描いていこう
大河ドラマを観ている際に主人公が帝に向かって『はい。人が歩まない道を行きとうございます。』と言っていた。
それは、後から報告を聴くだけの関白ではなくて自分自身が直に下々の意見を聴きたい、感じたいと言ったこと、また病に苦しむ庶民のためにできることをやって行きたいという志を持った主人公の言葉。
帝が驚くように言ったからだ。簡単に言うと『そんな話は初めて聞いたよ、あんた変わってるね。』ということだ。
その場面を見て、隣にいるKちゃんに『カッコいいこと言うねー。』と感想を漏らした。
『え?どこ?』とKちゃん。
いや、だから、『人が歩まぬ道を行きたい』だなんてさ。
と答えたところ『あなた、いつも、それやってるじゃん。』と。
いやいや、そんなことはない。あのセリフはカッコいいと思うけれど、そんなふうには生きたくない。大変じゃないか、道がないところを歩くなんて。誰かがいっぱい踏んだ道で良いよ。歩きやすいじゃん。
『・・・・・・・・・・。あなた、前の施設で何やりました?そして、今の施設で何やりました?』
・・・・。まあ、そう言われてみればそうなのだけど、それはご家族やら利用者さんのニーズがあって、しかも私が看護師だったからだ。そういう流れになってしまっただけ。もう必要に迫られて!としか言いようがない。
あんなん大変だ、もう二度とごめんだ。
『そう言って、もう10年くらい何かしらやってるよね。多分その前もそうだったんでしょ?』
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その夜、夢を見た。
沢山の行列が歩く道。長い長い道。
これだ、これだよ。今世は、こうして楽に行きたいよ。
しかし、しばらく歩くと、カーブで先が見えてしまった。
崖じゃん。
おい!おーい!そのまま行くと落ちるよー!と叫ぶ。
『大丈夫ですよ。皆一緒ですから。』と皆が口々に言う。
『そうでないと、いじめられますよ!』とか。
私は、あきれ果てて立ち止まった。次々と追い越して行く人々が、物凄く得意げにあざ笑っている。『お先にー。』と。
私はいつのまにか鍬を持って左側に道を作り出したのだが、その鍬が異常に重いので、チョークで描くことにした。道は簡単に出来る。左側に飽きたので右側や斜めにも道を描いてみる。
そして誰かのチョークとぶつかって顔をあげると、そこにKちゃんが居た。
ちょっと楽しい夢だった。
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