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バドミントンを通して、インプロを学ぶ

昨日の深夜、ショーン・キンリーが今年の秋からスタートする予定だった「The Improvisation School」のオンラインレッスンが始まりました。

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アメリカ、ノルウェー、フィンランド、インド、中国、そして日本。
世界6カ国から1人ずつで、合計6名の少人数クラス(昨日は2人休みだった)
当初の予定では、既にこのメンバーでクラスがスタートしていたはずだったのですが、コロナによってそれは来年に延期され、それまでの期間はオンラインを使い、お互いの人となりやスキルを知り合うための時間となりました。

オンラインとはいえ、少人数であることと、ショーンが指導者を育てるために選んだ人達であることから、一人一人に対してのフィードバックがより個人的で、深いものだったため、とても充実した時間となりました。

クラスが終わった後、ショーンがこう言いました。

「このクラスがカナダで実現していたとしたら、まずは皆でバドミントンをしようと思っていた」

「なんでバドミントン?」と思ったのですが、その理由が凄く印象的だったので、その内容を紹介します。

以下、ショーンの言葉(覚えている限り)

バドミントンのスキルは、人によって違うだろう。ある人はまともに打ち返すことさえままならなかったり、ある人は正面に打たれると対応出来なかったりする。
でも、インプロバイザーとしては、お互い違うスキルでも楽しみ合い、かつチャレンジをさせ合うことで、遊び合うことが大切だ。
もし自分がうまく出来て、相手がうまく出来ないのだとしたら、打ち返せるような球を打ってあげた方がいいし、
もし相手がそこそこ上手くなって、でもまだ正面が苦手そうだとわかったら、そこに集中的に打ってあげる方がいい。
常に、インプロバイザーとして「自分の枠のギリギリでいる」ということを大切にしてほしいし、指導者としても、生徒にそういうチャレンジをさせてあげて欲しい。
だから、うまく出来ないことを心配する必要はない。そういう人はただラケットに当たるだけで「ギリギリ」なのだから、インプロバイザーとして理想的な状態なんだ。

「インナーゲーム」という、キース・ジョンストンも勧めている名著があるのですが、その中にも「障害を与え合い、相互のベストを引き出す」という言葉があります。
日本人はどうしても優しすぎる傾向があるため、相手が困っていたら、それが大丈夫になるまで待ってあげることが多いです。
しかし以前、ショーンが日本人クラスの中で、ウィンピング(アイデアをうやむやにする)している生徒に対し、自ら演じながらこうリードしていました。

ショーン「昨日ボスは私に命じましたよね」
生徒「ああ、でも、なんだったかな…」
ショーン「覚えているはずです。忘れたのですか?」
生徒「えーっと、えーっと…」
ショーン「この日記見てください、書いてあるでしょ?」
生徒「え?どこだ?」
ショーン「ここです。メガネを渡しましょう。見えるでしょう」
生徒「えっと…「妻を殺せ」」
ショーン「そうです!」

かなりグイグイ押してますが、これが生徒のためであることはよくわかります。
これは日本ではあまり見られない指導です。日本の指導者の中ではかなりグイグイ側である僕でも、ここまでやることはないです。
しかしショーンは、生徒にチャレンジさせることの重要性を説いており、良くないのに「良かったよ」と言ってしまうインプロ指導の在り方について、警鐘を鳴らしています。

「本当にうまくなろうと思ったら、本当のことを伝えなければいけない」

そんな言葉でクラスは締めくくられました。
より一層カナダに行きたい気持ちが強くなりました。

では。

※1 ここで誤解しないで欲しいことは、「本当のことを伝える」=「否定、批判する」ではないということです。
極楽とんぼの加藤浩次さんが「言いたいことは言うけど、言い方はめちゃくちゃ気をつける」と言っていたのがまさにそれで、内容と表現を混同してはいけません。
感じたことを、愛を持って表現することが大切です。もし伝えたことで相手を傷つけてしまったととしたら、言い方を改めるべきです。
また、受け取った方も、それを個人的なこととして受け取ってないかどうか注意しましょう。よく傷ついてしまう人は「私が作ったもの」「私がやった仕事」ではなく「私」が主語になっているのだと思います。

※2 毎週行っているショートシーン探求WSでは、作ったシーンについて「本当のこと」を伝えています。本当にインプロがうまくなりたい人、おすすめです。

※3 記事の中で紹介した「インナーゲーム」です。テニスの指導書なのですが、現代のコーチングの基礎となった考え方で、人間の内面で起こる戦いについて書かれています。キース曰く「最高の演技指導書だ」とのこと。


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