12. Chill outの傑作 近藤等則×DJ.KRUSH『記憶』
さて、今回お薦めする名盤はこちら。近藤等則さんの作品が3回続きましたが、前回の『Tokyo Rose』がアゲアゲ系の名盤としたら、こちらはChill outの名盤 DJ.KRUSHと作り上げた『記憶』です。
どうしても、近藤氏を語る際にはマイルス・ディビスを引用してしまいますが、もし、マイルスが生きていたら、と考えると、絶対にクラブカルチャーと絡んでいたと考えられます。事実、エレクトリック期、休養期を経ての復帰後は、それまでにこだわっていたグルーブ感のあるバンドセッションから、出来上がった音楽の上にトランペットの音をかぶせるというスタイルにもなっていきますし、生ドラムではなくドラムマシーンを使ったりもしています。最後のアルバムがヒップホップアーティストであるイージー・モー・ビーと組んでの『ドゥー・バップ』であったことからもそれがうかがえるでしょう。
そして、この近藤等則×DJ.KRUSHの『記憶』ですが、そのマイルスがやり残したことをマイルス以上の出来で実現させています。DJと組んだので、もっとノリのあるクラブサウンドで来るかと思いきや、ぐっと落ち着いた、ぐっとクールなChill outサウンドです。それがまた復帰後のマイルスの名盤『Tutu』を彷彿とさせます(先に書いたトランペットの音を後で重ねるというスタイルで作成したのがこのアルバムです)。マイルスも近藤氏もエレクトリックファンクを踏まえた上でのクール回帰という点に凄みと奥深さを感じさせてくれます。
ということでお薦めです!是非お聴きください。