マルチタイムフレーム分析その3 <応用編:意外に奥深かった移動平均線>
マルチタイムフレーム分析その2 <トレードステーションで簡単にマルチタイムフレーム移動平均線をつくる方法>の続き
前回のおさらい
前回は「15分足チャートの情報を持った5分足チャート」を6本の移動平均線で作るという試みをしました。
トレードステーションは複数の移動平均線を適用できるので、そういう複数の時間枠を混在させた1枚のチャートを作る事ができます。
前回は5分足、15分足という短い時間枠での作例でしたが、もう少し時間枠を大きくして、日足チャートの移動平均線を分足に表示する方法を考えて見ます。
何故そのようなチャートを必要とするかと云うと、例えば上のチャート(60分足)のような場面で「ドンぴしゃり!」のタイミングでエントリーしたいからです。
60分足のチャートですけど、日足チャートのタイミング(この例では50日線)でエントリーするという事です。
上手く行けばデイトレではなく、スイングで成功するかも知れません。
1.日経225先物の30分足に20日移動平均線を描く(前回と同じ方法の場合)
マルチタイムフレーム分析その2でやったやり方と同じ方法でやってみます。
単純に考えます。1時間は30分足2本で、1日は24時間で、それが20日分なので、えっと~、、、960本!?、、、でしょうか?なんか違うような、、まあとにかくやってみましょう。
インジケーターの挿入メニューから標準搭載されている移動平均線(1本)を選び、期間の欄に960本を設定します。
どうなるでしょうか?
2.結果を日足チャートと比べると随分違う
上図には日足チャート上での20日線の価格位置を水平線で示しています。22,000円です。
ところが今回作った移動平均線は、21,851円になっています。差は-146円もあります。
これじゃ「ドンぴしゃり!」のタイミングでエントリーというのは難しそうです。
また100日線、200日線、300日線とかになってくると、もっとひどくなりそうです。
3.何が違うか考えて見る
①ひとつには平均算出のための分母が違うので、その為生ずる誤差がある。
日足は(20日間の価格合計÷20日)であるのに対し、30分足では(960本の価格合計÷960本)
②日経先物の1日は、21時間
あっ、、そうでした。24時間じゃありませんね。約21時間です。
という事は30分足の場合、42本?、、自信無いので実際に調べてみましょう。
4.実際には40本、又は41本だった
調べてみたのが上図の表になります。
この調査では30分足の場合、銘柄コードの設定で、レギュラーを選ぶと40本、セッションを選ぶと41本になります。
5.再設定してもう一度
この設定で20日線を作り直すと、上のように差はかなり埋まります。
ー26円分が除算分母の違いによるものなのでしょう。
このレベルなら実用可能です。
50日線でも試します。大丈夫です。
6.しかしこの方法は面倒臭い。
以前は5分足も、1日の本数は12本×24時間=288本と思っていたのですが、それは間違いで234本という事がわかりました。
そしてレギュラーとセッションでローソクの本数が違ってくることも分かりました。
さあこれで大丈夫!
、、、でも、これって滅茶苦茶面倒臭いですよね。他の5日線とか10日線とか一杯作るのに、こんな表見ながら作ってたら1日無駄になります。
チャート作りたい銘柄もたくさんあるし、、、そう他の銘柄はどうなんだろう?
7.なんと他の銘柄もそれぞれ違うし、、、アカン
さらに調べると、日経225やNYダウ、CME、TOPIX、マザーズ、日本の個別銘柄、、、全部微妙に違うではないですか!
まあ考えてみれば当たり前で、皆それぞれ開場時間が違うのですから、1日のローソク数は同じじゃないのです。
ただ、、、これじゃマルチタイムフレームできない。それぞれに全部表を作り、それに沿って設定を行なえば出来るには出来るのだけれども、、、
阿保くさ。やってられません。
8.プログラムでプロセスを一発処理!
というわけで一旦挫折したのですが、思い直して、これら一連の面倒臭い作業をプログラムで処理する製品を作ることにしました。
それがマルチタイム日足アダプターです。
基本的な要件定義は簡単です。
①分足に適用し、一発で1日線から300日線までを自動描画する。
②設定は描く日足線種を選択するだけ
③後は線色変更などの機能
本当は銘柄の種類も自動判別して、適宜内部で足数表を起こして処理するつもりでしたが、パワーが無いPCでは負荷が過ぎると判断したため、銘柄ごとに分けました。
それでも日経225やマザーズ、日本の個別株はひとつのインジケーターにまとめ、内部で分岐処理しています。
日経先物とかやらない人には、日本株用のものだけあればいいのですから、そこらはひとまとめにしたわけです。
9.こんな感じでエントリーチャンスを探せます。
実際使用してみると、株価は移動平均線に見事なまでに反応してくれます。「何故?」と思うくらいです。
最近の株式市場は機械売買が中心になっているそうなので、日足相当の移動平均再計算も1分足どころか、ミリセカンド足でやっているのかもしれません。
ただし採用している時間枠によって、移動平均の除算分母が変わり、それにより出力される値が変わってくるという難点は、市場で動いているAIも同じです。
それはコンピューターやAIの処理能力の問題ではなく、移動平均線そのものの性質に由来する問題だからです。
これで望む移動平均チャートを作る作業は、とてつもなく楽になりました。作って良かったです。以前はひとつのチャートを作るのに結構な時間がかかっていた上に、気に入らなくて何度も作り直したり、他画面に似たようなチャートを何枚も並べたりして、実に非効率でした。
今はマルチタイムフレーム移動平均とライン(過去値の水平線やトレンドライン)を中心に据えたトレードシステムが一番お気に入りです。ボリンジャーバンドも使いますが、ボリンジャーバンドは元々移動平均線を基礎にしているので、やっぱり移動平均線一家の一員なんです。
というわけで、良かったら買って下さい!
使ってみると便利さが分かりますよ!
お値段分は寄付き後5秒くらいで回収できるハズです!
--おわり--
トレードステーションのインジケーターを製作しています。 初心者の人でも使えるなるべく簡単で、役に立つインジケーターを目指してます。 オフィシャルサイト:https://plot1.site/