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そんなつもりないとは分かっていたが
ある方の記事を読んでいて、ジェンダーに関する問題について考えさせられた。いや、その方は特にジェンダーに特化した記事を書いていらしたわけじゃない。(でも、その方の記事は是非とも多くの方に読んでいただけたら良いなあと思った。)
それに付随して昔のことを色々と思い出すようになった。キッパリと何かを批判したり言及するような考えではないため、口に出すのも書くのも憚られていたが、ずっと引っ掛かってはいることなので時折胸に影を落とすのだろう。その時代をすっかり抜け出した今も。
元旦那さんやその姑・舅さんを私なりに愛していたし、先方も先方なりに大事にしてくれていたのだと思う。
飲み屋さんや会食に私を連れまわすのが好きで、彼らが思っている私のイメージを誰彼構わず自慢なさっていたが、同時にとても虐げていた。それはそういう文化や家柄なので致し方ない。女とか嫁というのは、こうあるべきだってのが強くて、それがいつまでも彼らのあたりまえだった。
子供たちが独立した後は、何を思ったのか、その威圧や支配が妙に強くなり、頼まれごとも多くなり、やがては義務と言わんばかりになった。きっとどこかへ居なくなってしまうかも?という焦りかも知れない。
何故なら先述の通り、いたく大事にしてくれているつもりだったが、同時に酷いことも沢山して来たという自覚が、うっすらと銘々にあったからだろう。
子供には決して、父や爺ちゃん婆ちゃんの悪口は言わなかったが、先方は私の悪口を沢山吹き込んでいらした。子供は爺ちゃん婆ちゃん、父親が大好きだったので、決して夢を壊すようなことはしたくなかった。
自分勝手で自由奔放な女というレッテルを貼ってくれるのは良いのだが、こんなもん自由ではないわ。かなり控えめだわい!というのは、いつもどこかにあった。
これも文化に過ぎないのだけど、内心女というのを馬鹿にしているので言葉の端々に蔑みが現れる。金を工面しろと言われることもあった。
ましてや嫁というのは、他人ではないが、血族でもない。なんとなーく奴隷制度を強いるかのように「良い嫁だわあ、良い妻だわあ」と人に紹介される。
あの日々に嘘は無かったし楽しいことの方が多かった。先方にも悪気がなく、ただ分からないだけだった。ただ「あたりまえだ」と思い込んでいたらしい。
が、決定的に嫌なことがあり、それを拒否した。その時の騒ぎと言ったらない。しかし、その動揺ぶりを見ていると、如何に下賤のもの扱いされていたのかが垣間見えた。何せ、急に下の者が歯向かって来るという状況なので先方もびっくりしたことだろう。
私は妻だったり母だったり女性だったり嫁だったりした。が、普通の人間でもあった。
そして人並みに、いや、人並み以上に刃を持っている自分を知っているので、そこを後にした。たいがいにしないと感謝すべき人々を切っちゃうからね。
好きな人が出来て我慢をすることがある。そして自分が知らない文化に出会いその中に入って行くこともある。(私の場合、その文化とは世間一般で口に出されずとも、暗黙の了解とされていた身分制度のような、彼らの言う常識というものだったけれど。)
でも、自分を殺してはいけない。
今でも「どうして女なのにそういうこと言うの?」とか「そういうことやるの?」とか、「それやって何になるの?」とか言われることがある。もしも私が男だったら決して言われないこと。
そういう時は「うーん、言いたいしやりたいからなんだよ。」と言う。
男性社会の中で抑えつけらたれたり虐められている優しい男を見た。「争いごとは良くないよ。」とパワーゲームの敗者は言った。人の痛みにも敏感で優しい人なのだろうと思った。
ところが、そういう人に限って、女性や子供、自分より弱い者のコミュニティの中では、力や大声で威圧する。自分が知的だと思っている方の場合は「そんなことも知らないんだ。自分が教えてあげよう。」と蔑みながら自慢する。
その姿は水槽の中で泳いでいる魚たちが弱っている仲間を本能的に虐め殺す姿から何も進歩が見られていない。
私は多分多くの方々と同じくジェンダーの問題にぶつかって来た。が、そのおかげで、礼節の落とし穴や、とある文化の愚かさを学んだ。
変化や成長して行きつつも、誰といても自分を芯に持っていたい。その状態ならば、この広い世界を、わざわざ狭い水槽の魚のように生きることもないだろう。
昨日感銘を受けた記事の書き手は、こう仰られていた。
らくになるために、死にたいと思うのなら、それはらくじゃないのかもしれない。ほんとうのらくになる方法はじぶんがじぶんを認めて、じぶんをしあわせにすること。
うん。全く持ってその通りだと思います。(心をこめてお辞儀)