楽器を演奏する様にマイクを操作すること

2021/07/23(Fri.)

 最近の興味として、実験的なマイク装置やマイキング(マイクの配置)に関心があります。これはオンラインライブを繰り返すうちに、情報の入口としてカメラやマイクなどの入力装置の支配力が大きいことに気づいたためです。やはり僕はサウンドの人間ですので、まずはカメラよりもマイクで遊びたい気持ちがあります。そこで本来的な使用でない方法でマイクを操作したり、ある状況を録音するために開発された実験的なマイク装置の開発に取り組もうとしています。
 ゴールデンウィークにオンラインパフォーマンスとして実施した「帰省されるイヤー」では、僕の耳の形をしたダイナミックマイクを使って親と一緒にパフォーマンスしました。右耳と左耳をそれぞれ耳かきして、そのノイズをバイノーラル再生方式のように鑑賞者の左右のイヤホンから聞こえるようにしました。鑑賞者の耳を僕と親で耳かきしているようなパフォーマンスですね。オンライン化により身体の接触から距離が置かれた状況でも、マイクとイヤホン、それからサウンドを使って耳かきという身体接触を実現したパフォーマンスでした。
 このパフォーマンスではマイクが耳型であることで見立てが発生している点が大事だと思います。演奏者はマイクを耳として扱うように操作しますし、鑑賞者もそれが耳であるという認識のもとで穴の中に異物を入れられるような体験をします。これまで僕はエンジニアの観点で新しい構造・動作原理でなければ装置の開発に意味がないと思っていましたが、このパフォーマンスは「見立て」によってサウンドの意味が変化することに気づくキッカケとなりました。これからは楽器の見立てにもっと意識的にならないとなぁ。何の話でしたっけ?マイクも楽器と同じく新しい音楽を創出するものになりうるという話でした〜

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