WSフェスティバル舞台裏
こんにちは!
11月3日~5日に開催されたワークショップ・フェスティバルの
プログラムD「心はどれだけ私の味方?心の中の『妨害者』と『賢者』に気づく、ドラマ・ワークショップ」のファシリテーターを担当しました武田麻紀子です。
たった90分のワークショップでしたが、そこに至るまでの数か月間と終わった後の数時間にも、色々なドラマがありました。
この記事は、私目線のその記録です。
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エントリーシートを提出したのが、6月29日。
最初の打ち合わせが、8月17日でした。
まさか、その打ち合わせで、自分がエントリーしたプログラムが
ほぼ白紙になるとは!
「この企画もいいけど、まきちゃんがそもそも本当にやりたいことは何?」
と羽地さんに問われ、
「まきちゃんは、演劇人でしょ。もっと演劇の要素を出していこうよ!」
と言われるものの、
<演劇人って、そんなこと言う資格自分には無いよ。
結局、道半ばで諦めたし、何の輝かしい実績もない。。。>
と、心の中で呟いていた。
そこに、たかちゃん(プログラムBとプログラムE担当ファシリテーターで、アーツベースド・ファシリテーター養成講座3期の同期仲間)が、
「うん、私もまきちゃんがやりたいことなら応援するけど、
まきちゃんが演劇のバックグラウンドがあるからこその内容の方が惹かれるな〜」
たしかに、元々企画していたのは、ロールプレイとしてのドラマ要素はあるものの、コーチング・セミナーに近いものだった。
そこへ、台風の影響で新幹線が遅れて、やっとの思いで事務所についた
ゆりさんが登場。
それまでの1時間の話の内容を5分で伝えると、
目を見開いて
「そうなの~~!!それよ!それ!」と興奮した様子で、
よくぞ言ってくれた!という顔で羽地さんとたかちゃんを見た。
そして、私が「ソシオドラマ」という単語を出すと、納得した様子で
深く頷いた。
「いや~~!やりたいけど、無理っす!全然できる気がしない!!」という私に、「フェスなんだから、大丈夫だよ!サポートしてくれる人がいっぱいいる中で、
やってみたいことにチャレンジする企画なんだから。
今の自分に着実にステップを踏んでいけばできる内容ではなく、
見通しが立たない、即興的にその場にいる人たちとその場で創っていく
そこがまきちゃんの中から立ち現れ始めている気がするんだよなあ・・・」
羽地さんは余裕の笑みで、
「どうまきちゃん、一旦ゼロベースでもう一度考えてみてさ、
9月末までに内容固まればいいんじゃない?まだ時間あるんだから」
ええええーーーー!どうしよう?!!
大きな大きな不安の中で、
でも3人からの半端ない熱量の応援を受け取った日だった。
私はプロコーチとしてコーチングをご提供しているけれど、
羽地さんゆりさんは、本当にすごい、名コーチだと思う。
私の中にある、私本人が気づいていない本質や情熱の種を見抜いて、引き出す。
挑戦を突き付ける。でも、最終的には自分で選択していいんだよ。自分のやりたいことをやればいいんだよ。ただの提案なんだから。と、強制はしない。
・・・
そして、9月13日、オンライン・トライアルを実施することになった。
8月17日に企画内容が白紙になる前に既に計画し、参加してくれる友人が確定していたトライアルで、内容が変更になったが、とにかくやるしかない。
オンラインという別種の課題があったが、即興的にその場でドラマを展開し、瞬間瞬間の中でどこで介入するか判断し、〈賢者のパワーゲーム〉*を挿入する初めての試み。実践してみたこと、仲間のフィードバックをいただいたことで、少し解像度が上がった。*〈賢者のパワーゲーム〉とは、困難な状況に陥った際に、脳の中の創造性を司る部位を活性化させる可能性があるゲームで6つほど種類がある。『実力を100%発揮する方法』(シャザド・チャミン著)の中で紹介されている。
9月末、そろそろワークショップの説明文やチラシを最終化しなければならない。「本当にやれるのだろうか?」という、確信が全く持てないまま、
後戻りできない状況になっていく。
10月4日、スーパーバイザー、ゲスト講師、エントリー・ファシリテーターのオンラインでの初打合せ。そこで、たかちゃんが、エントリー・ファシリテーター同士で自主練しませんか?と提案してくれた。
こうして本番を迎える前に、オンラインで1回、対面で1回、ファシリテーター同士でそれぞれのワークショップについて相談・実践し合う時間が持てたことは大きかった。
特にプログラムC担当のあやのさんとは数回しか会ったことがなかったので、お互いの人間観・人生観を深堀りしたり、本音を伝え合う中で、あやのさんが自分に正直で、違和感をそのままにしない、まさに「本当の自分を生きているかどうか」瞬間瞬間で自分に気づきながら、言葉や行動を選択している人というのがとてもよく伝わってきて、仲間意識が深まる時間だった。
担当するワークショップの枠はそれぞれ別なものの、連続した一つのフェスティバルなんだという一体感が持てたと思う。
