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アマゾンプライムお薦めビデオ④ 174:かっこ悪さをさらけ出すことのカッコよさ!パンクバンド「アナーキー」のギタリスト、藤沼伸一氏の初監督映画『Goldfish』

と、タイトルに書いたが、あの伝説のパンクバンド「アナーキー」のギタリストである藤沼伸一氏が監督したという事実は、一旦脇に置いてみたほうがいいかもしれない。確かにこの映画に出てくるバンドは「アナーキー」に重なるところは多い。しかし、そこに引っ張られてしまうと、むしろこの映画の魅力は薄れてしまうだろう。そう、これはパンクバンドの映画としてみるよりも、中年おじさんたちの映画、として見るべきである。どこにでもいる街のおっちゃんたちである。人は彼らを見て、「いい大人なのに、、、」と思うかもしれない。しかし、その心の中には炎がある。くすぶっているかもしれないが炎がある。「アナーキー」という言葉は無政府主義と訳される「アナーキズム」からきているが、「無政府」というよりは「無秩序」、さらに言えば「無秩序」というよりも「非秩序」と言った方がいいだろう。「秩序」という名のもとに人を縛るもの、それらに対し「No」というには力がいる。「若さ」はそれだけで一種の「力」である。しかし、歳を重ねるにつれてその「力」は衰えていく。そう、「力」は衰えたが、「炎」はまだ消えてはいない。そのようなおじさん、いや「大人」たちを描いているのがこの映画である。

まあ、この映画、何が良いかというと出ている俳優陣がいい!主役である永瀬正敏氏は、この年でもリーゼントが似合う!というかこの年でリーゼントが似合う人はこの人しかいない!そして我々はその姿に過去の永瀬正敏氏を重ねてしまう。いい役者、うまい役者であることは間違いないが、そこにトッポさというか「うまいのは当然なんだけど、それが何か?」的なスタンスが永瀬氏にはあるし、それは彼が若かった時からある。それはある意味「ツッパリ」であり「ハッタリ」であるのかもしれないが、その「ツッパリ」や「ハッタリ」は演技であると同時に演技ではない。まさにそれが彼の存在であり、存在感である。
そして、バンドメンバーを挙げていくと、北村有起哉氏であり、渋川清彦氏であり、「怒髪天」の増子直純氏であり、松林慎司氏!まさに完璧な布陣である。そして「謎の」人物としての町田康氏に、「そう来たか!」というある意味衝撃の有森也実氏!そう、これはまさに大人による大人のための大人になれない映画なのである!

そしてその意味では主役の永瀬正敏氏の娘役(でも両親が離婚した結果一緒に生活してはいない)を演じた成海花音は、その血筋も含めてまた別の意味で輝いている!間違いなく今後スターになるで人物である(というか本人はその道すらもその「力」故に無視するかもしれないが)。そう、改めてではあるが、若さはそれだけで力なのである。力があるものはその力を使え、そして力が衰えたのであれば、使えるものは何でも使え!私がこの映画から受けたのはそんなメッセージである。そして力が衰えた側である私は使えるものは何でも使う!それはかっこ悪いことかもしれないが、しかし、それは結果的にはカッコいいのである!

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