引きこもりな発表会
結局、事業計画発表会は、2度目の延期にはならなかった。
さらには、私の怠け者っぷりも、その性根が治ることはなかった。今日も朝からご利用者様たちに色々なことが起こり、正午を過ぎてからやっと原稿を書きだすという始末。(発表は13時半からなのに。)
今年は1施設ごと別々の日に行われるという形式で、それだけでも例年と違っていたが、さらには、施設長や課長ばかりでなく主任陣も発表に参加しろとのお達し。これまた、つい数日前の無茶ぶり。皆、焦る。
順番は施設長→副施設長→支援課→看護→介護の順番。
マイクがポンコツなために、いちいち各課の発表が終わる度に発表する課のメンバーが最前列に移動してドカドカ、ゾロゾロ席を代わるという情けない形式だったのだけど、まだそれは良い。
問題はうちの場合、看護だけ主任が居ないので私一人で発表するということだった。
副施設長が考えた方法とロケーションでの発表の仕方だったのだが、彼女も私と似たようなタイプで、土壇場になって慌てて何かやるというタイプ。これを寸前で決めていた。
わかるよー。わかる、わかる。どうしよう?マイクが聞えない!じゃあ、こういうことにしよう!と焦って考えるわけですね。事前にマイクテストして変えるとか買うとかじゃなしにね。
既に、常務や本部長たちが到着して左横一列にスタンバっていらっしゃる。要するに左横一列から鋭い視線が来ているわけだが、近いよ。近すぎる。
緊張のあまり退行現象が起こっている私は「ちょっと。何で私だけ一人?」と訳の分からない我儘を言い出すので副施設長が焦る。(ごめん。口が勝手に動いちゃうんだよ。)
さらには、その呟きに1秒で反応した介護主任のKちゃんが、もう一人の介護主任に声をかけ、『よし。私たち二人でOhzaさんを挟んで座ろう。』と訳の分からない過保護な指示を出す。
ハッ!と息を飲む副施設長の吐息が聞える。
わかるよー、わかる、わかる。例え土壇場で決めたことであっても、決めた通りにやってくれないと嫌なんだよね。その気持ちわかる。看護の発表のあとに介護って言ったろう?それまで出てくるな、そこの二人!ってことだよね。
しかし、そのまま始まり、右隣のKちゃんがパワポをクリックしてくれて、左隣のS主任が原稿のページをめくり続けてくれた。私、読むだけ。手が震えるので助かった。
両サイドを挟んで座ってくれているので私の姿は、左側一列に並んでいる偉い方々からは見えない。見えるのは正面のZoomから観ている別会場の人々だけだ。(こうすることに、いったい何の意味が?)
しかし、退行現象を起こして甘えているおばさんが、過保護な介護主任たちに文字通り介護を受けるようにして無事に発表が終わり、偉い方々が褒めて下さった。いったい何故。
厳しい方々がいつものように他の課を遠回しにディスりつつ、看護課だけを褒めて下さる声音を聴いていると「なんかよく分からないけど、やばそうなやつだから褒めておこう。」という心の声が聞こえてきそうだった。
そう言うと『素直じゃないね。』というKちゃん。
いやいや、この会場、及びZoomの向こう側、この世界で私を見て目がキラキラしてるのは、あなた一人だけです。
身内はみんな嫌な汗をかいて、他所の人々は一部始終を見聞きして何かを考え込むような顔になってるよ。
***
とりあえずは終わった!休もう。
でも、忘れるな。今度こそ、やるべきことは早めに手をつけるのだ!
そうして、歴史は繰り返される。