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例えば職場の天使と悪魔は同時に現れる
退職届に動揺したボスに色々なことを言われたが、心は動かなかった。
こりゃまるで離婚騒動のようなものだなと感じた。
もちろん就職を結婚などとは捉えていなかったのだけど、慰留の仕方が離婚の時とそっくりだなと思って。
それから数日経った先週のある日、朝の申し送りが終わるや否や先のボスから電話がかかって来て「本部長が会いたいそうです!本部長が来るそうです!(大変だ!)何時が良いですか?!忙しいでしょ?断りますか?(断って下さい!)」
断りませんよ。何時でも良いですよ。
「・・・・。分かりました。(しょんぼり)」とボス。来られてまずいことするからですよね。
法人には多くの事業所と多くの職員が居て、ましてやコロナ騒動で多忙を極める中、わざわざ1施設の退職者のために出向いて下さるなんて余程のことなので、それなりの騒ぎになる。
生意気ばかり言って来たのに、最後の最後にありがたいなあと思った。お礼を言おうと思った。でも、面倒だろうなあ。所詮ヒエラルキーだし、私が背いているのを許したくても、施設のボスの立場も立てなければならないだろうしなあ~と、通り一辺倒のことを想像していた。
ところが、密室のドアを開けると満面の笑顔が怖い本部長。どんな人にも敬語で腰が低く、丁寧な話し方をするのに、怖い。
遠近法って原理も訳が分からなくなるほどデカく見えるオーラ。
久しぶりに会ったけど、やっぱり、怖っ。
「いやー!お忙しいところ、すみませんねえ!まあ、かけて、かけて!」
デスクの上には、PCとスマホが何台も置かれていた。恐ろしい忙しさであることが目に見えている。
10分ほどしゃべり続けていらして一切口が挟めなかった。あまり人様を怖いと思うことがない私だけど、この方、怖いんです。良い意味でも。
しかし、その話の内容が「もし、この施設が嫌になって退職されるようでしたら、法人内の好きな施設に異動しませんか?特に、今度また新しい施設が出来るんですけど、そこに行きませんか?どこでも好きなところで受け入れますよ!」
え、えーと。まずは間違いを訂正することから始めなければならないので、かろうじて「5分だけお話を聴いていただけますか?!」と割って入った。
「どうぞどうぞ。」と言われて、今回退職しようと決心した経緯を話すことが出来た。決して施設が嫌になったわけじゃないということを。
さっきから怖い怖い書いているけど、どう表現した良いのかな、この人の怖さ。
すると「え?」とビックリなさっていた。「そういう報告は一切あがって来てないけど。」
でしょうね。
「そんなOhzaさんが悪く思われるような報告なら信じなかったし、仮に今後あがって来ても一切信じませんよ。」と言って下さる。
「そういうことなら、N(現ボス)と僕がもう一度話してみますよ。その結果によっては、考え直してくれる可能性がありますか?」
さらには「今日はKさんが出勤していないから会えなかったけど、Kさんも僕に会ってくれそうですかね?」と言って下さる。
しかも、Kちゃんと一緒に今後も法人の力になって下さいと言って下さるではないか。
「Ohzaさんたちが辛い思いをしていたんですね。もしそれが改善されれば、お二人とも残っていただける可能性はありますか?」と。
通常こういうシチュエーションだと、残るとしても二人は引き離されるのでは?異を唱えていて煙たいし面倒くさいから。
ところが、「一緒に働きたいなら、二人で好きな施設に迎え入れるし、残ってくれるなら、ここを改善して行きましょう!」と鬼多忙の方が言って下さっている。もちろん独断で出来る言動でなく、さらにその上の方々の考えなのかも知れないけれど。
どうするのか?は、まだ決められていない。きちんと声が届くという環境には心が動いた。今後このようなことがあれば直電して良いとまで。
ハッキリしていることと言えば、ある意味可哀そうなのは現ボスだと思う。生意気なおばさん職員を、ちょっと虐めよう、ちょっと脅してやろうと思ってのある日の言動が、今日に繋がっているのだから。
ついでに言うと、その面談が終わって直接持ち場に戻ったため、現ボスに「終わりました。」と報告するのを忘れていた。
おかげで、現ボスは今回の本題のことに加え、本部長を待たせたことについても怒られたことだろう。震えますよね。怒られていない私ですらちょっと震えた。