見出し画像

ヤバい!届いてすぐに既に5周目!クラファンで手に入れた”推し”のアルバム! 文坂なの『Lost and Found Vol.1』

それなりに仕事をして、疲れて家に帰ってきたときに思いがけないものが郵便受けに届いていたらだれでも感動してしまうだろう。今日の私がまさにそうだった。クラウドファンディングという形で応援していた「推し」のアイドルのオリジナルCDが届いていたのだから!

「推し」の名は「文坂なの」。知っている人はもちろん知っているだろうが、知らない人は知らないだろう(と当たり前のこと言っているが)、大阪を拠点にセルフプロデュースという形で大手事務所に所属することなく活躍している個人アイドルである。

そう、彼女はまさに「アイドル」なのである。しかもこの20年ほど主流のグループアイドルではないし、音楽ジャンルとして流行りのダンスミュージックをやっているわけでもない個人としてのアイドルである。であれば、彼女がその個人アイドルが全盛だった80年代にあこがれ、そこを目指しているのは納得いくだろう。そしてその彼女が80年代アイドルの隠れた名曲をカバーしたのがこの『Lost&Found Vol.1』である。

アルバムについての情報は数週間前からネット上で公開されていたのだが、敢えてその情報には触れないでいた。届いた時の感動というか衝撃を大切にしたかったからである。で、結論を言うとまさに感動したし衝撃を受けた。これまでの文坂氏は80年代アイドルソングを今風にアレンジした曲や、いわゆる「シティポップ」と言われる80年代の名曲をカバーすることで名を挙げてきた(これらの一連の曲はYoutubeにアップされているので要チェック!)。そのようなときに発表されたクラウドファンディングでの80年代のアイドルソングのカバーアルバムだったのでファンはその路線を期待していただろう。しかし、それはいい意味で裏切られた。「Lost and Found」というタイトルが見事に表しているように、ここに収録されているのは、いわゆる「メジャー」な曲ではなく、むしろ80年代アイドルの「知られざる名曲」のカバーなのだから。

そう、「知られざる名曲」!これこそがまさにレアグルーブであり、だからこそ逆に新しいのである。先日、かのDommuneで「アーバンギャルド」の特集番組とライブが組まれていたが、彼らは意図的に「あの頃の音楽」を再現するとともに今の音楽を提示しようとしてきたし今もし続けている。それを同じこと、というかそれ以上のことを文坂なの(とそのチーム)はしようとしている。そしてそれが実現できるのは、まさに「文坂なの」という強い個性を持つ「個人アイドル」が今の時代において、80年代アイドルといういうものにとてつもないレスペクトを抱いているからである。そしてそれが見事にパッケージングされているのがこのアルバムである。「古い」といえば確かに古いかもしれない。でもだからこそいいのである。アイドルの歌はこうでなくっちゃ!というのがここにはある。そう、これはまさに「文坂なの」というアイドルの今をとらえた「ポートフォリオ」としての「アルバム」なのである。その意味で、特にこれはまさにクラファン参加者へのプレゼントなのだろうが、CDのみに入っている「月下美人」(松本隆×細野晴臣、オリジナル歌唱はあの松本伊代氏)は名曲中の名曲である。アイドルとしての松本伊代氏の活躍時間は確かに短かったかもしれない。でも、それをファンはしっかりと記憶している。そしてファンにとっては今の松本伊代氏もその日の延長線上なのである。そしてその意味では文坂氏はそのアイドルという存在の無時間制、あるいは非時間制を受けついでいるとも言えよう。このアルバムを我々は10年後も20年後も聴き続けるであろう。なぜならそこには時代がパッケージングされているからではなく「人」が、「アイドル」がパッケージングされてるからである。そう、文坂なの氏はたしかに80年代アイドルのカバーで名を挙げた人かもしれない。でも、もはや文坂なの氏がその地位、つまりは「アイドル」としての地に立っている。我々は「文坂なの」という存在を「今」の存在と知ると同時にその存在を過去の隠れた名曲を通して知るのである。そしてさらに言えば、未来においてもその存在をその「文坂なの」の曲を通して知るのである。

ということでこのアルバムとにかく「最高」としか言いようがない。配信だけではなく「CD」としてクラファン参加者以外にも一般販売してほしい。そうすることにこそ意味があるしその価値があるアルバム(=ポートフォリオ)である。

いいなと思ったら応援しよう!