ついつい余計なことをしてしまう
相方はお粥というものが好きじゃない。
何故嫌いなのか?と訊いたところによると、子供の頃、歯の矯正をしている時期にお粥ばかり食べていたので嫌になったのだという。お粥しか食べられない歯の矯正とは何とも壮絶な。
今は美しい歯並びをしていて羨ましい限りなのだが、そんな歴史があったとは。
「Ohzaちゃんもバイクや車で凄い事故にあった時とか、そうじゃなかった?」
・・・・・。この人はおそらく過去の事故の規模を聞いて、顔がぐしゃぐしゃになるような類の被害だったのだと思っていらっしゃる。
よく箱根に旅行なんぞに行った時に「ここ、ここ。このカーブを曲がり切れなくて空中に飛び出してったの。」とか話していたせいだろう。
しかし、何故だか私は怪我をしない。いや、もちろん擦過傷や打撲程度は負うのだけど、生まれてこの方骨折もしたことがない。何故だろう。おそらくは危険な事態になった瞬間、反射的に我が身をかばっているのだろう。
高いところから落ちる時は、人の上に落ちてしまう。
画鋲も踏み切ったことがない。足裏に先端が触れた瞬間に「何かある!」と思って動きを止め対象を確認してしまう。
学校で椅子に置かれた時は普段では考えられない腹筋でお尻を空中で止めた。その私の身体を押さえ込もうと襲いかかって来た男子、つまりは画鋲の仕掛人を右手で払って怪我をさせてしまった。中腰のままで。すべては2~3秒の出来事だった。
話は逸れてしまったが、そんなわけで、とにかく命根性が汚いとまで言われた。
で、ああ、そうだ。お粥の話だった。
嫌いだと分かっているものを作るのは気が引ける。
しかし一年に一回の七草粥の日だけは作る。
お正月にご馳走を食べたわけではないが、胃が休まるそうなので作る。はたまた無病息災を祈る行事だとも聞いたので。
なのに、昨年は手が滑って、鶏肉を入れてしまい、良い鶏出汁の中華粥にしてしまった。
「うーーまいっ!」と言ってくれたものの、ダメなんだよ。七草粥のイメージじゃない。
それで今年は塩のみで味付けした普通の七草粥を土鍋で・・・。他には何にも・・・と思ったのだけど、冷凍室に半端に少量の牛肉を見つけた。これ、オーストラリア産なのだが、どうしたことか、歳をとってから、どうにも国産でない肉を普通に食べると牛臭さや鶏臭さを感じるようになって困っていた。
そこでお砂糖や醤油やショウガ、タケノコを入れて、しぐれ煮を作った。保存食になるしおにぎりに入れても美味しい。
そんなこんなしていたら、Kちゃんが旅行で買って来てくれたウニとイカの・・・何ていうのかな、これ、佃煮なのか塩辛なのか。そして、イクラもあった。は!そう言えば豚の角煮があったんだった。
そうして色々と小鉢で添えているうちに、今年も何だかご馳走感が出てしまって、酒飲んでなんて誰にも頼まれていないのにビールを飲み過ぎる。
結果胃もたれしているのが1月7日なのだった。
今年も無病息災で居られるのだろうかと、勝手に不安になっている。