10時点)
+baseの実績
+base inc.は昨年、経済産業省主催の「始動 Next Innovator 2020(グローバル起業家等育成プログラム)」に採択され、
行政の協力のもと、シリコンバレーの投資家や起業家に、労働者支援サービス事業のプランを、プレゼンすることが決定いたしました。
【プレスリリース】
経産省 https://www.meti.go.jp/press/2020/02/20210208001/20210208001.html
JETRO
https://www.jetro.go.jp/news/releases/2021/e3e18ca014c797f7.html
『+Nurse:いのちを守る、看護師のこころを守るしくみ』
現在は、700名近くの看護師の皆さまからのアンケート結果と、
250名ほどのモニターの皆様の声を元に
『いのちを守る、看護師のこころを守るしくみ』Ns.be(ナースビー)
を開発しております。
引き続き、私たちのサービス開発に協力していただける看護師モニター方を募集しております。
ぜひ、私たちと一緒に、命を守る、看護師のこころを守るしくみを作っていきませんか?
看護師の方で、興味のある方はぜひ
こちらのリンクより公式LINE追加後、
モニター登録、活動への思いなどお聞かせいただけると幸いです😊
また、『命を守ってくれる人を守りたい』という想いに
共感してくださる心理職の方やエンジニアの方、またどんなことをしているのか話を聞いてみたいと言う方も、ぜひご連絡お待ちしております。(plus.base21☆gmail.com)