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鈴生り

柿が鈴生りに実をつけている。あかく熟れたそれをカラスが啄んでいる。
「こんにちはー!」
元気な挨拶をしながら小学生たちが通り過ぎていく。冷たい風に負けない速さだ。
自身にもこんな頃があっただろうかと後ろ姿を見送った。
いつもの通り道にその木はある。持ち主も放っているのだろう。日に日に土に落ちている実が増えている。

青くなっているだろう唇を舐める。乾燥に良くない事だと理解はしている。
学生とすれ違わなくなった。冬休みだ。年末がやってきたのだ。
冷え切った指先でスマートフォンを操る。指が震えている。
柿の実は残り三分の一程になった。気温と同様に冷えていくその木と寒々しいこの心に私は白い息を吐いた。

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