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2020年

レジデント『型破りな天才研修医』という海外ドラマで2020年のパンデミックが描かれている回があった。

とある高熱の患者さんに『最近どこかに旅行に行きましたか?』と問診したところ、同じアメリカ国内の街の名前が帰って来る。すぐさまその街の新型コロナ感染者数を調べると『14人』と出る。そして次の瞬間、『内、死者が5人。』と。

そのあたりでトラウマがフラッシュバックしたかのようだった。そうだった。何の免疫もない私たちの周りでバッタバタと人が死んでいった。

その後、ドラマの中では同じ仕事仲間、看護師や医師や清掃員が次々と亡くなって行く。
防護服もマスクも不足し5日間も同じマスクを着けていたシーンも体験した人にとっては実にリアルに感じられたのではないだろうか。

高齢者施設でも死者が出た。
新型コロナ感染者でなくとも、お看取り期の方が亡くなった。後者はあたりまえかと思いきや、そうじゃない。コロナに対応に追われなければ、もっともっと孤独ではないお看取りが出来たはずだった。
ゴーグルの中で、介護職員と一緒に泣いた。

そんなことが数年続いた。

初めて利用者様にワクチンを打たなければならない時には自分の心臓が止まりそうだった。未知のものを打たなければならないなんて。自分自身に打って大丈夫だからといって高齢者にとっては違うかも知れないので震えた。気の毒だった。
結果的に、全く免疫がない状態の人より当時のワクチンを打っていた人たちは軽症で済んだ。それすら結果論に過ぎないし、本当に怖くて悲しかった。
あの頃、ゴーグルの中で泣いたり、ステーションで崩れ落ちたときの気持ちは決して忘れられない。

今はもう、大分免疫がついて来て絶対的な死の病ではなくなった。ただ、あの時代、というか、その時代は今も続いているけれど、実に色んなものを観た時代でもあった。
自分で考えないことの危険性や批判するだけで何もしない人や、恐怖に突き動かされて他人をも同じ恐怖に巻き込もうとする人たちや。
一番あかん!と思ったのは当時の施設長がわけのわからん行動をして感染を広めたこと。無意味な手間をかけさせるのに自分は現場に近づきもしなかったこと。まあ、全国に山ほどあの手の阿呆がいたことだろう。

でも、その時代にも仲間が居てくれて良かった。

余談だけど、このnoteで、『この苦労もあと一年半くらいだと言われています。頑張りましょう。』と言って下さった医療従事者の方がいた。あれはとても励みになった。

先述の通り、色々なモノ、色々な人を観た時代だったけれど、願わくばあの時代に出会った知恵と勇気を持って仲間を励ましていた、あんな人たちの仲間でありたいなと思う。
この先もいつ何があるか分からない・・・というより想像がついているのだけど、多くの悲しみを超えて人を強くした時代でもあったのだと思う。

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