10月20日に対面の自主練を終えてからの2週間は、孤独だった。
詰将棋のように、色々な主人公のソシオドラマの展開を一人でシミュレートするなどしてみたが、エクセル上で双六のように展開を考えるのも行き詰った。
そして、11月4日の朝、中目黒に向かう電車の中で、もう一度進行表を見直していて、前半のウォームアップで計画していたワークが、ずっと微かに違和感があったけど、はっきり違うと確信して、急遽、別のワークに差し替えることにした。変えたことは正しかったと終わってみても思う。ここは褒めたい(笑)
そして、当日、午前中自分もWSに参加して、いざ昼食となると、やっぱり緊張して、買ってきた昼食があまり喉を通らなかった。せっかく初めての参加者の方がいたので、自分からご挨拶やら参加のお礼やら話しかけに行けばよかったのに、気持ちの余裕がない。
いざ開始すると、夢中で走り抜けた90分だった。
これまで何度かWSを開催してきたけれど、
・17名という人数が初めて(いつもは6-8名位)
・ソシオドラマのファシリテーションが初めて
・90分という時間が短い
ということで、もっと観客を巻き込みたかった、沢山の方が演じる機会を作りたかったという反省が残る。そして、スーパーバイザーからは、前半に出た個人の妨害者に〈賢者のパワーゲーム〉を使ってみる時間があると良かった、賢者ならどう対応するかも参加者の中からアイディアを出してみるのはどうか?などのフィードバックをいただき、「なるほど、そうか!」と自分では気づけない視点をいただいたことに大変感謝しています。
一番嬉しかったことは、「面白かった!」という感想を多くいただいたこと。
それだけで、やって良かったと思う。そして、もっと様々な主人公のソシオドラマを参加者の皆さんと創ってみたくなった。
そして、最後の最後の打ち上げで、衝撃的なことが起きた。
順番に感想を言いましょうとゆりさんが言って、まずゆきのさんが話した。そして、次にたかさんが話始めると、色々なところで他の方の話が挿入され、次々に話が展開して、ちっとも肝心のたかさんの実践したWSの感想にならない(笑)
1、2度、「それで、たかちゃんの感想は?」と私が話を戻すのだが、また次々話が発展していく。
その時、なんという言葉だっただろうか?
ゆりさんが、「まきちゃん、大丈夫?何か言いたいのじゃない?」みたいなことを言ってくれた。
その途端、ぶお~~と涙があふれ「自分の感想を早く言いたいのではなく、3歳の息子のことが気になっていて、皆さん全員の感想を帰る前に聞きたいので」と言うと、ゆりさんが「そこの間で引き裂かれているのが見えるから、いつ言うのだろうと思ったら、全然言わないんだもん」
えええ~~~!私はゆりさんに問われ、言語化するまで、自宅にいる息子のことが気になっていることさえ、自分では無意識だったのに、何故分かるの??と、
それは、とてもとても驚いた。。。
そして、堰を切ったように私が言いたいことを全部吐き出している間、ゆきのさんも一緒に号泣してくれ、羽地さんはワインのせいで一瞬寝落ちしていたけど、その光景がなんとも滑稽でもあり、愛おしくもあった。ゆきのさん(プログラムAとプログラムEファシリテーター)とは、今回一緒に自主練する機会が無かったけれど、いつも「しゅっ」とカッコいいゆきのさんの情の深さを知り、「まきちゃん、赤ちゃんを大事にしてね」というゆきのさんの声が今も耳に残っている。
その後は、いつもタイミングよく私も聴きたかったことを質問してくれるたかちゃんのお陰で、十分に全員の想いを受け取ることができて、私は図々しく集合写真撮りたいとか、全員とハグしたいとか叶えたいことを全部叶え、ひとり早く事務所を後にしたのだが、スッキリと晴れやかな気持ちだった。
経験豊富なベテラン講師と、よちよち歩きの私たちが、フラットに言いたいことを言える場が、プレイバック・シアター・ラボにはある。なかなか稀有なことなのではないかと思う。普通は年齢や経験年数によって、ヒエラルキーがあって、思ったことを言えない雰囲気がある。
プレイバック・シアター・ラボの方々は、本当にオープンマインドで、温かい家族のように迎え入れてくれ、何を言っても受け取ってくれる安心感がある。皆さんの人間的器や魅力によるところが大きい。
私たちのプログラムに参加する時は、子どものように楽しそうに、一参加者になって参加してくださっていた。もちろん、内心はハラハラしたり、粗も見えていたと思うけれど、そこを後半の振り返りの時間まではぐっと脇に置いて、夢中になって体験してくださっていた。そのことに、まず感動する。
本当にかけがえのない3日間、そして数か月間でした。
当日は沢山の新しい出会いがあり、とても嬉しかったです。
ご参加くださった皆様、プレイバック・シアター・ラボの皆様、
そして一緒にチャレンジしたファシリテーター仲間たち、
本当にありがとうございました!!
プログラムDファシリテーター 武田 麻紀子
*まきちゃんのnoteはこちらです。
https://note.com/makiko_takeda/