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アーツ・ベースド・ファシリテーターという道のり(ワークショップフェスティバル2023の3日間)


2023年11月3〜5日。
ワークショップフェスティバルが無事に終了しました。
プレイバック・シアターラボの主催するアーツ・ベースド・ファシリテーター養成講座は、オンラインで3期まで行ってきたこともあり、ここら辺で一度対面の実践を行ってもいいのではないかとラボのスタッフ間でも話しあっていました。
その卒業生がファシリテーターとなって、今、自分が行いたいワークショップを思いきってやってみる!そんなコンセプトで生まれた企画でした。

人の出入りの制限もほぼなくなり、世の中が大きく動き出してきた11月の初旬の三日間。
エントリーファシリテーターも含め、のべ70名近い方がワークショップフェスティバルに参加してくださいました。



このWSたちには、チャレンジの要素がたくさん入っていました。

プログラムA「あなたとわたし んまっ!おいしいワークショップ」


ゆきのさんがつくる「食べること」を中心にすえたAプログラム。
ウォーミングアップの活動で
「この人と食べたいものをその人の背中に書き込む」ことは、新鮮な活動でした。
あとで何が書かれていたか見てみると爆笑の連続。

誰が何を書いてくれたのかはその時は見えない
後で見ると納得のものから、なんでこの食べ物?ときいてみたい書き込みも。
でも、誰が書いたかはわからないのだ。

メインの活動は食べ物にまつわる思い出をクレヨンで書いて
質問タイムの後に発表すること。
クレヨンを触るのは幼稚園以来!という参加者もいて、その感触から昔の思い出にアクセスしやすくなったのかもしれません。
ひとりひとりが印象に残る食べ物との思い出を語り合い、聴きあうことになりました。

食べものの思い出なのに、なぜかぬいぐるみの熊を描いた岩橋。
自分で語りながら自分で納得していくことも起こった。
食事って自分の人生で大きな位置を占めていると実感。


プログラムB「即興劇でわかちあう〜暮らしの中で心が動いたこと〜」

たかさんが行うこの活動は言葉の通り、即興劇を行なってわかちあいを行います。
ウォーミングアップの全員で行う「身体表現だけのしりとり」は、
あまりにそのジェスチャーがわからなさすぎて、答えがわかった人からチャレンジしていくことにルールが自然と変更になりました。
やっている最中もあとの答えあわせの時間も、そのわからなさにも思わず笑みがこぼれてしまいます。できないことを楽しむ時間になりました。

初っ端から辻褄が合わなくなってきてでも、自分なりにとにかくやってみる。
あとで答えあわせをしてみると大きな間違いに気づいて笑える。

メインの活動は日常に感じていることを動く彫刻やストーリーでわかちあってみる。

なるほどなあ・・・。そんな気持ちもあるよなあ、と納得の背中の岩橋
個人的な話なのに、即興劇を見ていると、観客にもいろんな想いが湧き起こる。

最後は即興劇を通じて見たことを
ストーリーを語った話し手、表現を行ったアクター、観客が混ざり合った小グループで感想を分かちあうことに。
人に演じてもらったり、他の人の感想を聞くことで、納得したり、自分の感じていることを再確認できて、わかちあいの時間がどんどん深まっていきました。


考えてみると初日のプログラムAもBも身近な日常から何気なく始まっていくけれど、ただ話すだけではないことが起こっていく時間でした。

2日目。
次の日も暑いくらいの快晴!

プログラムC「あなたはあなた自身を生きていますか?アプライドドラマ・ワークショップー猟犬ジョンと共に本当のわたしと出会うための90分」


このワークショップキーワードは「本当のわたし」

ティッシュを使ったウォーミングアップは思った以上にからだを使うことに

お話を進行していきながらプログラムを体験していくアプライドドラマという手法に、いつしかみんなが引き込まれていきました。

お話をペープサートで表現するあやのさん
「おまえはなにものか」
左右から価値観の正反対のささやきがおこる。
その真ん中を通りながら自分はどちらに惹かれていくのだろうか。

自分が何者なのか、今やりたいことは何か、どんなことを実現していきたいのか
参加者のみなさんもひとつひとつの質問に対して考えて、対話して「本当の自分」というものを探っていきました。
はじめて出会った相手とも「自分」について深く語り合うことになりました。


