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慰留ゼロの世界
あなた様が、スキを下さったので嬉しいものをいただきました。ありがとうございます。💖
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日中でも、曇り空が広がる日には部屋の中が暗い。
そんな休日に買い出しから帰って玄関でブーツを脱いでいると、突然人影が突進して来た。
もう姿が見えているので半分分かっているのだが『うわああああ!』と声が出る。仕事へ行ったはずのKちゃんが『おかえり!』と突進して来たのだ。
これまでにも何回かあったのだが、予定より早く帰って来る日というのは、人員が足りている日に仕事を持ち帰って自宅でやる事にしたせいか、もう一つは何か事件があった時だ。
で、『何かあった?』と訊いてみたところ、『あった。』と。
ある職員が電話一本で『もう明日から行きません。』と退職したそうだ。
これまでの経緯で色んなことがあったので、『なるほど』と短く答えるのみ。あとは、もう心中察して肩をポンポン・・・の世界。
惜しまれて退職して行く人と、残念ながらそうではない人が居る。人の話が聴けなくて、相手の痛みが想像できなくて、それでいて自分の思い通りにならない人を暗く恨み続けるタイプ。(しかも何年も)
彼は、自分が如何に凄いか?ということを周りにアピールし続けていたが、実際には、他の人々なら全員が黙って片付けている程度の仕事だった。それを褒められないと怒るタイプであり、常に誰かが持ち上げていなければならないタイプでもあった。
それでもいいのだが、残念ながら周りも精一杯生きているので、なかなか褒め続けることも出来ない。世の中は、社会は、あなたの親御さんではない。
けれども、そんな人種が増え続けている世の中だなあと、末恐ろしくも思う。何故なら人の話を聴けないということは、ずっとそのままだということだから。
20代でそうだった人が自分と同年代になっても全く変わっていないという例を良く観る。
もちろん、それ故に色んなものを失っているのだが、原因を顧みることもないので、ますます恨みは募るばかり。
お決まりの言葉は『誰も理解してくれない』で、本人的にはそういうことにしたいのだろう。が、ある意味、周りは凄く理解している。言い方を換えれば、”丸見え”なのだ。誰しも幼き頃に、そんな心理を通り過ぎて来ているから。
世の中は彼が言うように冷たいのだろうか?
いいや。誰もが日々色んなことを抱えて生きている。
世の中はある意味、平等だ。