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チャートの波の読解は、高値安値転換点と値幅、中間値 その1-基礎編

チャートの波をどう捉えるかというチャートの基礎について書きます。

とは言っても、ここで物理学にある難解な波動方程式を説明するような事ではありません。もっと単純な話です。
理解してもらうために、最初にちょっとした実験をやりますのでご参加下さい。

1.実験

下図は株価の終値遷移のチャートです。AとBの2つがあり、似てますが少し違います。


あなたが買い方、あるいは売り方であった場合、これらをどう捉えるでしょう?
どっちが上がるか、下がるかという事を問うているのではありません。
どういう分析が自分の頭の中に浮かんでくるか?という問いです。
少し時間をかけてやって見て下さい。

2.さあどうでしたか?

これは何の実験かと云いますと、これであなたが普段どういう方法で株価の値動きを分析しているかが分ります
中級者上級者の人は、頭の中でトレンドラインを引いたり、大雑把な移動平均をイメージしたりしてチャートから多くの情報を読み取り、大体こんなところだろうという見解を得る事ができたはずです。
まだ初級者の方は、漠然と湧いてきた根拠のないイメージであったり、主観による文脈的解釈があれこれとランダムに頭の中を駆け巡ったかもしれません。

試しにトレンドラインを引いてみます。

山谷は2つしかありませんので引けるラインも少ないのですが、2つのラインの角度の縮小から云えば、「AもBも急落後に2つの山を経て一旦落ち着いた。」
そういうチャートのようだと云えそうです。
別にトレンドラインを引かなくても、一般にそういう印象を持つと思いますが、逆に何故そういう印象を人に与えるのかをこのトレンドラインは説明します。
チャートは常に見る者に印象を発信し続けますが、初級者はそれを漠然と受取り、中級者以上の人は明確に読み取っているという事です。

3.AとBのチャートはどこが違うか

さてAもBも急落後に2つの山を越えて一旦落ち着いた状況なのですが、少し違う印象を受けます。
どこが違うのでしょう?
私達人間(=動物)の脳は外界の変化を検知する能力を持っているので、違う事は当然分りますが、どこがどう違うのか明確にするような時間がかかる事は苦手です。その変わりに瞬時にイメージで処理しています。
しかしジャングルの中で外敵に囲まれて生活している動物達なら、この方が適しているのですが、コンピュータの前で株式投資をやっている人間にとっては、このイメージやら直感という曖昧なものは多くの場合大敵です。大体とんでもない事を引き起こします。

今度は水平線を用いて見ます。

急落後の最初の山の高値安値とその中間値にラインを引きます。
高値が赤線、安値が水色の線、中間値がピンクの線です。

これを見ると、Aは一旦直近の山の半値戻しを越え、反落しようとしましたが持ちこたえている状況と云えます。
Bは半値戻しを達成しようとしましたが一度抑えられ、今再びそれに挑戦しようとしているかのように見えます。

4.高値安値転換点と中間値

投資家の関心は単純で、上がるか下がるかだけです。
何を以って上げ下げを計るかと云えば、高値更新安値更新です。

価格推移をとして見る時、高値方向がで安値方向がになります。
高値更新、安値更新が止まって、株価遷移の方向が変わったところが転換点であり、ここが山の頂上、谷の底です。
この波を計る時のスコープはトレードに採用してる時間枠に拠りますが、どの時間枠であれ直近の確定した高値安値が重要になります。
日足の人は日足の直近高値安値、1時間足の人は1時間足の直近高値安値です。

そして重要なのが、その中間値。株価が今居るところが上方に居るのか、下方に居るのか、判断の基準になります。

実はAもBも中間値付近であり、どっちにでも転ぶ微妙なところです。
微妙なところであるその「感じ」を人間はなんとなく受け取っていますが、デイトレーダーは「なんとなく」はいけません。
明確にそういう状況であることを認識しておかなければなりません。

一般に中間値付近では株価は方向性を失うか、それまでのトレンドの継続を迷います。
実際にその先どうなるのかはもちろん誰にも分りませんので、中間値付近では様々な思惑が交錯してしまいます。
ですので迷った上で結論を出した後には大きく株価が動くことも良くあります。

よく使われるツールに、フィボナッチリトレースメントがあります。
フィボナッチ比率に基づいた38.2%61.8%まで、株価が引き返したり、後戻りする現象を計測するのに使用され、補足的に50%の水準がよく用いられます。

フィボナッチ数列を利用した美しい手法ですが、私のヒューマンネイチャー(マイケル・ジャクソン?)的な理解では、人にとって50%の真ん中から11.8%の両範囲は、方向性を決められない曖昧な範囲であり、これを脱したところで方向性が確定するのだろうという理解です。真ん中はハッキリしなくて気持ち悪いのでしょう。
トレーダーにあっては、大体「中間値付近」であることを意識しておけば良いのではないでしょうか。
初心者の頃は、意味も分らずに機械的に使用して失敗してました。

5.水平線を使用するするメリット

この高値・安値のような過去値の水平線を使用するメリットは、当分指標が動かないことです。
移動平均やボリンジャーバンドは常に動きますが、過去値はずっと動かないので、相対的な読解を必要とせず、絶対指標として使えます。
またPIVOTなんかもそうで、誰が計算しても同じですよね。感性みたいなものは必要としません。(トレンドラインはちょっと技や感性が必要ですよね。)
日経225先物のトレードを始めるなら、まずは水平線の引き方の習得であり、その中でも最初は高値・安値に水平線を引くことです。

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