【一首一句 その二十七】常ならぬ世によそへて
【本日の一首】
色香をば思ひも入れず梅の花つねならぬ世によそへてぞ見る(新古今、雑歌上、1445、花山院御歌)
(鑑賞)
その美しい色や良い香りを深く愛でるのではない。梅の花を無常なこの世の中になぞらえて見ているのだ。(久保田淳訳注)
三句切れで一度意味の切れ目があって、無常な世の中を詠っています。
よそへるというのは喩えたりなぞらえるという意味ですが、今はご飯をよそえる、などの用例もありますね。
色香をお酒とか食べ物の肴にして詠んだ歌だと思って読むと面白いかもしれせん。
思ひはふりかけかな(笑)。
【本日の一句】
常ならぬ散りぬ梅木の色香かな
いや、本当に兼題の材料を使って作った感じです。
散った梅からもどこか色香を感じられるのではないか、そんな思いを込めました、おそまつ。