アマゾンプライムお薦めビデオ② 100:B級であってB級ではない隠れた傑作『必殺!恐竜神父』
まさか記念すべき100本目の作品がこれになるとは自分でも思っていなかったが、このような隠れた傑作に出会えることがAmazon プライムビデオの最大の魅力である。
今回紹介したい映画はこちら。タイトルからして「?」となると思うが『必殺!恐竜神父』である。
タイトルとパッケージからご想像のとおり、この映画、いわゆるB級低予算映画である。しかし単なるB級映画ではない。B級を題材というか、いわゆる「ネタ」として使用しているだけで、実は本格的な映画である。B級らしさはB級らしさとして前面に出しながらも、ドラマとして撮るべきところはしっかりと取っている。映像もいい、編集もいい。そして音楽も素晴らしい。監督はブレンダン・スティアー氏というまだ映画学校を出たての新人(本作が長編第1作目とのこと)とのことだが、その名前覚えておいて損はないだろう。いずれ大化けする可能性大の新人である。
とにかくこの映画、割り切るところをしっかりと割り切っている。そしてその判断が間違っていない。いわゆるアクションシーンは(アクションシーンがなければ娯楽映画ではない!)着ぐるみ感まるだしの(というか敢えて出している)恐竜を含め、謎の忍者軍団にせよ、B級とはこれだ!と言わんばかりのB級である。そしてそこにはB級への愛と尊敬の念があふれている!
一方、ドラマシーンとなると急にこれが本格的な撮影と演出になる。赤や緑を強調した色合いなどは「かっこいい!」の一言だし、いわゆるマルチスクリーンの手法などもかっこいい。しかし本当の本格さはそのような派手にいかないシーンにこそある。たとえば、街角にたたずむヒロインを引きの絵で取っているだけでかっこいいのである。これはもはや技術というよりもセンスの問題であろう。長引かせようと思えばいくらでも長くできる作品ではあるが、それを敢えてコンパクトに1時間ちょっとの作品にまとめている手腕もすごい。B級へはB級への愛を、そして本格派には本格派への愛を、この映画には監督の双方向への映画愛が込められている。そしてそれこそが映画なのである。リアリズムだからと言って最初から最後までリアリズムで行く必要はない。B級エンターテイメントだからと言って最初から最後までB級エンターテイメントで行く必要はない。シリアスものだからといって最初から最後までシリアスで行く必要はない。コメディだからといって最初から最後までコメディで行く必要はない。映画はその意味でコラージュであっていいのである。というか子ラージだからこそ、そこには何とも言えない快感が生まれるのである。
と、そんなことを考えさせてくれる映画でした。
まあ、理屈っぽいことを言いましたが、とにかくことは構えてみる映画ではなくバカ騒ぎしてみるタイプの映画ではあります。そしてそのバカさの中に人は凄さを見つけることになるのです。
ということで隠れた名作として是非、お薦めです。
軽い気持ちで構わないのでぜひ、ご覧ください。
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