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誇り(随想)

髪を切りに行く日
いつもの1,000円カットのお店

カットの人 髭剃りの人 洗髪の人
分業してたくさんの人に対応している

そこに
おそらく使う事のない
カット用のシザーを腰に
いつも髪を洗い続けるおじさんがいる

大して待っていないのに
両手を私の肩に置き
お待たせして申し訳ありません

一番大きな声で
いらっしゃいませ
ありがとうございました

どんなお客様に対しても一生懸命
毎日髪を洗っている

全て終わってからも
私の肩にそのふやけた手を置いて
お待たせしました
お疲れ様でした

理容業界の中はあまり知らないけど
花形ではない洗髪を
力一杯努める

その働き者の手は
肩から私に勇気を入れてくれる

「大丈夫だ堂々と生きろ」

そう言ってくれているような
不思議な感覚

お金とは対極にある
人の価値

それに毎月会いに行く

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