Rainy season
「落ち着いた?」
「うん。ごめんね、取り乱して。」
目元の涙目を拭う。
服が気持ち悪い。
気づけばじっとり汗をかいていた。
「急に心配になっちゃって。
私、本当に仕事復帰できるかなって。」
もう、来年の4月には職場に戻っている。
ー300日をきった。
その現実と、自分は何も前に進めていないんじゃないかという不安が一気に押し寄せてきて。
多分、あんなこと聞いちゃったからだ。
「…何かあったの?」
声の調子はどこまでも優しい。
「ちょっとね。みんなはもうオンラインだの、リモートだので、どんどん新しい方へいくでしょう。私はまだ、昔の情報のままだからさ。アップデートしなきゃね。」
このままじゃまずいと思うのに、
どうすればいいのか
じたばたするだけで、毎日が終わってる気がする。
「まあ、ゆっくりいこうよ。
その人のペースってあるじゃん。」
深く、深く、深呼吸する。
梅雨入りが宣言された空は、どんより曇って、空気が重たい。
雨の匂いがする。
「なんだか久しぶりに
誰かに助けてほしくなっちゃった。」
声に出すと、また泣けてくる。
「大丈夫だよ。心の距離はゼロだよ。」
笑っていうあんたが、1番遠いのよ。
口を尖らせて、せめてもの反抗を見せる。
早く会えるといいな。