【一首一句 その十五】雁の翼
【本日の一首】
霜まよふ空にしをれし雁がねの帰る翼に春雨ぞ降る(新古今、春歌上巻第一、63)
(鑑賞)
霜がひどく降った空で翼がしおれていた雁が北国へ帰ってゆく。その翼に春雨が降る。
春雨は祝福しているのか、優しい春雨なのか。
霜と春雨と二つ季語のようなものがかかる構成。
雁の翼に焦点が当たっているところがいいのかも。
なんとなくモノクロと春の色が対比されている構図がひっそりと浮かび上がってくる。
【本日の一句】
春雨や雁の翼を癒しけり
もう本当に単純に、本日の一種をシンプルにいい替えてみました。本当にこうしてみると、微妙な感じが見事に消えてしまってますね。おそまつ。