どの子も可愛い
冬の寒い頃、Kちゃんと一緒の仕事帰りに出くわした野良猫くん。
彼はKちゃんの方だけにすり寄って来た。
Kちゃんは幼い頃から犬と暮らしていて、「猫も可愛いけどね。」と言う程度の人だった。
私に誘われて時折猫カフェに行くと段々猫に魅せられていたものの、「でも、猫って犬ほどには懐いてくれないんだね。いや、でもOhzaちゃんの周りは猫だらけだ。猫は誰にでもは来ないの?」と少し不満げだった。しかし、確実にこの不思議な生き物に魅せられていた模様。
そして冬のある日、この野良猫くんにすり寄られたのをきっかけに「ああ、猫と暮らしたい。」と言うようになった。
それから3か月後くらいだったか、私たちはシェルターでブランカと出会う。
ブランカとの幸せな日々を暮らしつつ、あの野良猫くんはどうしているのだろう?と思い続けていたが、あの日からとんと遭わない。
きっかけをくれた彼にお礼を言いたくても言えない。
寒さが厳しくて冬を越せなかったんだろうか?と、いつも心配に思っていたが、かくして居た!最初に出会った場所とほぼ同じ道端で再会が叶った。もう春だ。冬を越せたんだね。良かった。
今回は私の方に懐いて来てくれた。
Kちゃんは何故だか驚いてしげしげ眺めていた。「こんな子だったけ?こんな猫だっけ?」と。
あれから毎日ブランカ以外の動物が目に入らなかったので他の犬や猫を見かけるといつもこんな調子だ。
「同じ種族なのにこんなに姿形が違うんだ・・・」と純粋に驚いているのである。彼女は、かつて動物関係の専門学校に通っていたほどなので動物に詳しい。だから個体によって差があることなんて承知のはずだが、ただただ純粋に驚いているのだ。まるでブランカに恋しているような状態なので。
違いますよ、そりゃ。
人間の姿が一人一人違うように、猫だって違う。
そして先ほどからこの猫くんのことを彼と呼んでいるが、人間も大抵の場合、男か女か見れば分かるように、猫くんの性別も大抵分かるのだ。
そんな会話を聴いていたせいか、野良猫くんの口元が少し笑っていた。
「美人さんを飼い始めたんだな。」
いつも思う。
猫の世界にはネットワークがきっとある。私たちが思う以上に彼ら彼女らは色んなことを知っているのではないか?と。
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