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9.21-23 ワークショップ・フェスティバル2024(研究生日誌/ゆきの)
昨年はファシリテーターとしてエントリーしたワークショップ・フェスティバル。今年は事務局として携わることになった。
見えた景色は全く違った。
私にとっては全くの別物、全く違うイベントだった。
ファシリテーターとしてエントリーした時には、自分がやりたいこと・できることを考え、何を参加者と分かち合いたいのか、そのためにどんなプログラムがいいのか、悩みつつもワクワクしながら考えては相談し、また考え直し相談。夢中だった。
しかし何よりハードルが高かったのが、集客のための自己開示。顔写真を撮りプロフィールを書いて公開する。自分の写真がほぼないことに気づき慌てて撮ってもらったが、どの写真も選べない自分がいた。そんな人がファシリテーターをするというのだから、今考えれば困ったものだ。
その点、今年エントリーしたファシリテーターの方々は、すでにご自身でフィールドを持っていらっしゃりベースがある方が多く、次のステップを登るような方々ばかりだ。
そんな時にこのフェスティバルでワークショップをすることは、とても意味のあることだと今回改めて感じた。プログラムの内容・準備物の相談、自主練習などもそうだが、ワークショップが終わった直後の1時間のふりかえりの時間がすごい。スーパーバイザーからの的確で想いのこもったスーパービションがある。スーパーバイザーによって見解が違ったりもするが、どのファシリテーターもそれをご自身で咀嚼・吸収する力がある。ディスカッションを聞いていてそう思った。
私は、3日間6つの全プログラムに参加した。ラボ研究生であり事務局の一人なので、全部参加したいと思っていたが、自身の仕事の都合もあり全部参加することは難しい状況だったのだが、都合がつき本当に嬉しかった。
願いが叶って毎日プログラムに続けて参加していると、波乗りをしているようにそれぞれのワークショップが切れ目なく続いていて、関係し合い繋がっているような気がしてきた。
うまく言葉にできるかどうかわからないが、ここに記してみたいと思う。
(プログラムA)
L7の4名のファシリテーターによる「笑う門には福きたる~即興表現入門~」は、ゲーム感覚でたくさん笑い楽しみながら、今出てきたものを身体で表現する、そんなワークショップ。ゲーム・ワークでは全員が(ファシリテーター自身も)ルールが解らなくなったりして戸惑いながら、それも面白がって会場全体が笑いに溢れた。ルールを間違えたっていいし、そもそも今感じたものを表現するのに間違いという概念なんてない、楽しく笑おう!
そして、ある瞬間の気持ち/感情を3人のアクターが繰り返しの動きで表現する“動く彫刻”。 この瞬間の気持ちにフォーカスしていくことと、それを身体の動きで表現することは、プログラムCの“体の声を聴いてみよう”にも通じていく。
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(プログラムB)
武田麻紀子さんの「勇気をめぐるドラマセラピー」は、絵本の読み聞かせから始まり、過去に勇気を持てた時の自分を思い出したり、社会との関わりの中で勇気をくじくものを感じたり。勇気を持つ以前に自分が思う正義って何だろう?と自身に問いかけたり。勇気をめぐって自分の内的な声に耳を傾けじっくりと考えた経験だった。そして、私にとっては自分の中の勇気の存在に気づき、これからの力になったワークショップだった。
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絵本の世界に入っていく参加者たち
(プログラムC)
nahokoさんの「同意するってどういうことなん?体の声を聴いてみよう」でも、自分の内なる声に耳を傾けることをした。相手とのやり取りの中でまず身体の感覚でキャッチし自覚する。相手がいるということは、社会の中の自分としてどうありたいか、具体的なその瞬間その反応として自分はどういう感覚がするのか、見つけてそれを表現した。それは、前述したがプログラムAの即興表現、今出てきたことを身体で表現することと似たように感じたし、社会の中にいる自分として“同意”を考えるという視点でみると、プログラムBの内的な声に耳を傾けながら、社会の中で自分の勇気をめぐったことに通じるものを感じた。
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(プログラムD)
makimaroさん「アートワークで出会う星の王子様~大切なものは目に見えない~」
参加者一人ひとつずつ、不思議な白い塊を選ぶところからワークは始まる。丁度手のひらくらいの大きさの白い包みだが、中身もそれぞれ違うようで重さや硬さ、表面の手触りもそれぞれ違う。選んだ塊に名前を付け、ワーク中それを自分の名前として過ごす。そのコ(ファシリテーターは、“コ”と呼んでいたので以下“コ”と表現していく)をよく触り感触を確かめる。いっしょに歩いてみる、会話してみる。そんなことをしていると、段々このコが自分のような気がしてくる。でもこのコと二人で話していると、やっぱり自分ではないような…不思議な感じだ。このコとの間に芽生えてきた見えない絆みたいなものは何なのだろう?
これも自分の内なる声をただただ静かに聴く体験であったように思う。その体験を最後はアートとして絵や詩などにした。
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(プログラムE)
のぶ(ウータン)「皮膚感覚からのGIVE&TAKE~触覚の不思議」
準備物として”手触りがお気に入りのもの”を各自持参。それをいろいろな方法で触るとういうワークがあった。撫でる、押す、輪郭をなぞる、絞るなど。するとさらに愛着がわいてくる。プログラムDの白い塊を触って感触を確かめることと似ていて、どちらもモノが対象だが、触っていると自分との関係性が変わってくる体験だった。
そして、二人でバランスボールを介して触れ合うワーク。ボールを動かしながら、相手の力加減や動きが伝わってくる。自分の動きも伝わり、その動きはまるでエネルギーを交換し合いながら、楽しくダンスをしているようになってくる。
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(プログラムF)
わだけいこ&ダンサー★Emiriの「ダンスワーク 木の精になる」では、日常のコーヒーカップを持つ動作からダンスは始まり、音楽にのせたファシリテーターの語りによって、自然の中の生命のダンスになっていく。大地と木と花や鳥たちが呼応し合いながら共存しているダンスのように見えた。それは、プログラムDでバランスボールを介してエネルギーを交換しながら動いている姿によく似ていると思った。そして、このダンス自体が今出てきたものを身体で表す即興表現そのものだ。
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どのワークショップも個性に溢れ、それぞれが自分のファシリテーターとしての在り方、ワークショップを通してやりたいことを何度も掘り起こし、参加者にプログラムとしてどう伝えられるのかを試行錯誤したことがよくわかる。
おそらく、伝えたいことも参加者に感じて欲しいことや目的も、それぞれ違うのだけれど、全部のワークショップに参加してみると、もうひとつ深い部分で繋がっており関係し合っているように感じた。それは何なのだろうか?
アート、内なる声、即興表現、身体、五感/感覚、目に見えない、社会、自然、自分、相手、物、ダンス・・・
共通のキーワードになりそうなものを挙げてみた。
ちょっと無理やり繋げてみる。
アートを使って自分の内なる声や身体で感じたことを即興表現すること(例えば、絵を描く 演じる 踊る というような)は、自然を感じたり 社会の中の自分を感じたり 身近な物や人との目に見えない関係性を感じたりすることに繋がる。
んー、そんな単純なものではないとも思うし、そう要約するものでもないか…
………今の私にできることは、ここまでのようだ。
とにかく、ワークショップは面白い。来年都合がつく方は、ぜひ全部受けられることをお勧めします。