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「プランターの中の憲法」パフォーマンス

2020/09/22(Tues.)

 山本美里さんの個展「プランターの中の憲法」のクロージングイベントに出演してパフォーマンスしました。元々は今年の2月にオファーを受けて5月開催の個展のクロージングとして出演する予定でしたが、コロナの影響で個展が延期となり9月の出演となりました。

▲パフォーマンスの様子

 今日は午前中からイベントのリハーサルを行い、カメラマンの動きやビデオスイッチの手順を確認しました。秋田公立美術大学のご協力でカメラなどの撮影機材をお貸しいただきました。今月の初旬にロームシアター京都でライブ配信を開催した際は、高級な機材を使わず無料のサービスを用いて実験的な配信環境を試したのに対して、今回の配信では機材に妥協せずにパフォーマンス内容を実験的に試したと位置付けられそうです。
 コロナ禍でのライブパフォーマンスだったので集客の面が心配でしたが、20人ほどの観客が来場してくださいました。ロビーではライブハウスのイメージでグッズ販売を行いました。いつもよりTシャツの売れ行きがよかったように思います。

20200922_グッズ販売

▲グッズ販売の様子

 イベント開始時刻になると、まずは僕が昨年から本格的に取り組んでいる滑琴を使ったパフォーマンスを行いました。はじめに音の鳴る構造を解説し、駐車場へ場所を変えてギターアンプを抱えながら駐車場内を走りました。イベントの冒頭は緊張しますし、観客もこれから何が行われるのかわからないと思うので、滑琴を最初に提示することで僕の活動のコンセプトをキャッチーに伝えられると考えました。パフォーマンス中は狙い通り観客からも笑い声が聞かれ、僕の緊張もほぐれました。

20200922_滑琴

▲駐車場でのパフォーマンス

 次に駐車場から施設内に入り、玄関とロビーを使ってパフォーマンスしました。BIYONG POINTはテレビ局に併設された施設なので広告看板が沢山あるノイジーな空間ですが、BIYONG POINTの個性でもあります。そこでロビーのノイジーな空間を使って楽器同士を組み合わせるPLAY A DAYを行いました。玄関では触角型楽器Shake Bugを使って秋田犬や錦織圭に接触しつつ、観客にも触角をぶつけてみました。コロナ禍で他人との接触が憚れる時期ですが、触角で距離を保ちつつ触れる試みでした。

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▲Shake Bugで施設内の広告に触れる

 ロビー内では最初にViolinsectを走らせて、施設の照明を太陽パネルで受けてアンプで高音を鳴らしつつ、Violinsectに赤外線リモコンを付けてゆき、Violinsectの動きに応じて太陽パネルが接続されたアンプの音響は変化するシステムを組み立てました。Violinsectは動きの予測できない自律走行楽器なので、展示のテーマにもある植物との対話のように、全てを奏者がコントロール(管理)するのでなく、ある程度Violinsectに任せるようなパフォーマンスにしました。

20200922_miniパフォーマンス

▲ロビー内でのパフォーマンス

 ロビーでのパフォーマンス後は山本さんへのインタビュー映像を放送しました。2019年よりパフォーマンスの途中に映像を放送する試みを行なっており、今回は展覧会出展者の山本さんのインタビューを通して観客にBIYONG POINTがパフォーマンス空間でもあり同時に展示空間でもあることを印象付けました。ここまでのパフォーマンスでは僕の自己紹介的な見せ方が中心でしたが、このインタビュー動画から山本さんの展示企画とコンセプトが重なっていく状況を作りました。

20200922_上映中

▲インタビュー動画を見る観客たち

 最後は展示会場での山本さんとのコラボパフォーマンスです。先日までに新作楽器を使ったリハーサルを済ませており、今日は新たに秋田県内でフィールド録音した音源を制作して楽曲を作ってパフォーマンスの中で流しました。当初はギャラリー空間にある音に反応して点灯あうる照明装置を利用して、光センサーで周囲の環境変化に反応する新しい楽器を作り、その楽器だけでパフォーマンスする予定でした。ただ先日のリハーサルを受けて、会場の照明装置と新しい楽器の相性が悪かったためか、あまり楽器の音に照明が反応せず、少し寂しい印象のパフォーマンスになっていました。そこで照明を点灯させる音源としてリサーチ中に録り溜めてきたフィールド音源を楽曲として流すことにしました。あくまでメインは楽器の音なのでフィールド音は小さな音で放送し、照明の点滅に合わせて楽器の音を複雑に変化させました。当初計画したパフォーマンスではなかったものの、フィールド録音をパフォーマンスの中で利用するアイデアはまだ展開できそうです。単なるBGMでなく環境を生成するための録音をキーワードに少しアイデアを出してみます。

20200922_コラボ

▲コラボパフォーマンス

 昨年のアッセンブリッジ・ナゴヤ以来の本格的なリサーチを行なったパフォーマンスイベントでしたが、僕自身としては空間のシステムをうまく利用しながら設計できたパフォーマンスになったと思います。またイベントのファシリテーターとして、ロームシアター京都での経験を活かしてライブ配信先の観客にも気配りしながら運営できたこともよかったです。
 あえて反省点を挙げるとするなら、少し構成の固いイベントだったかなと思いました。4部での構成や時間管理もキチンとできた一方で、何が起きるかわからない不穏さや遊び心は引っ込んでいたようにも感じました。ただ、当初からロームシアター京都での実験的なライブ配信に対置させたイベントとして想定していたので、配信イベントをキチンと成立させられたことはちゃんとコンセプトを実装できた現れだと思います。
 9月の2つの対照的なライブ配信を経て、ライブ配信の身体感覚が養われてきた気がします。配信された映像を見直すと会場では大きく響いていた音が配信先では音が割れて聞こえていたり、会場の小さな音はマイクに集音されていなかったり、ライブ配信での音響のモニター精度を今後は改善していきたいです。
 またライブハウスのようなラウドな音を配信するより、フィールドレコーディングのような小さな音こそライブ配信に適した演奏音だと思います。今後は小さな音を前提としたライブ配信にも挑戦していきたいです。
(写真撮影:宮本一行氏)

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