プログラムD「心はどれだけわたしの味方?心の中の「妨害者」と賢者に気づくドラマ・ワークショップ」


ウォーミングアップでは、自分の中にいる「妨害者」は何をささやくのかをお話し
してみます。

初めて会うのに、同じようなことをささやく妨害者がいたり
まったく質の違う妨害者がいたりすることに驚く。
実際に妨害者としてささやいてみる
「うっ」と思う

メインの活動では、参加者みんなで「妨害者」をテーマに架空の人物像をつくり出し、まきちゃんのファシリテーションでドラマがどんどんリアルに進んでいきました。

架空の人物たちなのにどんどん絆が深まっていく。
それを見ている参加者の中にもいろんな投影が起こっていく。


この日の2プログラムは、それぞれアプライドドラマとソシオドラマという手法で行われました。
ドラマワークとひとことでいってもそれぞれの手法、特徴、違い、共通することなどを実際に行ったからこそ、スーパーバイズ側も改めて確認することにもなりました。


3日め。

プログラムE 「SMELL〜記憶からのメッセージ〜」


最終日はたかさん、ゆきのさんのファシリテーターが二人で行う「嗅覚」についてのワークショップ!

ウォーミングアップとしてまずは目に見えないものが次々とあげられてそれをポーズで表してみました。

「青」というポーズ
みんな似てる?ちがう?


当てっこじゃないと言われながらも何の匂いに近いか必死で考える

そしてファシリテーターが作った「匂い」を全員で嗅いで、その匂いの動く彫刻を3体見てみることに。
それぞれ違う動きなのに、あ〜、わかる〜!!との声がちらほら。
最後の活動は、一人の方が、かいだ匂いから出てきたむかしの記憶を語られ、それらを即興劇で表してみました。
「匂い」という目に見えないものから出てきたワークショップ、そこからよみがえってきたものは、とても力強くたしかなものでした。

「匂い」からきた記憶はイメージが鮮明
アクターも見ている人もそれぞれの共感が始まる


特別プログラム「イメージをプリズムに〜イメージに光を・そしてバラバラに」

水彩絵の具のにじみをつかって創っては壊し、創っては壊しという作業を繰り返します。
画家の田島環さんは、言葉少なく、しずかに始めます。
今まで身体表現をしてきた時間とは全く違う始まり方です。

まずはたまちゃんの作業をみんなでじっと見る
技術の上手下手に関係なく作業としてとりくめるものなのでどんどんやりたい気持ちが高まる!


たまちゃんはじっと見ている。
時にはだまって。時にはささやいて。
とにかくみんなのを見ているという進行のしかた。

考えられた画材というものの確かさと、作業という行為の中で自然と生まれる美しさ、そのおもしろさ。
水彩のにじみのために、とどめるというコントロールができないことなどに対して
それぞれがどんなふうに対応しているかを、たまちゃんはじっと見ています。

このプログラムだけは、最後にどんな時間だったかと分かち合う時間を入れました。

最後のわかちあい
たまちゃんは何をしていたのか、何を見ていたのかを聞きながら
作業を通じて生み出される場づくりの大切にしていることをきいてみる

他の演劇的手法を使ったワークショップとは違い、色や作業を通して生み出されたものをみんなで見あいながらわかちあいました。


最終日の打ち上げでは、エントリーファシリテーター全員と、たまちゃんと、スーパーバイズのヨースケさん、羽地さん、岩橋、事務局うらら、みんな泣いたり笑ったり熱く語り合う時間となりました。

もうみんな何かがこわれておる

どのワークショップも行う前の数ヶ月の間に何度かミーティングをしたし、終わった後にもフィードバックの時間を何度か持ちました。
わたしはスーパーバイズというよりも、同じファシリテーターとして思うことをたくさん話しました。
終わった今も、みんなと顔をあわせると、この時の出来事がちらほら議題にのぼります。

「アート」「五感」「身体表現」「即興」「ファシリテーター」
どれも一つだけの正解がないものです。

ファシリテーターたちは、スタートを切りました!
自分なりに広げて深めて削いでいくしかない無限の可能性の道のりをどうか楽しんでほしいです!
そしてそんな道のりをこれからも共に創っていきます!

「対面」として初めてアーツ・ベースド・ファシリテーター養成講座第4期が始まります!


11月までにお申し込みをされると早期割引が適応されます。

(岩橋由梨)



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