海に居るユニコーンの物語(『クジラと海洋生物たちの世界』)
今年2月半ばから新しい職場で頑張っている相方Kちゃんだが、介護職なので相変わらず勤務はハード。
で、これも前々からのことだが、睡眠がうまく摂れないことがあるようだ。
おそらくだけど、仕事に行くまでに気持ちや体のテンションをあげてあげて、尚且つ頭の中でシミュレーションして、マックスな状態で仕事に臨む。そうでないとこなしきれない仕事量で、人間相手なので不測の事態も数多く起こるのだろう。
そうして臨む毎日は達成感もあるし段々周囲にも評価されるようになる。
が、真夜中にふと目が覚めると暗闇でスマホの光に照らされたKちゃんの顔がある。
『わ。まだ起きてたの?明日、大丈夫?』と声をかけるのだが、『眠れないの。』と返って来る。
そんな時薦めたのが、イルカやクジラだのが出て来る動画だった。
イルカやクジラと書いたが、イルカとクジラの違いはサイズだけらしい。要するに同じ仲間たち。
スマホのディスプレーを観て過ごすよりこういったものを流していた方が何倍もまし。
昔、セラピストの学校に行っている頃に、同僚からやたらとイルカやクジラの音声だという音源を薦められたものの、当時は一切良いとは思わなかった。
イルカセラピーなるものも拒否反応があった。普通に好きな音楽聴いていた方が癒されるやんと思って。
ところが何十年か経って、決死のカメラマンさんたちが撮影してくれたドキュメントを観ていると、その姿や声、映像に心身が癒される。昔のように薦めて来る本人も何だか分からないのに”とにかく癒されるから”と言って薦められた類のものとは一線を画している。
番組を流し始めるや否や、たちまちKちゃんは眠りに着いた。でしょー?と得意になった真夜中だったが、私は面白くなってしまい寝不足になるという本末転倒な事態だったけど。
凄いなーと思ったのは、あの真っ白なイルカ、何十頭ものベルーガの群れを観るのが壮大だというだけじゃない。
同じく群れでないと生きられないクジラの仲間である一角という生物がいるのだが。
その若い一角の一頭が広い海原で迷子になってしまった。それは死を意味することだったのだが。
何と、同じクジラの仲間とは言え全くの他人である一角をベルーガのファミリーが受け入れて救ったという実話が放映されている。
夏に孤立した一角が、秋・冬を超え、春に生きているか?それを確認しに行った取材班は、ベルーガの群れの中で幸せにそうに暮らしている一角を発見した。
凄いなとしか言いようがない。
イルカやクジラは私たち人間と等しく複雑な言語を使うし、互いに名前で呼び合っているとも言われているが、同じ種族同士でも群れが違えば言語も違う。文化(狩りの仕方や価値観や言語)も違う。
ましてや、ベルーガや一角となれば全く通じ合えないかと思い来や、ベルガーたちは、一人ぼっちの彼を発見するや否や『どうしたの、どうしたの?』と言わんばかりに集団で保護していった。
要するにクジラの仲間と人間は、とても似ている。いや、私たち人間の方が劣っている。
愛情や助け合いがないと大海原では命を落とすので、方向転換をするときですら平和的に1時間議論している様子がマッコウクジラの群れでは確認されている。
『あー、やばいな。面白いな、これ。』と真夜中に眠れなくなったと思い込み、困っていたのだが、何のことはない。クジラやイルカの会話を聴いているうちに私も深い眠りに落ちた。